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SONY MDR-EX1000 レビュー

コンサートホールで聞くような自然で音の空間が広い。
1曲聞いただけでも既存のイヤホンの概念とは一線を越しているということが伝わってくる。

EXモニターシリーズ最上級のMDR-EX1000

MDR-Z1000を購入してしばらくすると、どうしてもMDR-EX1000を所有したい。という禁断の症状が出てきます。
サイズからしてMDR-Z1000のほうが値段が高そうですが、なぜかこのEX1000の方がZ1000より価格が高いのです。

ただ、僅かに聞いただけでもこの機種がただ者ではないことはすぐに分かると思います。
解像度と音の幅、広がりだけでいえばヘッドフォンのZ1000よりも優れているといえると思います。
MDR-EX1000は一部のカスタムオーダーモデルを除けば、おそらく国内最上級のイヤホンになると思います。
安いイヤホンと、また同じクラスのイヤホンと何が違うのか、そして高い金額でも買う価値があるのか写真を沢山掲載しながら独断レビューをしたいと思います。

豪華な化粧箱と多彩な付属品

グレーのヘアラインの化粧箱が既にただならぬ気配を感じさせています。
上ふたは斜めになっていて少し変った箱です。
そして箱を開けると!またなかには中敷きが!
NUDE EXまさにEXモニターシリーズの後継機種を象徴する記載、名機MDR-EX90SLやMDR-E888SPなど多数の高音質モニターイヤホンを世に出してきたNUDEシリーズの最高潮に相応しいと思います。
そして中敷きを外すと中はまるでイヤピースの見本市。
これまたIE8と同じように1つ自分に合った物が決まると他は使わなくなる定め・・・。
箱自体に植毛加工を施してあり、とても高級感があります。

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MDR-EX1000の音質レビュー

まるでコンサートホールの座席で聞いているように、音が完全に前から鳴っている。
イヤホンから直接耳に音が届くのでなく、スピーカーのように離れた目の前の位置で演奏しているように聞こえる。
ボーカルは中央に立って歌っているのが分かる。
ドラムセットが全て分かれて聞こえて、音がぐちゃぐちゃに重なり合うと言うことはない。
何曲か試すとアコースティックギターは指使いまでがリアルに伝わってくる。
振動板には液晶ポリマーフィルムが採用されていて、素材特有の高い内部損失の為に余計な音が残響せずに澄んだ音が出せるということらしい。
またMDR-Z1000と同じようにハウジングにはマグネシウムを使用していて軽量で十分な強度を実現している。
色々と特徴を箇条書きしたけれど、やはり最終的には好みの問題になってしまう。
特性はフラットで格別解像度が高く感じて2,3時間のリスニングでも全然疲れず聴けるので驚くほどの迫力感はないもの綺麗な音で長時間聴けるというのはハイエンドイヤホンならではの特徴だと思う。
ただギターを演奏する友人に視聴して貰ったことろ、彼にとってはオルトフォンのe-Q7の方が評価が高く「e-Q7の方がギターのアタック感が前面に出てEX-1000は感動するほどではない。」とのことらしい。
EX-1000はスピーカーで聴いているように離れて鳴っているように感じて、自分にとってはもの凄く心地良いけれど、友人は耳のすぐ横で鳴るイヤホンが好きでEX-1000は遠すぎると言っていたので思いの外に好みが分かれる機種かもしれない。

MDR-EX1000とMDR-EX600 MDR-EX800STとの比較

MDR-EX800ST

MDR-EX800STはEX1000と比べても外観的に目を見張る物があり、はっきり言ってとても格好いい。左右のイヤホンが色が違うなんて・・。と思っていたけれど、実物を見ると金属のねじ込み式のダイヤルがLUMINOXの腕時計のようで格好いい。
音はMDR-EX1000と比べると鳴っている音の広がりが狭く感じて、壮大でダイナミックに鳴っているEX1000と比べるとどことなく寂しく素っ気なく感じる。
ところがピアノの音はオルトフォンのe-Q7のように自然で、本物の楽器の音に近い音作りとなっている。
しもつきんのような女性ボーカルの曲は無機質な感じがするものの、大編成クラシックには向いていて、静かな演奏から急激に盛り上がる部分など綿密に再現されて地味な固めな音なのに妙に迫力がある。
言葉では伝えにくいけれど、クラシックやピアノの無音の部分が伝わってくるのでフォルテの部分が引き立つ。EX1000と同じように遠くで鳴っているので、クラシックやピアノが好きな人にはMDR-EX800STもお勧めできる。
ただやはり、どんな曲も綺麗に表現するウィークポイントの少ないEX1000と比べてしまうと視聴するジャンルによっては不満が出てきてしまうと思う。

MDR-EX600

MDR-EX600はEX1000のブランドイメージを踏襲するモデルなだけあり、音の傾向はとても似ている。
最初はEX1000の値段が高すぎるので、EX600を買うつもりだったけれどじっくり視聴すると音色は両方の機種にているけれど、演奏しているときのスケールが大きく異なりEX600が狭く感じてしまう。 車で例えるとクーペなどで名前や外見、特徴は同じでも2000ccと3000ccで加速やトルクの差を実感することが多々ある。まさにそんな感じで、2つを比べるとどうしても上位モデルが良く思えてしまう。

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他メーカーの高級イヤホンとの比較

同価格帯などで語られる事の多いイヤホンとの比較も簡単に記載したいと思います。
(ShureとUEに関しては視聴ですので、短時間で感じた傾向になります。)

Ultimate Ears Triple.fi 10 Pro

エレキベースからウインドチャイムまで全域で文句の付けようがない。
ボーカルの声はモニターサウンドでMDR-EX1000と同じような傾向に感じた。
長時間聞いても疲れないような音作りで、色々なジャンルを試しても音が曇ったりすることがなくクリアに聞こえる。
少し前に一時的に価格が下がって2ウェイ3スピーカー(高音域1基/中低音域2基)というワイドレンジもあり、まさに定番中の定番と言われていた。
今は各メーカー多用なBA機種を出しているので、当初のインパクトは薄れてしまったもの優秀な機種だと思う。

sennheiser IE8

10proやMDR-EX1000とは全く傾向が違い、厚みのある低音に定評があるIE8。
ボーカルの声はしっかりと芯があり、モニターというよりは多少味付けされている。
ロックやドラムンベース(アダムFのような)はEX1000より迫力があってお勧め。
長時間きいていると耳が痛くなって疲れてしまうのは致し方ない。 ピアノやアコースティックな楽器には写実性が低く透明感が少ない。
もとから割り切って使えばとても良い。

ortofon e-Q7

お世辞にもあまり有名とは言えない国内メーカーだけど、アコースティックな音に関してはMDR-EX1000と同じように特出している部分がある。
特にグランドピアノの独奏やバイオリンの無伴奏ソロなどMDR-EX1000やEX800STにはない緊張感があり、実際の楽器の音に近いと言う意味での再現力はe-Q7の方が優れているように思える。
東京のソニーミュージックスタジオに入る機会はさっぱり無いので真偽の程は不明だけれど、仮に収録スタジオでマスタリングしているときの音が原音というならば、EX1000の方が原音再生という印象がある。
音楽を気持ちよく聴くという意味では少し解像度が低いけどe-Q7の方が心地よく聞ける曲も多いのでEX1000を購入する前に少し聞いてみると良いかもしれない。
ケーブルは交換できず、弱いジャンルもあるので多彩な曲を聴く人がメインで使うには向いていない。

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モニターヘッドフォンのMDR-Z1000との設計思想

同時期に発表されたMDR-Z1000は同じ「MDR」モニター最高峰の1000シリーズで、イヤホンとヘッドフォンという違いこそあるものの、設計思想やコンセプトは似ている。
全域に渡りストレートでフラットな音色で、所謂かまぼこやドンシャリではなくZ1000、EX1000ともにダブルベースの周波数が低い音からソプラノ・バイオリンのキンキンと耳に響くような高い音まで忠実に再現されている。
どちらか一方を買うと、もうひとつも気になってしまうこと必至なので買うときは覚悟する方が良いかもしれません。
そして揃えてしまうとイヤホン、ヘッドフォンスパイラルが少しは落ち着くと思います。

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MDR-EX1000をiphone4直差し、QA350やDAC(HP-A7)での視聴比較

EX1000本体の性能が良いのでやはり再生環境によっても音が左右されます。
e-Q7の視聴でも感じたようにiphone4に直接差して聞くと性能が生かし切れません。ただ本体のポテンシャルが高いので直差しでも純正イヤホンと比べると天地の差で感激を受けます。
HP-A7やQA350で再生すると瑞々しさが増して音の鳴っている空間をよりはっきり感じられます。
EX1000の解像度がとても高いので、上流の部分をしっかりとした再生機器を使うことによってイヤホンの良さを最大限に生かせると思います。(月並みな意見ですが)

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イヤピースでの比較 ケーブルの脱着

あまりの付属品の多さに驚きました。頑丈なアルミ製のケースに、豊富なイヤピース。
これでもかというくらい至れり尽くせりで、凄く満足感があります。
でも実際にはケースなど使わないものが多いし、イヤピースもお気に入りが決まれば他のものを使わなくなるので、正直言うとシンプルなパッケージングにして価格を少し抑えて欲しかったです。
値段帯の棲み分けの為にはっきりと価格が分かれているという意味もあると思います。
ケーブルは2種類付属していて、1.2mと60cmがあります。
正直に言ってしまうと両方微妙です。60cmだと短く1.2mだと長いです。
iphone4に差してポケットにいれても1.2mだとまだまだ余裕があります。
ただ2本も付属するというのはとても嬉しい限りで、万一断線したときも代替ケーブルを注文して待っている間も予備として使えるので頻繁に使う人も困らないという訳です。
ケーブルやジャックの質感は非常に良く、柔らかくしっとりとしたケーブルに削りだしのようなジャックは格好良く、値段相応なだけあります。
色も白赤があるので差し替えるときも直感的に迷うことがありません。
また、差し込み方向もガイドがあるので決まった向きにしか刺さらず。こういった細かい点の配慮がされているので好感が持てます。
イヤーピースの違いは残念ながら自分にはよく分かりませんでした。
ハイブリットというイヤピースは中にスポンジが入っていて遮音性に優れているらしいのですが、通常のシリコンピースの方が高音質に感じます。
ゼンハイザーのIE8に付属しているものと違い、種類は少なく、その代わりにサイズが細かく揃っています。
また色で分かれているので、混ざってしまってもジグソーパズルのようにどのピースとどのピースが正しいか何十分も迷わずにすみます。

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質感の高いMDR-EX1000専用本革ケース

純正の付属品として手触りの良いMDR-EX1000専用の本革ケースが付属する。
まるでこのまま、結婚して下さいと言わんばかりの豪勢さで、オルトフォンe-Q7の本革ケースよりも更に丈夫で厚みがあり別売りアフターパーツで4,5千円はしそうなほどかっちりと作ってある。
質感はe-Q7のケースとは違いコードバンではなく、ラムレザーのような柔らかめの素材で、補強が入っている。
できればこれに入れて持ち歩きたいものの、収納はハードモードでコツをつかんでもすぐに入れることはできない。
そしてイヤハンガー部分を一度癖を付けて収納しなければならないので、実用できではなく家宝として結婚指輪のケースのように取っておく代物であるのだ。

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MDR-EX1000の総評

高次元というと抽象的だけれど、既存のイヤホンとは別物。
上記で書いた3万円前後の機種を聞いた後でも十分すぎる程のインパクトを感じたので、良い悪いは別として一度は聞いてみて欲しいイヤホン。
ただ、価格設定がびっくりするくらい高く手を出しにくいのも事実。
逆を言うと国内の最大手のソニーが定価6万円でイヤホンを出すと言うことがどう言うことか、はっきり分かる機種なのは確か。
兎に角とことん本気で作り込んである事は間違いないです。
圧縮音源やDTM、動画共有などカジュアルミュージックが主流のこの時代にここまで追求した機種を出すというのが凄いと思います。

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