2019年バレンタインチョコ – M.O.F.が手がけた芸術品

ライフスタイル

M.O.F.(Meilleur Ouvrier de France、MOF)とは、フランス文化の最も優れた継承者たるにふさわしい高度な技術を持つ職人に授与される賞です。
料理や製菓だけでなく180種類の分野でM.O.F.と認められます。例えばクリスタルガラスで有名なバカラは50人以上のM.O.F.職人を輩出しています。

さて、そのフランス文化の優れた賞を持つショコラティエ8名のブランドを1つのBOXに詰めるという企画を三越伊勢丹が実現しました。
世界85ブランドのショコラを一堂に集めたイベント「ショコラモード」で入手したので、実際に外見と味のレポートをお届けします。

左から順番に以下のブランドになります。

  1. フィリップ・ベル
  2. フレデリック・アヴェッカー
  3. ニコラ・ベルナルデ
  4. ジャン=ポール・エヴァン
  5. ダヴィド・カピィ
  6. フランク・ケストナー
  7. オリヴィエ・ヴィダル
  8. クリスチャン・カンプリニ

プロフィールはサロン・デュ・ショコラ2018から引用させていただきます。


Philippe BEL(フィリップ・ベル)

ガナッシュミエルタイム はちみつとタイムのガナッシュ

味わい生のようなタイムの香りが全面に出て、はちみつはほんのり香ってきます。
柔らかく中のガナッシュがトロトロです。ショコラというよりは料理のような感覚で、目を閉じて食べれば何かの甘い料理と間違えてしまいそうです。
余韻は長く、タイムの香りが長くつづきます。

温度を下げて食べると、今度はチョコレートのコクが出てきて、きりっと引き締まった苦味がちょうどよくバランスが取れています。
冷やした方が美味しいですね。

2003年にMOFを取得。大手チョコレートメーカーでコンサルタントとして活躍した後、2006年にお店をオープン。リヨンの2店舗に加えてラボも開設。今年もNEWアイテムが目白押しで嬉しい限り。

http://www.salon-du-chocolat.jp/archives/2018/brand/philippe-bel 


Frédéric HAWECKER(フレデリック・アヴェッカー)

ヴァレンシア オレンジ風味のキャラメル

かなりオレンジの香りが強く、果皮を絞ったときに飛んでくるようなフレッシュな香りが鼻腔を覆います。キャラメル感は弱く、チョコレートを食べているのに、指で割った大きなオレンジを頬張るようなニュアンスを感じます。
冷やしてしまうと、香りが閉じてしまうので常温くらいでも良いですね。

地元プロヴァンス文化を盛り込んだショコラが人気。2011年にMOFを取得。今年のMOFの試験問題を考えるという重責も担っています。料理学校の講師も務め、彼のテクニックに学ぶ人も多いとか。

http://www.salon-du-chocolat.jp/archives/2018/brand/frederic-hawecker 


Nicolas Bernardé(ニコラ・ベルナルデ)

ニコニコ アーモンドのプラリネ フィヤンティーヌ

うん、うまい!!これはうまい!噛む直前に表面からアーモンドの香りが微かにしてきます。噛んだ直後はサクッという、とても細かなザクザク感と共に香りの良いアーモンドがいっぱいに広がります。食感がとにかく素晴らしく、空気のように軽い滑らかなビスケットを食べているようです。チョコレートはくどくなく、そっと周りから支えるようなニュアンスです。
冷やすと香りがせずにつまらないので、常温で食べると良いですね。

2004年にMOFを取得。2005年のワールド・グルメ・サミットで世界最高シェフの一人に選出。パリや日本の有名な菓子学校で講師の経験も。2011年にお店をオープン。2017年にルレ・デセール会員に。

 http://www.salon-du-chocolat.jp/archives/2018/brand/nicolas-bernarde


JEAN-PAUL HÉVIN(ジャン・ポール・エヴァン)

M.O.F. アーモンドペースト マロンガナッシュ

正直に言うと、あまり美味しくない…。マロンガナッシュがくどくて、失敗したときのマカロンのガナッシュのような感じです。インスタントコーヒーのような香りがします。舌触りが駄菓子のクリームみたい。いや、悪気はないんです。もしブラインドで食べたとしてもそう思います。
常温よりも、どちらかというと冷やした方が美味しく食べれるはずです。

今年で創作活動30周年。MOFの取得など、数々のアワードでの栄誉に輝く世界最高峰のショコラティエ。素材や味へのこだわり、独創的で豊かな感性、確かな技術から生まれるショコラは芸術品です。

http://www.salon-du-chocolat.jp/archives/2018/brand/jean-paul-hevin 


David Capy(ダヴィド・カピィ)

青のり風味のライスパフ ヘーゼルナッツプラリネ

んん〜・・・・。アイデアは悪くないのだけど、サクサクのお米入りチョコ。
クリスピーというか、ブラックサンダーを極限まで美味しくした感じ。
青のりがですね…日本人にとっては食卓で出る香りの印象が強いので、あの、まあ、うん。
常温だと青のりの香りが強いですが、冷やすとあまり気になりません。

2007年にM.O.F.を取得。2005年から2012年まで「ヴァローナ」で指導員を務める。2012年にボルドーに1号店、2016年春に2号店をオープン。パティシエ、ショコラティエとして、世界的な評価を得ています。

http://www.salon-du-chocolat.jp/archives/2017/brand/david-capy 


Franck KESTENER(フランク・ケストナー)

ノスタルジー ヘーゼルナッツとブラウンシュガーのプラリネ

これはうまい!!表面の香りが乾燥した木の香りで大人っぽい雰囲気を持ちます。噛んだ瞬間、中のサクサクが複合的になっていて、つまり固さが異なる素材が混ぜてあって変化が。僅かに焦げたブラウンシュガーとヘーゼルナッツが、儚さを表現しています。甘くないのに満足感があって素晴らしいです。リッチな味わいのコーヒーと共に食べたり、ボリューム感のあるアッサムと一緒に食べると幸せになれますよ。
香りが良いチョコレートなので、常温から僅かに冷えたくらいで食べるのがオススメです。

2003年に27歳でMOFを取得。地元サルグミンにアトリエ&ショップを構え、パリとドイツを含めて3店舗を展開。深い思索や、哲学的なアプローチからショコラ作りを行うことでも知られています。

 http://www.salon-du-chocolat.jp/archives/2018/brand/franck-kestener


Olivier Vidal(オリヴィエ・ヴィダル)

フランボワジレヌ フランボワーズのガナッシュ

最初の香りはフォションのフランボワーズ紅茶のような、いかにもフレンチな香りが漂ってきます。噛むと、今までのチョコレートとは全く異なる、しっとりとした食感が…。しかし、香りが強すぎる!お菓子のガムの香料のような強い香りが口の中いっぱいになります。香料の質が良いのは分かりますが、これまで強いと日本人にはとても難しい味わいでは。

翌日に冷蔵庫で冷やしたものを食べると、香りがそこまで強くなくバランスが取れているように感じました。香りが強いのが好きであれば常温、普通が良ければ冷やすのがいいですね。

2007年にMOFを取得し、2012年に独立。ブルゴーニュの伝統とオリジナリティーを融合させたお菓子や、優れた味覚の感性とロジックを掛け合わせたショコラで人気。2017年C.C.C.でも「金賞」獲得。

http://www.salon-du-chocolat.jp/archives/2018/brand/olivier-vidal 


Christian CAMPRINI(クリスチャン・カンプリニ)

タイムシトロン プロヴァンス産アーモンドとタイム風味のレモンプラリネ

ザクザク感が強く、香りのタイムはフィリップ・ベルよりも落ち着いたドライハーブのようなニュアンスです。たしかにフランスのプロヴァンス地方と言える味わいです。個性的な香りが心地よいです。田舎で、夏の夕方に虫の声でも聞きながら食べたいような、田舎っぽい味わいで好きな人には良さそう。常温だと香りが強いですが、冷えてる方がバランスが取れている気がします。

2004年にM.O.F.を取得。コートダジュールの3つ星レストランでシェフパティシエを務めた後、2012年にブティック、2015年にラボをオープン。一流ホテルやレストランにもショコラを卸しています。

http://www.salon-du-chocolat.jp/archives/2017/brand/christian-camprini 

2018年バレンタインチョコ – M.O.F.のまとめ

全体を通して個性が強く、香りを大切にしたチョコレートが多いです。
芸術品と言うだけあって万人受けする味わいではありません。
絵画から受けるインスピレーションのように、どのチョコレートも作品になっていて物語性があります。カジュアルにプレゼントするチョコレートというよりは、チョコレートと対峙するような真剣な人や、食通やワインマニアなどに向いている気がします。興味があるようでしたら、ぜひ1度は試してみて下さい。

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