いまイタリアのパンツが熱い!
セレクトショップなどで人気のイタリアのパンツ専業ブランドですが、色々あるので迷ってしまいますよね。そういうわけで今回は、私ライター田中が実際に所有しているパンツブランドのみで恐縮ですが、イタリアのパンツ専業ブランドをまとめてみました。
実際に買って、履いて書いているので他のサイトよりも具体的なはず!ぜひ参考にしてくださいね。
INCOTEX インコテックス
インコテックスは今イタリアと日本で最も有名なパンツ専業ブランド。安定した品質と供給で、もはやイタリアのパンツブランドと言えばまずはこのブランド、と言われるほどにまでなっています。
特徴はイタリアで作っておらず、ほとんどがルーマニア製であること!なんちゃって。インコテックスのパンツの最大の特徴は生地の多様さとニュートラルなシルエット。生地はウォッシュ加工のワイルドなコットンから、上質なカシミアウールまで。色合いも黄色や緑などのいかにもイタリア的な鮮やかなものから、少し控えめなグレーまで実に色々です。
またシルエットがニュートラルなのは、このブランドの良いところ。後に紹介するPT01のように攻めたシルエットだと似合わない人も少なくありませんが、このINCOTEX インコテックスは基本的には極端でないため、色々な人に似合います。
とにかく人気で、手に入れやすいのも魅力ですから、イタリアのパンツを試したことのない人は、とりあえずこのブランドから試してみましょう。
PT01 ピーティーゼロウノ
PT01は今最も注目度が高く、値段もちょっぴり高いパンツ専業ブランド。インコテックスや後述するGTAがわりとカジュアルな方向性であるのに対し、PT01はテーラード感を全面に打ち出しています。
例えばポケットや脚の側面のAMFステッチ。これは高級なサルトリア仕立てのスラックスを模して、全体にハンドステッチ風のマシンステッチを施しています。ちなみにこの仕様はこれがベースですね
こちらはナポリのサルトリア(仕立て屋)であるダルクオーレのスーツのスラックスです。スーツ上下で 40万円ほどするものですので、4万円のPT01でこの感じを楽しめるのは嬉しいですよね。
また生地などに関してもこだわったものが多いですね。コットンの質はラインによってまちまちですが、どれも一定以上のクオリティです。
ただPT01のパンツはテーパードのラインがかなり攻め込んだものなので、ともすると股引のような雰囲気になってしまうことも。履く人を選びますから、試着したら冷静に鏡に写るスタイルをチェックしましょう。
GTA ジーティーアー
よりカジュアルな雰囲気のパンツを作るのが得意なのが、GTAです。GTAはウォッシュ加工の生地はもちろんのこと、ヴィンテージ感のあるツイードなど、様々な生地で、独特の味のあるパンツを作っています。
特にテーラードな雰囲気を重視しているブランドではないので、そのおかげでむしろ実に様々な形のパンツをラインナップできている。例えばカーゴパンツや、ベイカーパンツなどですね。
またシルエットも自然にリラックスしているものが多く、そのおかげで逆に大人っぽさがあります。大人の休日に合わせるのであれば、無理をしていない雰囲気が非常に好印象ですね。
個人的にはリネンのパンツなどは、GTAのリラックス感のあるシルエットや仕立てにぴったりだと思います。
ROTA ロータ
日本を代表する、今最もラグジュアリーなセレクトショップとして有名なTIE YOUR TIE タイユアタイが別注していることで有名なロータは、パンツ専業ブランドの中でも最高峰に位置するブランド。個人的には最も好みなパンツブランドの一つです。
ロータの特徴は手縫いを用いた製法と、クラシックでありながらも現代に沿った美しさを持つシルエット。
カジュアルラインであるROTASPORT ロータスポートは細すぎず太すぎない絶妙なラインと、スラックス的な股上が非常にバランス良く、大人のジャケパンに最適です。しかも値段もお手頃で、コストパフォーマンスに優れています。とても良心的なブランドですね。
Drapperia Napoletana ドラッペリア・ナポレターナ
ドラッペリア・ナポレターナといえば、誰もが一度は!聞いたことのない超マイナーブランド。有名なサルトリアやビッグメゾンのパンツのOEMを受けていたアントニオ氏が、自らのブランドを立ち上げたものです。
このドラッペリア・ナポレターナはサルトリア仕立てを感じさせる立体的なシルエットと、各所に手縫いを用いた手間の掛け方、そしてさりげない上質さを感じさせる生地感が魅力。
やはりサルトリアの聖地とも言えるナポリに生まれたブランドだけあり、その作りは単なる既製服に収まらず、常に人に寄り添うような仕立てのニュアンスを持っています。
ROTA ロータや後述のマルコ・ペスカローロに比べても本数が少なく、かなり希少なパンツですので、見かけたら試着必須です。この自然な着心地は癖になりますね。
MARCO PESCAROLO マルコ・ペスカローロ
イタリア最高峰のブランドである、Kiton キートンの傘下にあるパンツ専業ブランドです。仕立てなどはわりと一般的なものですが、生地の質が素晴らしいものが多いのが特徴。
それはそれはブリオーニを彷彿させる縫製と、それもそれもブリオーニを彷彿させる生地のラグジュアリーさ。これがキートン傘下のマルコ・ペスカローロを一言で表す言葉でしょう。
まあ個人的には超絶技巧のような手縫いパンツを期待していましたが、しかし良いパンツであることは変わりありません。手縫いのスラックスがどうしても欲しい人はアンティコ・パンタローネという、ツチノコと同じくらいレアなブランドを探しましょう。
それが見つからないときには、Antonio Panico アントニオパニコというブランドのベージュコットンスーツを70万円で買って、上着だけをフリーマーケットで売れば、ベージュの手縫いスラックスが手に入ります。
METRICO メトリコ
メトリコはGTAの別ブランドです。基本的にはGTAよりもモードなものを扱うブランドラインですので、面白みのあるデザインのものなんかが多いですね。
と言っても、GTAもまたかなりユニークなパンツが増えてきているので、ごく控えめに言ってこの辺はもう味噌糞一緒になっているわけです。
それでもやはりメトリコのファンがいるのは、その特徴的な生地でしょう。光沢感があり見る角度によって色の変わるようなコットン、小紋柄の入った生地など様々です。
遊び心のあるジャケパンに是非取り入れたいブランドです。
Germano ジェルマーノ
質の良いパンツを100回丁寧に履いて、100回丁寧に洗って乾かしたかのような、自然な熟れ感がこのジェルマーノのパンツの魅力。
縫製が特別凝っているわけでも、生地が他に比べて非常に優れているわけでもありませんが、このパンツの馴染みの良さといったら、甚だ素晴らしい。まるきり本物のイタリアのちょいお洒落おやじになったような気分になれます。
またジェルマーノのパンツは値段もそれほど高くなく、個人的には最初の一本としても、かなりおすすめなブランドです。何を隠そう、私が最初に買ったイタリア製パンツはジェルマーノでした。
安かったからね!
SANTANIELLO サンタニエッロ
サンタニエッロはナポリ近郊のリゾートな都市、ソレントで始まったパンツブランド。小さなファクトリーブランドらしい良心的な物作りが、細々ながらも一定の人気を誇っています。国内ではビームス等でときどき見かけますね。
このブランドは別注元によってわりとフェイスが変わります。特に品質にこだわるセレクトショップが別注したものは非常に凝っているし、そうでなければ作りは割とシンプルです。
ですので、サンタニエッロを買うときには、そのブランド名で選ぶのではなくて、物そのものを見てそれが自分の好みかどうかを判断すると良いでしょう。
TRAMAROSSA トラマロッサ
トラマロッサは最近ビームス等で扱われていて、徐々に人気の出てきているブランド。手間のかかった手縫いを多用した縫製と、とってもいっぱいじゃらじゃらついたタグが特徴。
トラマロッサのパンツを一つ買えば、紙のタグが3枚くらいと、はさみのストラップがもれなくついてくる!最近のイタリア製パンツ全般の傾向ですが、おまけの多いこと!
それでもやっぱりパンツの作り方は本気です。立体的なシルエットはデニムでもコットンパンツでも同じように履き心地が良く、各所の少しワイルドなステッチが、男の所有欲を満たしてくれます。
このブランドは他のブランドと少しサイズ感が違い、ちょっと小さめ。普段30を履いている人が32で丁度よかったりすることもあるので、慎重に選びましょう。
PT05 ピーティーゼロチンクエ
先ほど紹介した、今最も注目のパンツブランドであるPT01のデニムラインが、このPT05。まあシンプルなことにデニムはポケットが5つなので、PT05なわけですね。
このPT05は全てイタリア製にこだわって作られており、使われている生地も非常に上質なデニム地なので、少し高いですが非常に人気があります。
ジャケパンに使える綺麗めなシルエットでありながら、遊び心のあるカラーステッチや、ボタンフライの可愛さがPT05の魅力。茶目っ気とマジメさを兼ね備えた、人間なら女の子にさぞモテたであろうブランドです。
自分も結局5本ほど購入してしまいました。
Jacob Cohen ヤコブコーエン
最後にテーラードデニム、つまりジャケットに合わせるためのシルエットの美しいシンプルなデニムというカテゴリーを作り出したブランドを。ヤコブコーエンですね。
ヤコブコーエンはなんと日本製のデニム生地をわざわざ取り寄せて、イタリアのトップファクトリーで生産しているプレミアムジーンズです。
日本から生地をイタリアに運び、イタリアで作って日本へ持ってくるときには、既に値段が5万円!びっくりするほど高くなっていますがまあしょうがない。ヤコブコーエンをのぞいて、これほど繊細にデニムを仕上げ、独自に開発したテーパードとも、ストレートともつかぬ独創的なシルエットで、人々のジャケパンを美しく見せているブランドはありません。
個人的にデニムであれば、やはりこのヤコブコーエンが一番のお気に入りです。履き込み過ぎて最近は結構な味が出てきましたが、自然な色の抜け方などはやはり「日本製のデニム生地、流石!」といったところですし、履き込んでもあくまで上品さをキープしてくれるのは、イタリアのテーラリング技術でしょう。
いかがでしたか?
今回はイタリアのパンツ専業ブランドをまとめてみました。どれも個性があって、履き比べるのはとても面白いものです。是非セレクトショップ等で試してみてくださいね!