スイスのヌーシャテル州のロックルで、22歳という若さのジョルジュ・ファーヴル=ジャコ(Georges Favre-Jacot )が1865年に設立したのがこのゼニス(Zenith S.A. )です。1966年から1967年の間にゼニスの経営陣は1時間に36,000回の振動で動くことで1/10分の1秒を測定することができる最初の超薄型高周波内蔵時計、クロノグラフキャリバーを作成することを決めました。
1969年1月10日、ル・ロックルで開催された記者会見で、エル・プリメロの誕生を発表しました。ゼニスは、そのため、独自の自動巻きクロノグラフを公に発表した最初のメーカーでした。技術が分散して各地で行っていた時代に、一つの会社に全ての技術者を集約して同じ場所で作っているのが特徴的です。軍用時計として採用されるなど信頼される技術の高さを誇り、この日本でも昭和初期には国営鉄道で懐中時計が正式採用され「ゼニット」として親しまれていました。
クオーツショックによって1971年に同社は元々シカゴに拠点を置くラジオ・テレビの製造元であったZenith Radio Corporationに売却されました。一時は買収先企業によって機械式時計の設計図を全て処分するように言われ、その責任者であるCharles Vermotは「El Primero」の製造に必要な工具を隠すことを画策しました。靴箱に設計図を入れて屋根裏に隠したのは有名な話です。その後、スイス時計業界の再編の流れで1999年にはLVMHグループに買収されて傘下に入っています。
2017年にはDEFY エル・プリメロ21を発表。これは本格的な機械式でありながら正確な時間を表示することができる最新のモデルです。同年には単結晶シリコン製の革新的な新しいモノブロック発振器を搭載したDefy Labを発表しました。 21世紀のDefy Labは並外れた性能を達成し、まったく新しい次元へと進化させた技術革新となりました。2019年には通常の4 Hzと比較して18 Hzの非常に高い周波数で動作して、2日間に渡って快適に自動巻きされるDefy Inventorという技術特許を取得して新モデルに反映されてゆきます。