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時代遅れのスーツを着ていませんか?? 『現代スーツの基本』

時代遅れのスーツを見分けよう!

スーツをお洒落に着こなすうえで最初に気をつけたいのは、持っているスーツや買おうとしているスーツが古くさい、時代遅れのスーツではないかということ。

もちろん新品で今から購入するスーツが時代遅れということはないかと思いますが、ヤフオクや古着屋などで購入したり、しまってあったスーツを着たりする場合にはもしかすると非常に時代遅れなスーツである可能性があります。

そういうわけでネット上でも「時代遅れのスーツ」というのが避けるべき対称として語られ、「10年前のスーツなんか古くさくて着れない」なんていうことが話されているわけです。

しかし実際に「古いスーツと今のスーツの何がどう違って、なぜ昔のスーツが古くさいのか」を具体的に語ることのできる人というのはどの程度いるでしょうか。

もっと具体的に言うなら、今のスーツは昔のスーツを細くしただけのものではないのです。今からその具体的な見分け方を紹介しましょう。

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写真を見ると、なんとなくどちらが古いスーツか分かってしまうのが面白いところです。

具体的に古いスーツの特徴を挙げていきましょう。

①シルエットが緩い

②肩パットが厚い

③ラペルが広い

④ノッチの位置が低く、開きが広い

⑤フロント・カットの開きが狭い

⑥丈が長い

⑦生地が堅い

細かく見ていけば他にもあるかもしれませんが、一旦はこのくらいで考えていきましょう。①から順番に解説していこと思います。

タイトなスーツが基本

Boggi

①シルエットが緩い

これは古いスーツの特徴として最も有名な話ですね。今はタイト・スリムなシルエットが流行っているため、ダボッとしたスーツは時代遅れとされています。

この緩いシルエットのスーツは、バブルの頃にジョルジオ・アルマーニが提唱したシルエットでもあり、団塊世代のアイビースタイルに憧れたスタイルでもあるでしょう。

スタイルを良く見せるのはやはりタイトなシルエットですので、時代遅れ、見た目が良くないという理由から、緩いシルエットのものは今では嫌われています。

「でもタイトの時代もすぐ終わるだろう」

という意見もありそうですが、スーツの基本は実はタイトなのです。もちろん現代のデザイナー系ブランドがこぞって作っているような極端なタイトではありませんが、ウエストがキュッと絞られていて、身体のラインを強調するのが英国トラッドのスーツなのです。

ですからラフなシルエットのものは避け、積極的にタイトめなサイジングに挑戦しましょう。

古いスーツを細くしても『今のスーツ』にはならない

italy fashion

しかし現実には、古いスーツをお直し屋さんに持っていって、タイトなサイジングにしてもらったところで「今のスーツ」は出来上がらないことが多いです。

それはなぜか。それには②〜⑤の要素が関わっています。特に③以降はあまり語られていないことなので、基調な情報になるかと思います。

まず②の肩パットについて。昔のスーツを見て、やたらと怒り肩になっていることが多いのは、分厚い肩パットのせいです。イギリス的で構築的なショルダーラインというよりは、無駄に肩を強調した無用に分厚い肩パットが入っていることが多いです。

現代のスーツはアンコン=アンコンストラクテッドと呼ばれる非構築的で自然なラインのものが多く、芯材が一切省かれているものも少なくありません。

基本はわずかに厚みを増すような薄いパットのものを選ぶのがおすすめ。パットが襟や前身頃まで入っているようなものは現代には軽やかさが足りない、時代遅れのスーツです。

③のラペルが広いという点ですが、これは一概には言えない難しい点です。

例えばベルベストやカルーゾのジャケットは、今の時代でも非常に広いラペルのものを作っています。これはこれらのブランドが、時代に流されないスーツ作りを目指しているからですね。

だからといって古くさいかと言われると、むしろかっこ良かったりします。

しかし今のスーツのメインは「標準的なラペル幅」です。細すぎるものも、そろそろ終わりが来始めていますから、避けるべきでしょう。

④のノッチの位置と開き。これは実はスーツの印象にかなり大きく影響している割に、スーツの時代性を考えるときにあまり出てこない話です。

写真を見比べてみると分かりますが、現代のスーツはかなり高めのゴージラインになっていますね。

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それに対して昔のスーツはノッチの位置が低めの位置に設定されていることが多いです。060-201410121826_1

また前身頃の裾の部分の開きのことをフロント・カットと言いますが、古いスーツはこのフロントカットが狭く(上)、今のスーツは深く切れ込んでいることが多い(下)。

 

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これら襟やフロントカットの形のせいもあって、昔のスーツを細身にしても今のスーツにはならないのです。

スーツの丈の長さはどう決めるのか

ではスーツジャケットの丈の長さはどうでしょう。一般に尻が隠れる長さが良く、最近では短めの丈が好まれているとされています。

しかし実際に見てみると、丈の長さが極端に短いスーツを着ている人は全体の数割程度。その他の人たちはむしろ長過ぎるようなスーツを着ていることが多いです。

あえて言い切ってしまうなら、スーツの丈の長さは時代にはそれほど関係ないと思います。むしろ、身長や体型に合わせていくのが良いでしょう。

例えば足が短くて、胴が長く、体型ががっしりとしている人が尻がすっぽりと隠れる長さのスーツを着ていたらどうでしょう。

だらしなく丈が長過ぎるスーツジャケットとなってしまい、少なくともスマートな着こなしとはかけ離れたものとなってしまいます。

しかしそういう体型に悩んでいる人は多いです。そんな人は少し短めの丈で、尻が半分かくれる程度のものを着てみましょう。一気にスマートになって、スタイルも良く見えます。

逆に身長が高くて細身な人が丈の短いスーツを着るのは、頼りなく貧相な印象になってしまいます。せっかく身長があるのであれば、スーツは尻が4分の3ほど隠れる、しっかりとした丈のものを選んでみましょう。堂々として、バランスの良いスーツ姿になるはずです。

現代のスーツに好まれる生地とは

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スーツのシルエットやディティールが時代に合わせて変化してきたのは有名な話ですが、実はスーツの重要な要素である生地に関しても、流れは変わってきています。

具体的にはより軽やかで、滑らかな生地感のスーツが現代のスーツのメインになっています。そのことから、好まれる生地はイタリア製のものが増えています。

特に今人気なのはコスパの高いイタリア生地として有名なカノニコ、レダ。

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それから定番のロロピアーナ、ゼニア、バルベラ。

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少しマイナーながらも支持されているのがデルフィノ、アリストンなどです。

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昔のスーツはオールシーズンの重みと厚みのある重厚な生地が用いられていることも多いですが、現代のスーツは滑らかで薄手の春夏用生地もしくは冬用の起毛生地と、季節感がわりと明確に打ち出されていることも大きな特徴です。

3つボタンのスーツは時代遅れか

よく話題になることがもう一つあります。それが、ボタン数の問題です。特に少し前に流行した3つボタンのスーツが時代遅れで古くさいか否かという話ですね。

実際には確かに、3つボタンを着ていると少し古くさいというイメージがあります。3つボタンはまた、Vゾーンが狭くコーディネートがしにくいのもの難しいところです。

結論から言うのであれば、今3つボタンのスーツを買うのは得策ではありません。

もちろん3つボタンはクラシカルでトラディショナルなものであり、間違っているなどということは一切ありません。

しかし実際問題として、「世界共通言語が英語だから」といって日本国内で英語で話すのが通じないのと同じように、日本で3つボタンが古くさいと多くの人が思っている以上、避けておいた方が無難なのです。

3つボタンは間違っていません。スタイリングに自信のある人や、こだわりがある人が着るのであれば、止める理由もありません。しかし中古で買おうとしているスーツや、押し入れから出してきたスーツが偶然3つボタンで、「着れるかなあ」と思ってこのページを見ているのであれば、やめておきましょう。

ちなみに個人的なおすすめは、現在のイタリアでメインストリームとなっている3つボタンの段返りスタイル。3つボタンがあるが、襟の裏に隠れるため2つボタンに見えるスタイルです。ボタンは中一つだけを掛ける着こなしとなります。

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襟の立体的で滑らかな曲線、ちょうど良いバランスのVゾーン、中一つだけボタンを掛ける熟れた雰囲気などがおすすめの理由です。

特に30代〜のスーツでは、最もお洒落な選択ではないでしょうか。

パンツのシルエットについて

最後にスーツの大事な要素であるパンツについても少し解説しておきましょう。スーツのパンツは昔は裾幅の広いストレートなものがメインでしたが、今ではかなりタイトなテーパードが好まれています。

実際にトラディショナルなスーツのパンツと、現代的なスーツを重ねてみました。

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同じ46とは思えない、サイズ感の違いですね。もちろんサイズはそれぞれブランドや物によって変わってきますので全てが時代のせいとは言えませんが、シルエットに関しては違いが明確に分かると思います。

奥のベルベストのスーツがほとんど直線的なのに対し、エディフィスのオリジナルのスーツは裾に向けて絞り込まれていくテーパードになっています。

丈に関しても、賛否両論はありますがかなり短めのダブルがイタリアでの流行ですね。

パンツについて、何が正しいのかというのは一概には言えません。

2プリーツで美しいパンツもありますし、プリーツ無しでも古くさいものはある。ダブルの裾上げはお洒落の最先端とされていますが、もしかすると一般人からしたら「時代遅れの続き」でしかないかもしれない。

あまり足のがっしりした人がテーパードを履くとつんつるてんになってしまうし、逆にストレートだとスタイルアップが見込めない。

これらを踏まえたうえでおすすめするのであれば、以下のような条件に合うパンツです。

・身体のラインに自然に沿うテーパードシルエット

・少し短めのジャストな丈

・お洒落に挑戦したければ9分丈のダブル

もちろんパンツに関してもこれから流行が変わるかもしれませんが、自分の体型に合うスーツの形というのはそれほど変わりません。

スーツのパンツで重要なのは、シルエットが自分の体型に合っているかどうかなのです。

いかがでしたか?

今回は時代遅れなスーツと、現代的でお洒落なスーツとの見分け方、そしてスーツの選び方についてを解説してみました。

是非参考にして、時代に負けない着こなしをしていきましょう。
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「時代遅れのスーツを着ていませんか?? 『現代スーツの基本』」への8件のフィードバック

  1. うけるね。時代遅れとか、流行ってる、流行ってないではなく、自分が愛してるスーツを着る。それがこだわり。

  2. 下半身が、タイトでキュッとしたスーツは絶望的にダサいです。というか、スリムパンツっぽいものは、外人が着ても、ゲイっぽく見える。時代が去れば黒歴史になるスタイルだと思います。60年代の頃のパンタロンスーツみたいにね。バブルの頃のダボっとしたボトムスのほうがかっこいいですよ。普通に。

  3. スーツそのものが「馬鹿の一つ覚え」そのものだ。
    変化の激しい昨今で、歌舞伎や相撲のような保護すべき伝統文化でもないのに新しいイノベーションもおこさないアパレル業界の連中こそ愚かで時代遅れで潰れるべき存在じゃないのか?

  4. 「時代遅れ」とは言いつつも、結局バブリーなソフトスーツも、かつての30sみたいなスーツもまた1つのスタイルなのよね。
    わざわざ延々とトレンドを追い続けるのでなければ、結局自分が好きなスタイルを自分の体型に合わせて作るに限ると思った。

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