ブルゴーニュワインというと、赤ワインの方が有名ですが、実は白ワインも非常に奥が深いものです。例えば、コルトン・シャルルマーニュやピュリニー・モンラッシェは高級フランス料理店でも提供されるほど品質の高いワインです。
特にモンラッシェは、シャサーニュ・モンラッシェ村とピュリニー・モンラッシェ村にまたがる優れた土壌で作られたワインで、ルイ・ジャドやブシャール・ペール・エフィスといったドメーヌのものでも10万円以上、ドメーヌ・ラ・ロマネ・コンティのモンラッシェともなると、100万円近い価格で取引されています。
一方、手軽に楽しめるブルゴーニュワインとしては、シャブリ、ジブリ、マコンが有名です。これらは比較的南の地域に位置し、広いブドウ畑で大量生産できる特徴があります。価格も2,000円台から購入可能で、デイリーワインにはなりませんが、毎週のように楽しむ方も多いでしょう。
今回は、ミッシェル・ニーロン、ドメーヌ・ラモネ、そして赤ワインで有名なアンヌ・グロの白ワインをテイスティングしてみました。
アンヌ・グロ ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイ ブラン キュヴェ・マリーヌ2019 (Anne Gros Bourgogne Hautes Cotes de Nuits Blanc Cuvee Marine 2019)
このワインは、シャブリのようなキレのあるミネラル感を持ちながらも、塩っぽさが際立つのが特徴です。ヴォーヌ・ロマネの斜面上に位置する畑で育ったブドウから作られており、特有の乳酸のような香りが強調されています。これは時間が経過すると軽減される可能性がありますが、今の段階では少し主張が強すぎる印象を受けます。
10日後には、酸化による美しい変化が見られ、甘さや乳酸の香りが消え、極めてドライでミネラル豊かな味わいに変化しました。熟成には期待が持てるものの、飲み頃を見極めるには慎重さが必要です。
ミッシェル・ニーロン シャサーニュ・モンラッシェ2019 (Michel Niellon Chassagne Montrachet 2019)
このワインは、非常に繊細で美しいバランスが特徴です。バターミルクやレモンを思わせる柔らかな香りに、ミルク飴のような甘みとクリーンな仕上がりがあり、まったく雑味がありません。余韻は中程度でありながらも、飽きが来ない丁寧な作りが感じられます。
特筆すべきは、3日後でも酸味が美しく保たれている点です。さらに、10日間経過しても灯油やナッツのような深い香りが出てきて、酸化による悪影響がほとんど感じられません。おそらく、このワインは今後10〜20年の熟成に耐えられると考えられます。
ドメーヌ・ラモネ・ブルゴーニュ・ブラン2015年 (Domaine Ramonet Bourgogne Blanc 2015)
ラモネのブルゴーニュ・ブランは、まるで芸術作品のようなワインです。開栓直後から広がる香りは、菩提樹やアザミのフローラルなニュアンスが特徴的。口に含むと、和栗や発酵バター、ウイスキーの開封時に感じるようなアルコールの香りが、ねっとりとした口当たりに調和しています。特に、酸味が海の波のように穏やかに広がり、余韻は非常に長いです。
飲み進めると、レモンバターのような風味が際立ち、雑味がなく濃厚な仕上がりです。ただ、3日目になると味わいが単調になるものの、酸味が際立ち、エレガントな印象が強まります。燻煙の香りがわずかに現れ、興味深い変化を楽しめますが、ピークは最初の2日間のようです。
有名生産者の白ワインは美味しいのか?
これらの有名生産者が手掛けるブルゴーニュ・ブランは、それぞれが個性豊かで異なる魅力を持っています。ラモネのブランは、やや樹齢の若さを感じさせる部分もありますが、その香りの豊かさと味わいはまさに一級品です。ニーロンは、長期熟成に耐えうるポテンシャルを備えており、その洗練された仕上がりが際立っています。一方、アンヌ・グロのワインは、時間をかけて酸化の進行とともにその変化を楽しめるワインで、経年変化に対する期待が高まります。
全体として、これらのブルゴーニュ・ブランは、熟成によるさらなる深みや変化を楽しむことができる素晴らしいワインです。特に、時間をかけてじっくりと熟成を楽しむ余裕がある方にとっては、これらのワインはまさに理想的な選択肢でしょう。
手軽な価格帯のブルゴーニュ白ワインもある
また、ブルゴーニュワインは年々その人気が高まり、入手が困難になると同時に価格も急騰しています。今回の購入価格は、アンヌ・グロが6,000円、ミッシェル・ニーロンが7,000円、そしてドメーヌ・ラモネが1万円程度でしたが、現在ではこれらのワインが2倍から3倍の価格にまで高騰しています。私自身、ドメーヌ・ルフレーブのワインも数本所有していますが、価格がさらに高くなっているため、開けるのを少し躊躇しているのが現状です。
当時でも高価だと感じていましたが、現在の市場価格を見ると、フランスのワインが「世界で最も高級」とされる理由が実感できるほどです。
それでも、1万円以下で購入できる有名生産者のワインとして、私は「ドメーヌ・ラモネ ブルゴーニュ・アリゴテ」をおすすめします。かつてはアリゴテという品種の白ワインが苦手でした。特に、その独特な匂いや強いクセが理由で、飲みにくいと感じていました。しかし、ドメーヌ・ラモネのアリゴテに関しては、そのようなネガティブな要素が一切感じられず、むしろ透明感があり、エレガントで、シャルドネにも匹敵するほどの華やかな香りが特徴です。特に少し冷やして飲むと、喉を通る際の香りが格別に素晴らしくなります。
少し前までは4,000円程度で販売されていたこのワインも、現在は値段が上がり、8,000円前後になってしまいました。しかし、高級白ワインの世界に一歩足を踏み入れたい方にとって、このワインは依然としておすすめできます。
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また、更に安い価格帯でブルゴーニュワインの片鱗を味わいたいのであれば、マコン・ペロンヌも良いです。この価格帯とは思えない品質で、ブルゴーニュ白ワインの偉大さが味わえます。
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