生物の授業で初めに覚えるのは「恒常性(ホメオスタシス)」です。
中学生のときには既に教科書で解説されているはずですが、恒常性の意味は内部環境を一定の状態に保ちつづけようとする傾向のことです。
体温を一定にするのも恒常性
例えば体温。実測で30分測ったときの日本人の体温の平均値は、36.89℃と言われています。これ以上に熱があるというのは、免疫が活性化した時です。風邪のウイルスが体内に侵入してくると、先ず免疫活性食細胞が攻撃します。
そして免疫活性食細胞が”サイトカイン”という伝達物質を放ち、自ら体温を上げて攻撃を高めようとするのです。ウイルスが死滅すると元の体温に戻ります。これが体温の恒常性です。
他にもアシドーシスとアルカローシスと言って生体の血液の酸塩基平衡をpH (7.4) になるように保つ機能もあります。人間の体内は恒常性で保たれているのです。
人間の体内時計(生理時計)
もっと身近にあるのが「お腹が減ったり」「眠くなる」これも恒常性で人間の体内時計(生理時計)と深く関わりがあります。
人間の体内には周期性があり二十四時間で一周するようになっています、これを日周リズムと言います。概年リズムと言って一年で一周するリズムもあり、これは桜が開花したり、動物の冬眠などに関わっています。今回は日周リズムと睡眠について、「脳と生物時計-からだのリズムのメカニズム- / 共立出版」を参考にして解説してゆきます。
日周リズムは太陽が昇り起きて、日が沈み寝ること以外にも体内に様々な影響を与えます。例えば身体機能、活動力や記憶力は真昼(12時)にピークを迎えます。
ですから学校の授業の午前・午後に渡って勉強するのは生物学的にも理にかなっているのです。肺活量や最高血圧、酸素消費量も昼から夕方にピークを迎えます。
運動も日中に行うのが効果的と言えます。
夜早く寝るのが肌に良い?
今度は逆に表皮の有糸分裂は夜間(0時前後)にピークを迎えます。細胞分裂のピークは寝る直前と考えると、22~23時ころには就寝するのが肌に理想的ということが分かります。
日周リズムはこのように体内に影響がありますが、必ずその時間に起こるわけでなく、外部の明かり(明暗周期)に左右されてずれることがあります。
海外旅行から帰って来て昼夜逆転してしまうこともありますが、これは海外での明暗周期に適応してしまい、現地の日周リズムになってしまったことに起因します。
ラットの実験だと、元の時間に適応するまで7~9日も掛かってしまうそうです。人間でも元の時間に慣れるまで少なくとも2~3日は掛かってしまいますね。
青い光がメラトニンを阻害
睡眠を制御するホルモンである”メラトニン”の血中濃度は1日の周期で変化して、日周リズムと同調されています。例えば日中に強い光に当たるとメラトニンの分泌が減少して夜になり暗くなると分泌量が増えます。
最近ではスマホやテレビなどを長時間見ることが一般的ですが、いわゆる”ブルーライトカット”が睡眠を妨げるのは科学的に実証されています。
光の波長が約460〜480nmの青色の光によってメラトニンが抑制され、睡眠の時間や体内時計が狂ってしまうことがあるそうです。これは暴露された時間の長さと比例します。
このようにメラトニンと日周リズムを維持する中枢神経系(視交叉上核・SCN)がバランスを取って睡眠を調整しています。
人の概日時計は25時間以上?
先ほど24時間で一周と書きましたが人間には25時間以上の日周リズムに適応することも可能な事が判明しました。多くの人が24時間ですが、中には25~28時間で一周の人が居て、地下で生活している人でない限り”朝の光”で無理にリセットされているそうです。
体内時計が24時間ぴったりの人は、夜になると自然に眠くなり、朝は目覚ましが無くても光が差し込めば自然とすっと起きれるそうです。(とても羨ましい!)
すっきり朝起きるにはどうすればいいの?
効果があるかは人それぞれですが、次のような事が朝の目覚めの良さにつながるはずです。
・夜に明るい光と、青い光を浴びない
・スマホやテレビなど夜は長時間見ない
・寝る前は薄暗くして暖色ライトを使う
・朝起きたら2500ルクス以上の光(朝日)を浴びる
・通勤、通学など日光に当たる
余りに”ありきたり”なアドバイスで書いててがっかりするのですが、上記のことは生理学的にも正しいようです。
こちらの記事にもHSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)にお勧めの改善方法があるので、合わせて読んでみて下さいね!