農村にある古びた教会で、毎月催されるオルガン演奏を眺めているような感覚。お世辞にも華やかとは言えず、単調で定型的な味わいで、古樹でもなく霊的なものはないけれど、求めるブルゴーニュの味わいを最小限で表現をしている。
抜栓直後は強い酸味が目立った。とても耐えられないと思い丸二日間を常温で放置すると、角が取れてベビーキャロットのような優しい甘みと苦味。大納言小豆を煮るときの香りと渋み。どれも懐かしく、遠く昔の記憶を思いこさせてくれるような感覚。
料理に合わせるのではなく、ラングルやシェーブルのような熟成チーズと、揚げてドライにした根菜。老いた祖父と暖炉の前での飲み交わすようなワインな気がする。