最近まで、とある宗教施設にいたのでボルドーワインを一切飲まない生活を送っていました。「久々に美味しいボルドーでも飲もうかな?」と思ってふらり辿り着いたのがリカーマウンテン。
ボルドーワインの棚を舐め回すように眺めているとセール!という文字と一緒にソシアンドマレが輝いているではないですか。通常価格5,800円が3,980円!「え!?マジ!?」と慌ててスマホで、ソシアンドマレについて調べると、大手酒販サイトでは9,000円で売られているほどに高級なワインだったのです。
「これは試してみる価値あるなあ!」と購入して意気揚々で帰路につくことに……そう地獄への片道切符を手に
Chateau Sociando Mallet ソシアンド・マレは甘美な響き
シャトー・ソシアンド・マレは、サン・テステフ村に隣接するサン・スラン・ド・カドゥルヌ村のシャトーです。1850年の所有者の未亡人、マレ女史の名をとって名付けられたそうですが、ちょっと縁起悪いなぁ〜と思ってみたり。
さっそく事務所に戻ってワインを抜栓してみることに。
お、おお、、!(画像省略)
某漫画のように、ソシアンドマレの優雅な香りにうっとりしてしまいました。
一口飲むとカベルネ・ソーヴィニヨンの凝縮したが果実が鮮やかな酸をみせてくれます。凝縮したエキス、ブラックカシスのような香りも立ち上がり、ときおり百合の花のような生の花の香りまで飛び出してきます。
これは…当たったな!!
リカマン ダイスキ〜♪リカマン ダイスキ〜♪
翌日にリカーマウンテンに行くと、完売しているじゃあないですか……。
そ、そんなー
がっかりしつつ、帰ってリカーマウンテンのホームページを見ると、在庫MAX!!!
しかも本日限りペイペイモール8%OFFクーポン配布!さらに6%ポイント還元!
計算すると1本当たり3,344円相当の安さです。7,000~8,000円の味わいが3千円で楽しめるなんて、最高!と思って12本購入してしまいました。
ああ、なんて最高の気分なんだ!
数日後、早速もう一度あの甘美な香りを楽しみたいと思って、はやる気持ちを押さえきれずにコルクを抜栓してしまいました。
なんだコレ!?
この前飲んだソシアンドマレと別モンやんけ……。
よくよく見ると、実店舗のリカーマウンテンで購入したのは2012年、今回12本も購入してしまったのは2013年でした。
数年ぶりにボルドーを再開した浦島太郎爺さんに「オフヴィンテージ」という概念が生まれた瞬間でした。2012年は美味しいのですが、2013年は水っぽくブヨブヨしていて香りも全然ない。
同一のワインとはとてもじゃないけど思えないほど酷く醜いワインでした。
2013年のことをすっかり忘れて1ヶ月
あまりに衝撃的な出来事で、その日のことを忘れるようにワインセラーにソシアンドマレ2013年を詰め込んで1ヶ月経ったある日。
久々にボルドーワインでも飲もうと、ある友人と会ったときに抜栓することに……。
ここからが本当の地獄でした。
「これ、2012年と比べるとあんまり美味しくないけど、まあ飲むか!」と、テンション低めてコルクを空けてグラスに注ぎました。
「あれ?濡れたダンボールのような臭い……あ、ブショネやんけ」
泣きっ面に蜂とはこのことを指すようです。
気を取り直して残り10本もある2013年を再び開けることに……
「え!?コレもブショネ!??」
疑心暗鬼になり、口にたっぷりワインを含みますが、飲み干せるようなコンディションにありません。熱劣化ではなく確実にコルク由来のブショネでした。
コレも、ポン!コレも、ポン!コレも、ポン!
結局6本空けたところで、これ以上意味がないことに気が付きました。
クソマレめ〜〜〜!!二度と買わない!!!!!!
同一の製造管理だったためか、全てのコルクに問題があったのか、亜硫酸の添加が足りないのか、今となっては分からないことですが2013年のシャトー・ソシアンド・マレは非常に出来の悪いワインということが分かりました。
そして偶然最初に手に入れたワインは、店舗にバックビンテージが残ったままセールがかかってしまった異例で、その店舗も2013年が補充されていました。
つまりオフビンテージということもありますが、傷んでいる率が高いことを知りつつ安価で出荷しているシャトー、インポーター、販売店いずれも共犯者といえそうです。クレームをつけても「一度空けたワインは〜」となだめられるだけですので、諦めて捨てることにしました。
本当にワインの煮込みにも使えないような酷い状態でした。ブショネなのでお風呂の入浴剤にもなりません。
夢の3千円安ウマボルドーワインは、飲めないワインという無駄な出費とともに消え去りました。ワインというのは慣例的に最終的な消費者が責任を負う仕組みになっています。普通の食品は、パッケージをあけて腐ってるとメーカーのお客様担当が慌てて回収して良品に交換してくれます。1本数千円も払って、それが6本腐ってようと交換できないのがワインの厳しい世界なのです。
実際に先日のグロ・フレール・エ・スールのSO2無添加問題も、「抜栓されたワインは健康なので返金できない」とひどく豆った酸化ワインを受け付けてはくれませんでした。ただし、その件では未開封品は返品できたので、相談する価値はあるかもしれません。
みなさんもシャトー・ソシアンド・マレには気をつけてくださいね……。
美味しいビンテージは感動しただけにガッカリ感も大きかったです。
(以下 公式サイトより引用)
ジャン・ゴートロー氏が発見したソシアンド・マレ
ジャン・ゴートローは、1969年にベルギーの顧客のために購入するワインエステートを探していたときに、サン・スーラン・ド・カドルヌ村のソシアンド・マレを発見しました。一目惚れしたのです。しかし、テロワールは素晴らしく、ドメーヌからはジロンド河口を見渡せる素晴らしい景色が広がっていました。ジャン・ゴートロー氏は、すぐに25万フランスフランでこの土地を手に入れることを決めました。
当時、ブドウの木は5ヘクタールしかありませんでした。建物の状態は悪く、樽貯蔵庫もなく、小さな桶部屋とガレージがあるだけでした。シャトーで働いていたジェラール・クレアの助けと助言を得て、ジャン・ゴートローは最初のヴィンテージをまずまずのものにし、2番目のヴィンテージを素晴らしいものにした。彼は、ソシアンド・マレの特別なテロワールが、ギュンツの砂利と粘土質の下層土で構成されており、優れたカベルネ・ソーヴィニヨンの栽培に適しており、素晴らしい新鮮さを持つワインを生み出すことができたことに助けられました。ジャン・ゴートローは、近所の人からブドウの木を買って、年々ブドウ畑を拡大していきました。また、最高の品質を求めて、建物の改築、樽貯蔵庫の建設、ブドウ品種の選定などを行い、各区画に適したブドウ品種を徐々に増やしていきました。
現在では、83ヘクタールの敷地で、年間約45万本のシャトー・ソシアンド・マレとセカンドワインのドゥモワゼル・ド・ソシアンド・マレを生産しています。ジャン・ゴートロー氏は、2000年にネゴシアン事業を売却し、現在は自社のワイン・エステートの管理に専念しています。
ソシアンドというバスクの貴族
シャトー・ソシアンド・マレは、オー・メドック地区のポイヤックの北10kmに位置するサン・スーラン・ド・カドルヌのコミューンにあります。1633年3月の文書によると、ここの土地はバスク出身のソシオンドという貴族が所有していました。彼の家族の一人はバイヨンヌの司教であった。また、1750年の文書には、Demoiselle Anne de Sossiondoが所有していたブドウの木が記載されています。長年にわたる様々なスペルミスにより、”Sossiondo “は “Sociando “になりました。
古文書によると、ソシアンドに住んでいた王党派の事務弁護士ギヨーム・ド・ブロションは、1793年のフランス革命で逮捕されました。彼の財産は押収され、革命政府によって競売にかけられ、義理の父であるジャン・ラモテが手に入れました。
1831年、ラモテの姪でソシアンドの所有者であったマリー=エリザベート・アラレは、海軍士官のアシール・マレと結婚した。当時、シャトーに自分の名前を付けることが習慣となっていたため、以後、シャトーは「ソシアンド・マレ」と呼ばれるようになりました。
アラレ家は、1878年にレオン・シモンの手に渡るまでソシアンド・マレを所有していました。
その後、ジャン・ゴートローが到着するまでの間、シャトーは、ワイン商のデロール社、サン・スラン市長のルイ・ルレ、そして当時ポントワズ・カバラスを所有していたエミール・テレイジョルに属していました。
シルヴィとアーサーと
90歳の誕生日を目前に控えたジャン・ゴートローは、1967年に生まれた娘のシルヴィーに経営を譲ることになりました。1967年生まれのシルヴィは、ジャン・ゴートローとコレット・ゴートローの間に生まれた一人っ子である。
ソシアンド・マレーは、シルヴィの子供時代の遊び場でした。彼女は幼い頃から父親に付き添い、ブドウの木をよく観察し、ブドウが熟すのを見ることを学びました。今では、定期的に行われるテクニカルテイスティングに参加し、チームと一緒に最終的なブレンドを選ぶことを楽しんでいる。
彼女は、自分の土地であるソシアンド・マレを生き、呼吸し、シャトーの精神を体現しているのです。彼女こそがソシアンドなのです。さらに、シルヴィはこの精神を息子のアルトゥールにも徐々に浸透させている。