「コイン精米機」で儲かる?年間200万の爆益は可能なのか

ブログ

精米機で儲かるという、面白そうなツイートが流れてきました。

高級車を買うのをやめて、業務用の大型精米機を購入したという話を耳にしました。毎日10分の掃除だけで、年間200万円の利益を生み出すというのです。

もしこれが事実なら、単純に2箇所に設置すれば、年収400万円に相当する利益が得られることになります。在庫リスクや人件費などの負担もなく、精米機と日々の電気代だけで運営できるので、非常に魅力的な話に思えます。

実際、この方の引用ツイートを見てみると、何人かが「儲からないのでやめた方がいい」と警告しています。中には、大型コイン精米機を販売するためのプロモーションだと断言している人もいます。

私自身は大型精米機を所有していませんが、どれくらいの費用がかかり、どれくらいの収益が見込めるのか、架空ではありますが計算してみたいと思います。

コイン精米機で儲かるための要点

  • 設置場所の選定
  • 初期費用(イニシャルコスト)とランニングコスト
  • 初期費用を何年で減価償却できるか
  • 利用者の人口
  • なぜ他社が参入していないのか
  • 精米需要と食生活の変化

設置場所の選定

基本的に設置場所は首都圏ではなく、 地方都市がメインのターゲットとなりそうです。

例えば、コイン精米機の設置場所を Googleマップで見ていると、 山手線沿いの主要駅に各1つずつさえ配備されていないような状態です。考えてみると当たり前で、お米というのは手で持って移動すると5〜10キロ程度が限界です。

主要なスーパーや百貨店などでも、玄米の取り扱いが極めて少ないことを考えると、 都内に住んでいて日常的に精米する人は少ないと言えます。

ちなみになぜこんなことが断言できるかというと、私自身4年ほど家庭で米を精米して食べているからです。メルカリなどで玄米のまま30キロの米を買って、 冷蔵庫で保管し、お米を食べる都度精米をしてから炊いています。

もっと大きな家庭用の機械もあるかもしれませんが、 だいたい5合が一般的なので、 大家族となると足りないかもしれません。

利用者を想定した場合、お米農家、またはお米農家の親族なので大量の玄米をもらえる人、 そして車を持っている郊外に住んでいる大家族が主流になりそうです。

このように考えてみると、先ほどのツイートの雲行きが急に怪しくなってきます。

初期費用(イニシャルコスト)とランニングコスト

クリーン精米屋(標準仕様 / 高速仕様)
K-CR515CS K-CR1015CS

クリーン精米屋|稲作関連機器|製品情報|農業ソリューション製品サイト|株式会社クボタ
国内農機のトップメーカー「クボタ」の農業機械公式サイト。最新農業機械の製品情報や、営農情報をご覧いただけます。

公式サイトを確認したのですが、 具体的な販売価格は表示されていませんでした。ただし、個人のブログなどを見ていると、大体300万円から400万円程度に収まるようです。
この価格は代理店や機種や性能によって異なると思いますが、今回は300万円で計算してみます。

1. 前提条件

•お客様の利用頻度: 1日10人
•1回の精米量: 30kg
•精米機の稼働時間: 1回あたり10分
•精米機の消費電力: 8.406kW(フル稼働時)
•待機電力: 0.092kW
•電気代: 1kWhあたり30円

2. 電力消費の計算

•稼働時の電力消費:
8.406kW × (10分 ÷ 60分) = 約1.401kWh
•待機電力消費:
0.092kW × 24時間 = 2.208kWh
•1日の電力消費合計:
稼働電力: 1.401kWh × 10回 = 14.01kWh
待機電力: 2.208kWh
合計: 14.01kWh + 2.208kWh = 16.218kWh

3. 電気代の計算

•1日の電気代:
16.218kWh × 30円 = 約486.54円
•1ヶ月の電気代(30日と仮定):
486.54円 × 30日 = 14,596.2円

4. その他のコスト

•消耗品: 精米機に必要なメンテナンスや部品交換費用、またはヌカ処理のための費用を考慮します。これを仮に月額5,000円とします。

5. 合計ランニングコスト

•月間の合計ランニングコスト:
電気代: 14,596.2円
消耗品: 5,000円
合計: 約19,596.2円

これは架空の計算となりますが、月額2万円程度のランニングコストと仮定できます。
設置する機種や、契約する電力会社、また利用客の人数によっても前後すると思いますが、 大体1万円から5万円程度の間になるのではないでしょうか。

初期費用を何年で減価償却できるか

•精米機の初期費用: 300万円
•利用料金:玄米: 10kg 100円
•お客様の利用頻度: 1日10人
•1回の精米量: 30kg(全て玄米の場合)
1回の利用料: 30kg ÷ 10kg × 100円 = 300円
1日の収入: 300円 × 10人 = 3,000円
1ヶ月の収入: 3,000円 × 30日 = 90,000円
1年間の収入: 90,000円 × 12ヶ月 = 1,080,000円
原価償却年数: 300万円 ÷ 1,080,000円 ≈ 2.78年 となります。

利用者の人口

日本の市町村の約27%が、人口1万人程度になります。
この人口で仮定した場合、1%の人が精米機を利用すると約100人が顧客候補となります。
大家族だとして、月に1回30キロを精米すると、1日の利用者は3.3人となります。

先ほど、お客様の利用頻度: 1日10人としましたが、平均3.3人の場合、収益は3分の1の計算となります。

1日の収入: 300円 × 3.3人 = 990円
1ヶ月の収入: 990円 × 30日 = 29,700円
1年間の収入: 29,700円 × 12ヶ月 = 356,400円
原価償却年数: 300万円 ÷ 356,400円 ≈ 8.41年 となります。

この計算にはランニングコストが入っていないので、実際にはもっと長くなります。
また、機械のメンテナンスや部品交換や修理や災害などに対する補償なども入る必要があるので、さらに多くのコストが発生する可能性が考えられます。

なぜ他社が参入していないのか

さらに最悪の事態を考えると、 大型スーパーの隣などにコイン精米機を設置された場合です。

地方の大型スーパーには、とても大きな駐車場が完備されていますし、そのまま野菜や食料品を購入することができます。 もちろん、玄米の米も販売されています。

このように、競合他社が有利な場所にコイン精米機を設置した場合、 上記の収益がさらに低くなると想定できます。

当初の見込みでは、1日10人利用して年間100万円程度儲かる予定ですが、実際に蓋を開けてみたら、年に20万円程度しか入らない可能性も十分に考えられます。

お金に余裕がある農家やJAなどが参入していないことを考えると、 かなりシビアに設置場所を考慮しないと、 安定的に利益を出すのは難しそうです。

精米需要と食生活の変化

さらに、大きな問題があります。 それは、日本の人口が減少していくことと、 米の需要が減少している点です。毎日、山盛りの米を食べる若い人たちは少なくなり、 それだけでなく、朝食はパンで済ませてしまう人も多いです。

特に一人暮らしだと米を炊くのが面倒なので、 蕎麦やうどんなどの観面で済ませてしまう人も多く存在しそうです。また、スーパーのパック、ライスコーナーも充実していて、私は利用していないのですが、中にはこうしたレトルトのご飯で済ませてしまう人も増えているのではないでしょうか。

食事にこだわっている人は今度は、私のように家庭用の精米機を利用して食べる直前に精米するようなユーザーも増えていると思います。

私が購入したこの機種では、たった1万円程度で24時間いつでも自由に精米ができ、精米した米が古くなることがありません。5合までであれば、食事前に簡単に精米することができるので、こうした機械を利用する人も増えていきそうです。

コイン精米機は儲かる?

これらの話の前提として、自分の土地を持っている、 そして余っている駐車場がある、といったことも忘れてはいけません。都合よく幹線道路沿いに土地があり、そこに通る人が多くないと、そもそも利用者に発見してもらうことも難しいです。

コイン精米機を設置するために土地まで購入した場合は、もはやそれは天文学的な難易度になってしまいそうです。

また、うまく成功した場合でも、セブンイレブンのように近くに競合他社がより魅力的な機械を設置してくる可能性もあります。セブンイレブンはフランチャイズ店が儲かっていると、その利益を分取ろうとして直営店を出したりすることもあるので、同じようなリスクが存在します。

料金の架空の計算をしてみて、漠然と年間の収益は20万円から40万円程度に収まるのではないかなと思っています。幹線道路沿いに土地が余っていて、中古の機械を安く入手した場合なんかは、もしかしたらうまく儲けを出すことが可能かもしれません。

ただ、一般人がこうしたツイートを見て、安易に挑戦しようと手を出すと痛い目にあってしまうかもしれませんね。

タイトルとURLをコピーしました