「いつまで使って良いか分からないものランキング No.1」を獲得しがちなのが香水。
一般的に未開封で3年、開封後で1年と言われています。日本の薬機法(医薬品医療機器等法、旧薬事法)では、製造後3年以内に変質する化粧品以外は、使用期限を表示する義務はありません。
流通している時点で時間も経過していますし、ブランド買取専門店など二次流通しているものは下手すれば10年以上前の未使用香水を掴まされることがあります。ココ・シャネルNo.5やゲラン・ミツコなど王道の香水はパッケージが何年も変更されないこともあり、製造年月を調べないと古いものを買ってしまうことがあります。
確実に言えることは新しい方が良い香り
これだけは絶対に間違いないのですが、製造してから日が浅い(=新しい)方が良い香りです。
調香師が想定している香りは、製造時がピークです。
それ以降はゆるやかに香気成分が変質したり、エタノールが揮発したりと予期せぬ香りに変化してしまうことがあります。
どう変質するかは香水の成分と保管状況次第
Yahoo!知恵袋などでは「私の使っている○○(銘柄)は開封後3年経っても使えますか?」といった質問が見受けられます。
これは答えにくい質問で、香水の使用期限はその銘柄によっても異なりますし、保管状況の温度や湿度、日光の有無によっても異なります。さらに言ってしまえば本人が「よし!」とする閾値によっても違いがあるので、絶対に答えがでない問題です。
開封後3年でも5年でも使える??
アルコールが変質していない限り、開封後に数年経っても使うことができます。
食品に例えるなら醤油が近いですね。お弁当なんかは明確に痛んで食中毒になる!という危険が分かりやすいのですが、調味料は「本人が良いと思うならずっと使える」という一面があります。
醤油も味覚に厳しい人であれば、常温で数日放置しているだけで「酸化してきて臭い、不味い」として捨ててしまいます。
ところが味も香りも無頓着の人であれば開栓後に1年経っても「まだまだ使える」と発酵臭や酸っぱさを気にせずに使ってしまいます。
同じように香水も、香りに厳しい人は数ヶ月で「あれ?トップノートのフレッシュ感が無くなってきた」とネガティブに思って使うのをやめることがあります。しかし、香りに無頓着の人は3年でも5年でもまだまだ使える!と使ってしまいます。
一般的にはトップノートとミドルノートが弱くなる
香水は香料とエタノールの比率で、パルファム、オーデパルファム、オードトワレ、オーデコロンと4種類に分けられます。
一番パルファムは、エタノール濃度=賦香率が15~30%で、持続時間も5~12時間と半日近くあります。
そのような長時間の香水は、スプレーした直後のトップノートから、翌日から数日間残るラストノートまで順を追って香りが経つように設計されています。
開栓後の香水は一般的には、このトップノートとミドルノートが早く揮発してしまい、ラストノートしか残っていないという変質の仕方をします。香水を支えるのがラストノート部分で、骨格がある香りが用いられますが、それも2〜3年すると少しずつ変化します。
変質した香水を元に戻せる?
経年変化した香水は不可逆的なので元にもどすことは不可能です。
コスメ用の冷蔵庫ボックスに入れて、熱と紫外線を避けることで比較的長期間に渡って良い状態を保持できます。
私の個人的な考えでは、最も良い保管方法は湿度と温度を一定にしたワインセラーで保管する方法ですが、そこまで神経質になるよりも購入する香水を小さいサイズにして半年から1年間で使いきってしまう方法が一番です。
変質した香水は捨てるしかない
熱劣化やブショネのワインと同じように、変質した香水は別の用途につかうことができません。
まれに寝香水やルームフレグランスを勧める人がいますが、嗅覚がバグってしまうので捨てることをおすすめします。
世の中には飾るだけで満足な人もいるようなので、定期的に使いかけをメルカリやヤフオクに出してしまうのも良いかもしれません。