決して大きなお店ではない。在庫している服だって、ほとんど一点ものに近い限られたものばかり。
しかしどうしてか……これほどまでに魅力的なお店には、今まで出会ったことがないのです。
プロフェソーレ・ランバルディ静岡。
ちょうどローマからナポリへ訪れるのと同じく、東京から一時間離れた静岡にオープンしたこのお店は、これまで存在したどのセレクトショップとも違います。
本当にイタリア服を愛する人なら、その意味をお分かりいただけるはずです。
Professore Rambaldi
このお店の物語を少しお話しておきましょう。
もともと日本でイタリア服などのセレクトショップをオープンするときには、なんとなく良さそうな単語を見つけて店名にすることも少なくありません。
しかしこのプロフェソーレ・ランバルディというのは、実はオーナーがイタリアで頂いた名前なのです。
プロフェソーレ・ランバルディ=すなわちランバルディ教授は、ナポリの有名なドクター(医学部の教授)で、ビスポークの服を愛する紳士でした。
オーナーはナポリを訪れた際にランバルディ夫人と出会い、夫人に人柄を評価されて、すでに亡くなったランバルディ教授の遺品である20着以上もの服を全て譲り受けたのです。しかもサイズがぴったりだったというのだから、驚きです。
そして、そのランバルディ教授のエレガンスに感銘を受けて、ランバルディ教授に頂いた名前がプロフェソーレ・ランバルディなのですね。
公式サイトにはランバルディ教授の書斎の写真が上がっていますが、なんとお店の雰囲気とそっくりです。
ついでにお店のロゴの意味もうかがったところ、一つ一つに意味があるとのこと。
PROFESSORE RAMBALDI ランバルディ教授の名前を中心に、その下にはBespoke & Experiences in Honor of His Eleganceの一文。「仕立て服と体験、彼のエレガンスに敬意を表して」の意味です。
さらにその下にはShizuokaの文字。東京でも大阪でもなく、静岡という土地にあるこのお店のアイデンティティですね。
ランバルディ教授の名前の上にあるのは、アカンサスのデザインです。アカンサスは古代ギリシャ・ローマで永遠を示す植物です。ランバルディ教授のエレガンスが永遠であることを示しているといいます。
最高級の既製服と、希少なアイテムたち
プロフェソーレ・ランバルディの在庫している服は、最初にも書いた通り決して非常に多いわけではありません。しかしその一つ一つは完璧なまでにこだわり抜かれていて、余念がありません。
まずジャケットやスーツは、キートン。それもSUPER 180’sウールやカシミア100%などの極上の生地を使ったものだけを扱っています。
いくらキートンといえども、生地のセレクトが良くなければその魅力を最大限に楽しむことはできませんし、キートンは明らかに生地の良し悪しによって仕立ての出来が左右されています。
プロフェソーレ・ランバルディ静岡はそういうことも踏まえ、そして何よりも「最上のものを、もっと多くの人に、しかもさりげなく着て欲しい」というバイヤーのコンセプトに沿って、最上のキートンだけを選んでいるというわけです。
しかも値段はsuper 180’sのスーツで36万円程度。直接ナポリに行って仕入れてくるために、この値段で出すことができるのだとか。
シャツではキートン、マタビシ、フライ、ブリオーニ等を少量ずつ扱っていますが、アンナマトッツォが今年7月以降、主な取り扱いになる予定。
プロフェソーレ・ランバルディ静岡の扱う既製服には、日本初上陸そして唯一取り扱いのブランドが少なくありません。
ルイジ・グリマルディ、こちらは先の記事でも紹介しているのでご存知の方もいらっしゃるでしょう。
クラシックで軽やかなシルエット、いかにもナポリ仕立てらしいダブルステッチに、マニカ・カミーチャ、そして手縫いのボタンホール。
さらにはホーランド&シェリーを始めとした最高級ファブリックを使用して20万円以下という、奇跡的なブランドです。
これはプロフェソーレ・ランバルディ静岡のオーナーがナポリを歩き回って、偶然見つけた店舗に飛び込み、ひどいナポリ訛りのイタリア語しか話せないグリマルディのオーナーと意気投合して実現した既製服なのだとか。
日本では他が仕入れたブランドを仕入れたり、ピティウォモのような展示会に出展しているブランドの中から選んだりということが多く行われている中、自分の足で素晴らしい服を見つけてくるというのは、並大抵のことではありません。
それがこの、プロフェソーレ・ランバルディ静岡の最大の魅力なんですね。
De Crezenzo デクレツェンツォというナポリ製ネクタイは1万円弱ながら、上質なシルクを使用したナポリのハンドメイドですが、もちろんこのお店が日本初、唯一取り扱うブランドです。
そしてDella Mura デッラ・ムーラというブランド。
これはナポリの南、ソレントの裏路地に昔からある小さなテーラーで、また偶然出会った非常にローカルなお店だということ。手縫いの柔らかなチーフ等を扱っています。
本物のナポリ仕立てを体感するビスポーク
しかしプロフェソーレ・ランバルディ静岡を紹介する上で忘れてならないのは、ビスポークです。
プロフェソーレ・ランバルディ静岡は今ヨーロッパ中で注目されている若手サルトリア、ファビオ・ソダーノをメジャーメイドとして日本初展開。
ホーランド&シェリーのパンチから生地を選べ、ナポリの本場仕立てでありながら、30万円をきる驚きの価格で、いつでもオーダーが可能です。
さらに納期は約2ヶ月。
これはナポリの仕立て服に親しんだ人ほど、驚く内容ではないでしょうか。
ホーランド&シェリーの生地だけでもこの値段はありえないのに、それがハンドメイドのナポリ仕立てときたら、普通は年に数回のオーダー会に合わせて50〜80万円を出さなければ注文できません。
さらに先ほど紹介したルイジ・グリマルディのビスポークもあります。こちらはまだ準備中とのことですが、30万円前半で仮縫い付きのビスポークを予定しているのだとか。
すでに到着しているサンプルを見れば、それが価格からは考えられない、本物のナポリ仕立てビスポークであることがすぐにわかります。
そしてもう一つ、注目すべきはスパッカ・ネアポリスのビスポーク。
すでにinstagram等で有名なこのブランド、ニコラ・ラダーノというまだ20代前半のファッション・リーダーが展開するブランドです。
しかしそのクオリティは一流。美しいビンテージの生地と有名ブランドのOEMを請け負っていた実力は、「ナポリはマリネッラだけじゃない」と感じさせます。
プロフェソーレ・ランバルディ静岡には既製ネクタイと、ポケットチーフの取り扱い、そしてビスポークのオーダーが可能です。
実物を見たかった方も多いはずですから、これは嬉しいですね。
ナポリの邸宅を訪れるような気持ちで
今回は静岡に新しくできたセレクトショップ、プロフェソーレ・ランバルディ静岡を紹介しました。
決して広いお店ではありませんし、展開のないサイズなども少なくありません。しかしそれでもなお有り余るほど、訪れたいと思ってしまう魅力がある。
それは「最高品質のものだけを取り扱おう」というコンセプトであり、「日本にまだない素晴らしいものを、自分の足で見つけよう」という姿勢でしょう。
しかしそれだけではありません。
このお店には、他とは決定的に違うところがあります。
プロフェソーレ・ランバルディ静岡。それはまるでナポリの邸宅を訪れるような気持ちなのです。
イタリア・アンティークの家具に囲まれ、ピラネージやクロード・ロランの絵画を眺めながら、ウェルカム・ドリンクにグラッパや紅茶をいただく。
カップ&ソーサーはナポリに所縁のあるウェッジウッドやジノリ、グラスはナポリの貴族たちが愛する、サンルイやバカラのアンティークです。
飾られたランバルディ教授のジャケットに物語を感じ、アンナ・マトッツォやファビオ・ソダーノの写真の数々を眺める。
そしてナポリとイタリア服を心から愛するオーナーと、心ゆくまで語り合える。オーナーはおそらく、日本でも有数のイタリア服マニアです。
例えば国内の一部のセレクトショップでしか扱っていないマイナーなナポリ仕立てブランドでも、それがどういう特徴を持っているか聞けば、きっと答えてくれるでしょう。
プロフェソーレ・ランバルディ静岡を訪れること。
それは服を買いに行くというより、ナポリの洒落者たちが昼下がりのシエスタの時間、友人の書斎に遊びに行くような楽しさなのです。
これまでどこで服を買っても、なんとなく違う感じがしていませんでたか?それは服が間違っていたのではないのです。
ナポリの現地人たちが飲み物片手に会話を楽しんでいるような雰囲気、それを感じながら服選びを楽しむこと。それこそが、本当に求めていたことなのです。
さあ、そうと決まれば、まずはプロフェソーレ・ランバルディ静岡にメールをすることです。
せっかく1時間かけてローマからナポリに、いや東京から静岡まで行き、お店の前まで歩いたあげく「シエスタ中」という札を見ることがないように……。
公式サイト http://professorerambaldi.com/
お問い合わせフォーム http://professorerambaldi.com/contact/
アクセス・住所
〒420-0839 静岡県静岡市葵区鷹匠2丁目10-8パサージュ鷹匠2F
新幹線でお越しのお客様
JR静岡駅より徒歩10分。事前にご予約頂ければ静岡駅までお迎えに上がります。
※基本的にはマセラティ・クアトロポルテを送迎車としておりますが、事情によりアルファロメオ、BMW等でのお迎えになる場合もございます。
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