Saint-Louis Crystal サンルイ クリスタル

サンルイ公式サイト http://www.saint-louis.com/fr/

Cristallerie de Saint Louis lès Bitche

サンルイは1586年フランスのストラスブールやナンシーにほど近い、ロレーヌ地方のモゼル県に設立されました。

フランスの田舎と言うと、のどかな平原をイメージしますが、このサンルイの工房がある村は平原どころか荘厳な森林と岩肌に囲まれた自然公園の中心部にあります。
ヴォージュ・デュ・ノール(Vosges du Nord)地方自然公園の中心部にあるビッチュ(Bitche)という村にサンルイ工房があり、近くにはルネ・ラリックなどもあります。

http://www.bitscherland.fr/

ガロローマ時代から17世紀半ばまで、イタリアとフランダースを結ぶ主要な商業道路に沿って、森の側に十数種のガラス工房が作られました。サン=ルイの祖先であったミュンザルのガラス工房はビッチェ地方のガラスの歴史と言えます。

国境付近に村があるため当時のフランスの情勢から、ミュンザルも30年戦争(1618-1648)に巻き込まれ荒廃してしまいました。それから1766年、ロレーヌ公国がフランス王国に選ばれたとき、ミュンザルに新しい工場が創設されました。

翌年1767年に、国家評議会の法令により認可されたルイ15世(Louis XV)は古いガラス工場を買収し、ルイ15世になることを記念して「サンルイ王立ガラス工房」という名前を与えました。程なくサンルイはフランスの経済を象徴するような大企業となり、国王の公認によって急成長することとなりました。
ただし、それによってミュンザルにあった他の小さな工房が復活することは無くなったと言われています。

https://www.instagram.com/saintlouiscrystal/

チェコのボヘミア地方や、イタリアのベネチアがガラスの産地として有名でしたが、クリスタルガラス(屈折率・透明度の高いガラス)の製造方法は17世紀にジョージ・ラベンスクロフト(1632―83)が鉛クリスタルガラスを発明して以来、イギリスが独占していました。
1781年にサンルイがそのクリスタルの製造方法の秘密を知り、イギリスのクリスタルガラスと同じような輝きを再現できるようになったと言います。

アイルランドの「ウォーターフォードクリスタル」も1783年に生まれた事を考えると、この時代がいかにクリスタルの産業が鍵を握っていたか分かります。マイセン(1710年王立ザクセン磁器工場)の一件も考えると、陶磁器やクリスタルガラスは他国(ヨーロッパ諸国)から外貨を稼ぐ重要な手段だったと言えます。

コンドルセ侯爵が署名した報告書で「サンルイ王立クリスタル工房(Cristallerie)」に名称を変更なされ、それからはマスターガラスブローラーやマスターカッターなどM.O.F.(Meilleurs Ouvriers de France)=フランス最優秀職人が作るガラス傑作を次々と世の中に送り出しました。全て職人によるハンドメイド、ハンドカッティングと言われます。

20世紀初頭のアールヌーヴォー時代からアールデコの流行を経て、現在では1995年よりエルメルグループの参加に入り食器、装飾品、照明コレクションなど様々な製品を展開しています。

サンルイ クリスタルのグラス&テーブルウェア

さて前項ではサンルイの歴史を簡単に説明しましたが、実際にどんなグラスなのか、他のブランドと違うのか。
編集部にあるサンルイのコレクションから一部を紹介したいと思います。

Excellence – Verres Excellence

サンルイのエクセレンスというカッティング・ワイングラス。
ステムが長く、大胆にカッティングされているのが特徴です。エンパイア様式のワイングラスのように荘厳な風格と気品があります。

価格は1脚 575,00€ (7万円弱)と、シリーズの中でも高級なラインナップです。
サンルイのシリーズでは金彩が施されたものは、高価になる傾向があります。

このエクセレンスは25cmという高さにも驚きですが、重量があり日常使いは想定されていない程です。
一見地味に見える金彩ですが、ステムの接続部分などが角を立たせたカッティングで、指で触ると痛いほどの角があります。一般的にカッティングの精度が低いと、失敗を目立たせないように丸みを帯びさせたりしま。角が立っているのが技術力の高さと、精妙さの証拠とも言えます。真夜中に飲むワインにぴったりのグラスです。

サンルイのワイングラスは透明感がとても高く、バカラに比べても全く劣ることはありません。景色が透けて見える程です。
光の屈折率も高いので、真っ白と真っ黒の部分が分かれてクッキリと見えます。
ワイン以外にも写真のように和風のあんみつを入れても絵になるのが面白いです。
色のないグラスなので、中に入れるものの色を引き立てることができます。

どのクリスタルガラスが一番か

「で、クリスタルガラスはどのブランドが良いの?」とネットで検索してもイマイチ情報が出てきません。そこで、ごく個人的な格付けをすると下のような順位になります。(個人的な感想ですので、ご承知おき下さい。)

品質と技術が高い順
バカラ=サンルイ>ロブマイヤー>ウォーターフォード=ヴァル サン ランベール>ラリック(芸術寄り)

(※ラリックはアールヌーヴォーを代表するガラスで、型抜きでフロスト加工が施されるので、少し別の種類です。品質が悪い訳ではありません。)

まだ短いアンティーク品の経験しかありませんが、バカラとサンルイが最高峰でほぼ同等なのではと思います。ただし、少し前のアンティーク品(1900〜1980年)がクオリティがとくに高いです。
古すぎると技術上クリスタルの透明感に乏しかったり、薄すぎたりしますし、近年の物はハンドメイドと思えないほど雑な仕上がりで、百貨店に並ぶ価格帯の現行品はカッティングの技術が低くとてもお勧めできません。

ウォーターフォードとヴァル サン ランベールは、手元にあるもので判断すると、カッティングが丸くて甘いと思います。またバカラとサンルイを見たあとに比較すると少し濁っているような透明感です。単体では優れているはずですが、最高峰とは呼べないです。
様々な意見があると思いますが、個人の感想として参考にしてみて下さい。

サンルイのフラワーベース(花瓶)は芸術品

美しいフラワーベース(花瓶)と言われたら、どこのメーカーが出てきますか?
特にクリスタルガラスのフラワーベースと言ったら、バカラを抑えて世界一と言えるほど美しい造形です。

曲線美とカッティングの精度、更にはくすみ一つ無い透明度で、花を入れていないときでさえ美しく見えます。

上から覗くと、万華鏡のように輝いて見えます。
光が差し込むごとにシャンデリアよりも複雑で綺麗な絵を見せます。
溜息が漏れるほどに美しくので、サンルイの花瓶はぜひとも1つは持っていて欲しいほどの品質です。

いかがでしたでしょうか、全て紹介するのは難しいですが、実物は写真よりも何倍も優れています。
素晴らしい作品の数々は公式サイトやインスタグラムでも見れるので、興味があればサンルイの世界観に触れてみて下さい。

公式サイト http://www.saint-louis.com/fr/
インスタグラム https://www.instagram.com/saintlouiscrystal/
フェイスブック https://www.facebook.com/saintlouiscrystal/
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著者 おはし

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