「親ガチャ」より「場所ガチャ」の方が深刻な問題になる

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親ガチャが話題になっていますが、実際に家庭環境によって子供の学力や成長に大きな影響を与えます。極端な例では、東京大学に進学できる子供のほとんどの親は一般的な家庭よりも世帯収入が高く、教育費にお金を惜しまない環境にあります。

そこまでいかなくて、地方の優秀な公立高校に入学している子供たちもまた、同じように家庭環境が良く勉強するのに適した状況で育っている傾向にあります。

中には、貧困家庭に近いような片親パートタイムという家から有名校に進学する例もありますが、それは本人が不可能に近い状況から信じられないほどの努力をしたための結果に他なりません。アスファルトの割れ目から花が咲くくらいに大変なことです。

「場所ガチャ」が深刻な理由とは

親ガチャも問題なのですが、今でも大きな問題を抱えるのは「場所ガチャ」です。都会に生まれ育った子供と、ド田舎で生まれ育った子供では、得ることのできる情報や体験に雲泥の差があります。

ある九州の離島出身の男性と話したときに、こんな話題が出ました。「この島は一日に一回本島との連絡船が出るだけで、雨になるとそれも運休する。島では携帯電話もつながらない場所があり、何もない日は星を眺めて過ごすこともある」とても2021年の話とは思えません。都会では5Gが普及しつつあり地下鉄でも高速通信、電車は3分おきに通過して、デパートやコンビニが無数にあります。

老後にゆっくり過ごすという面では、そうした閑静な離島の環境というのは最高ですが、子供が成長するという面からすれば極めて不利な環境といえます。まず学校が限られるということと、そこへの通学までに時間と体力が必要です。田舎の学校だと進学に対して関心が低いために、どうしても授業のレベルが下がります。東京では私立小学校の生徒が中学受験を控えて、個別指導塾で勉強を進めている間、田舎の小学生は「誰がケンカが強い」、「誰が新しいゲーム機を持っている」といった程度の事しかしていないのです。

田舎に住んでいると文化にも遅れが

学力だけでなく文化の面でも遅れを取ることになります。田舎に行くと大きな書店や図書館がないことで、興味のある分野の情報を自由に得るのが難しくなります。今でこそインターネットが普及しているのでYoutubeで興味のある情報を得ることもできますが、それでも美術館や博物館など実際に自分の目で確かめるということは難しいです。
また音楽やイベントに参加するというのも難しくなります。静岡程度の田舎でも、東京で買い物するのに往復で1万円以上の交通費がかかります。先の九州の離島出身の男性は、福岡に行ったことがあるだけで、東京には一度も訪れたことがないといいます。

例えば家族4人でディズニーランドに行くのも、飛行機代とチケットだけで10万円以上の出費になってしまいます。空港へのアクセスや電車の乗り継ぎなどで一泊二日でないと厳しい場合は、遊園地一つ遊ぶことも難しいイベントになります。

金銭感覚や趣味嗜好にも大きな影響がある

電車が1時間に1本の田舎出身の女性がこんな事を話していました。「私は紅茶やコーヒー飲まないから水で大丈夫です。」喫茶店に行く文化が全く存在しないので、紅茶やコーヒーに500円を掛けるならマクドナルドに行きたいと言うのです。
かたや都会のスターバックスに行くと、オシャレな季節の服装を楽しんで化粧をした中高生が雑談しています。きっと両親や友人の影響で、ファッションや音楽やコスメティックにも興味があるのでしょう。
田舎と都会では、上記のように金銭感覚と趣味嗜好が劇的に異なります。田舎の男性の場合、パチンコや車の改造、スマホゲームなど趣味の範囲が狭まります。何しろオシャレな喫茶店や飲食店が少なく、ファッションの店も「ユニクロ」や「しまむら」が中心になるので仕方ないことです。

田舎で育つメリットもある

田舎で育つことが100%悪いかというとそうではなく、メリットもあります。
人間関係が濃いため、村のつながりが深く、安心して育てることができます。僻地の田舎ほど人間関係が狭いので子供一人で出かけても、全員知り合いなので安心安全。余所者が来ると悪いことでもするのではないかと警戒して交番に連絡がいくほどです。怪我や事故なども地域の人が優しく見てくれる傾向にあります。その代わり町内会や行事などに参加したり、清掃活動を積極的に行ったり面倒な部分もあります。

もう一つは自然が豊かなので、心のびのびと育てることができます。透き通った水の川で遊ばせて、山で採れた野菜や果実、海で揚がった新鮮な海鮮を食べて、とても人間的な生活を送ることができます。夕日に染まった山に赤トンボを見かけたり、鈴虫の声を聞いて眠りについたりと都会のストレスから切り離された生活が送れます。

「親ガチャ」と「場所ガチャ」の悩みはつきない

教育という面からみると、都会の一軒家に生まれ育ち、週末や長期休暇には田舎のお婆ちゃんちに帰る。このようなスタイルが学力と精神性を両立できる最良の環境かもしれません。
それを実現するには、子供に理解がありお金もある両親と、サポートしてくれる親戚がいるというガチャを引かなければならないので難しいところです。

追記:2022年1月3日
スレタイに釣られて飛んだものの、歌舞伎の話が出てこないことや私が学者でないことに気づいた人は情報強者です。「親ガチャ」と「場所ガチャ」について意見のあるかたは、ぜひコメントしてくださいね。

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