『ダムタイプ展2023』と『アートを楽しむ ー見る、感じる、学ぶ』の感想

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『ダムタイプ展2023』

ダムタイプ|2022: remap」を見てきました。

初めて京橋のアーティゾン美術館に行ってきましたが、目的は「アートを楽しむ」でした。
そのチケットで同時に見られる、通路の前半にあった展示も見てきました。
本展覧会のプロジェクトメンバーである坂本龍一さんが、3月28日に逝去されたということで、弔事が掲示されていました。

初めて、このような空間アートを体験したのですが、想像よりも没頭できる空間演出でした。
まず、展示されている部屋に入るまで無機質なコンクリート作りの通路で、事前の雰囲気と相性がとても良かったです。上野の国立西洋美術館であれば、ここまで没頭できなかったと思います。現代的な建築物にあった空間演出でした。

もう一つが、空間の形状がアシンメトリーで「なにがどこにあるのか」「先になにがあるのか」が想像できない点でした。
これは分かりきった演出ではないので、事前知識があってなくても楽しめそうです。
また照明が非常に暗いので、ライトアップされたオブジェクトに集中できることもあります。
レコードプレーヤーが、ライトアップされたり消えたりを繰り返し、不思議な空間になっていました。

奥の部屋には天井へのプロジェクションマッピングのようなデジタル演出がありました。その場所には10人ほどの人々が集まって天を見上げていて、その光景はまるでカルト宗教団体のように見えて、鳥肌が立ちました。悪い意味ではなく、逆に感動しました。
マリーナ・アブラモヴィッチの身体パフォーマンスとは異なるベクトルで、観客が参加する形の芸術となっていて、それが感動を呼びました。例えるならば、邦画の冒頭でカルト集団が空を見上げて神に祈るようなシーンに似ています。広い部屋の中央で、薄暗い中で行われているその雰囲気は、異質でありながらも魅力的でした。

出典元:https://www.artizon.museum/exhibition/detail/65

『アートを楽しむ ー見る、感じる、学ぶ』

エドゥアール・マネ、アンリ・マティス、パブロ・ピカソ、クロード・モネ、岸田劉生、アルフレット・シスレー、ベルト・モリゾ、ギュスターヴ・カイユボットなど、その展示されている作品の作者の名前だけを列挙しても、その豪華さが伝わるでしょう。そして、それらの作品が展示されている順番や解説の分かりやすさが素晴らしかったのです。

この日は日曜日でしたが、来場者は意外と少なく、各々の作品をゆったりと鑑賞することができました。西洋美術と東洋美術が同じ空間に並び、それでいて一貫性を保った特別展は、「アートを楽しむ」という言葉が体現されていました。

特に印象的だったのは、絵画に登場する陶磁器が実物とともにショーケースに展示されていたり、絵のモチーフになった実際のピアノが展示されていたり、絵画の構図が再現されていたりした点です。それにより、現実世界と絵画の世界がつながり、より深い体験ができました。

ただ、物量で圧倒するのではなく、作品の時代や作風ごとにカテゴライズして、美術に詳しくない人でも没頭して楽しめるような工夫がされていました。
個人的にはシスレーやカミーユ・コローが好きですが、良かった点があります。フォンテーヌブローの作品だけでまとめる美術展よりも、多くの時代の作品と並べることで、よりコントラストがはっきりして、ひとつひとつの作品の魅力が際立つということです。
印象派のクロード・モネ《黄昏、ヴェネツィア》1908年頃は、近づくと画材かニスか分かりませんが、細かなフレーク状のラメがあり、発色が美しいです。

以前見たゴッホの作品展は、それはそれで偉大なのですが同じ作者の作品だけより、複数の作者が順序立てて整列されることで、ときとして新しい発見が生まれます。

これは最も良い点ですが、大学生、専門学校生、高校生、中学生以下は無料。
大人でも1,200円と大変安いことです。ダムタイプと同時に見て、アートを楽しむは2時間ほどゆったり見ましたが、コストパフォマンスが高い満足のいく展示でした。興味ある方はぜひオススメです。

ちなみに、1階にあるカフェはコーヒー650円〜と意外にも手頃なので、心ゆくまで楽しんだあとにカフェで休憩するのも良いですね。

アートを楽しむ ー見る、感じる、学ぶ
2023年2月25日[土] – 5月14日[日]

アートを楽しむ ー見る、感じる、学ぶ | アーティゾン美術館
公益財団法人石橋財団アーティゾン美術館公式サイト。ブリヂストン美術館(1952年開館)が館名変更し、2020年1月に新しい美術館として開館。従来の日本近代洋画、印象派、20世紀美術に加え、古美術、現代美術へと視野を広げ、美術の多彩
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