バンドは音作りでレベルが変わる
個人練習は欠かすことなくしているし、バンド練も重ねていて、結構息の合う演奏をできるようになってきているけれど、でもなんとなくバンドの音が良くない。そんな風に常々感じている人は少なくないと思います。
そして、それはバンドの音作りができていないからかもしれません。
一つ一つの楽器、例えばギターなんかは特に音作りに力の入るパートなので、ギタリストは常に良い音を追求しています。しかしバンドは実は全員合わせて一つの楽器でもあります。なので適切に音を混ぜていってあげないと、濁ったようなサウンドになってしまう。
そういうわけで今回は、バンドのレベルを格段にアップさせるバンドの音作り方法を紹介します。
音の棲み分けをしよう
例えば一つの楽器の音をマイクやLINE入力で録音してみて、その音の出方をイコライザーについているアナライザーというもので見てみましょう。
上はエレキギターの音がどんな出方をしているか視覚的に見ています。エレキギターは低音は100Hzから高音は8KHzほどまで非常に広いレンジで音の出ている楽器ですね。
次にボーカルを録音したものを見てみます。
ボーカルは人によって音域に大きな差がありますので、参考程度にしかなりませんが、この人の場合には低音がかなり出ていて、高音はやや弱い。中音が出ていて、少し柔らかく優しい印象の声の人であることが予想できますね。
さて、上の二つを見比べてみると、どちらも割と同じような音域で音が出ていることが分かります。これが現実のバンドの演奏だと、音がかぶってしまい、音が濁って聞こえてしまうことになるわけです。
男性ボーカルの場合にはメインの音域が1KHzのあたりに来ることが多いですが、これはまたギターのメインの音域でもあります。
しかしギターの方はより美味しい、すなわちもっとギターらしい音域が3KHzあたりに存在します。ですからこの場合には、1KHzをボーカルのために少し譲ってあげると、ボーカルが一気に聞こえやすくなり、バンドサウンドがクリアになります。
こういうことを、音の棲み分けと言います。
方法は簡単です。アンプのノブやイコライザーでギターの音色を調整すること。一番シンプルなのはイコライザーのエフェクターを使ってしまうことですね。
ちょうど1KHzというつまみがあるので、これとこの周辺をを少し下げてあげれば良いわけです。またその代わりに4KHzを少し上げても良いですね。このあたりは音を聴きながら。
アンプのノブで1KHzはMiddleとTrebleの中間といった感じの部分で、やや難しいところですが、両方を少し下げてPresenceを少し上げれば、近い効果が得られるでしょう。
楽器と楽器はぶつかる、まざる
もちろん別の楽器でも同じです。 これがベースとボーカルなら?ベースの中低音がボーカルの音域とかぶってしまっていたら、ベースの側を少し抑えてあげるのが良いかもしれません。この辺りは実際に録音して見てみたり、聴きながら調整するのが一番です。
しかしこれがベースとキックになったらどうでしょう。ほとんど同じ音域に特徴を持つこれらの二つの楽器は、棲み分けもできるに超したことはありませんが、それよりもむしろ演奏での一体感が重要です。
ベースとキックは演奏のリズム感がぴったりと合うことで、まるで一つの楽器のように混ざり、脈打つような迫力と気持ちよい音程を伴ったセクションになります。むしろこの二つは演奏で一体感をより高めていくことが重要です。
またギターが2台いる場合には、その使い方にもよりますが棲み分けをすべきときと、音を混ぜていくべきときがあります。
たとえば2台でフレーズを作っていくようなギターパートであれば、棲み分けよりも積極的に音色を混ぜていくべきですよね。Toeのようなインストバンドが良い例かもしれません。それに対して完全に別のフレーズを弾くのであれば、個々がしっかりと聞こえるよう、またボーカルの邪魔をしてしまわないように調整をしましょう。
いかがでしたか?