海外ETFを購入するときに「為替ヘッジ有り」「為替ヘッジ無し」など表記されていることがあります。為替ヘッジがないと、購入したETFの価値が大きく上昇したとしても、円安になってしまえば相殺してしまい、利益が減少しまうことがあります。
為替ヘッジのメリット
最も大きなメリットは、外貨建てのETFを購入したとして、大きく円安になっても、為替影響を受けにくいということです。例えば、最近少し円高になり始めましたが、 もしこのまま円高が進むとした場合、海外ETFの価値が大きく目減りしてしまいます。
そうした為替で損をしないために、このヘッジがあります。
為替ヘッジのデメリット
デメリットは円安ドル高になったときなど、本来は相乗効果で価値が上昇するときに、為替ヘッジアリを選んでいるために大きな利益を得れないということです。1ドル100円が150円になると1.5倍 ETFの価値が上昇するはずですが「為替ヘッジ有り」を選んでいると その上昇分が反映されにくくなります。
つまり、絶対にアリにした方がいいというものではなく、諸刃の剣だということを理解しておくといいでしょう。
為替ヘッジとは何か?
為替ヘッジは、為替リスクを回避または軽減するための金融手法です。
為替リスクとは、異なる通貨間の為替レートの変動によって生じるリスクのことです。為替ヘッジの仕組みは、一般的には以下のような手法を用いて行われます。
1. フォワード契約(先渡契約)
フォワード契約は、将来の特定の日時に特定のレートで通貨を売買する契約です。企業や投資家は、将来の為替レートの変動によるリスクを避けるためにこの契約を利用します。例えば、米ドルを持つ日本の企業が1年後に1億円を受け取る予定がある場合、現在の為替レートで1年後に円を購入する契約を結ぶことができます。これにより、為替レートの変動リスクを回避できます。
2. オプション契約
オプション契約は、将来の特定の日時に特定のレートで通貨を売買する権利を購入するものです。この権利は行使するかしないかを選べるため、より柔軟なヘッジ手段となります。例えば、日本の企業が米ドルでの支払いがある場合、ドルを特定のレートで購入するオプションを購入します。為替レートが有利に変動した場合はオプションを行使せず、不利に変動した場合はオプションを行使することでリスクを回避します。
3. 通貨スワップ
通貨スワップは、異なる通貨を一定期間交換する契約です。例えば、日本の企業が米ドル建ての借入金を円建てに変えたい場合、通貨スワップを利用して将来の一定期間の間、ドルを円に交換することができます。これにより、為替リスクを軽減できます。
4. 自然ヘッジ
自然ヘッジは、企業が自然に為替リスクを軽減する戦略です。例えば、企業が輸出と輸入のバランスを取ることで、外貨の収入と支出を均等にし、為替リスクを相殺することができます。また、現地生産を増やすことで、為替リスクを減らすことも一つの方法です。
為替ヘッジの具体例
以下に、具体例を用いた為替ヘッジの仕組みを説明します。
例:フォワード契約
ある日本の輸出企業が、6ヶ月後に1,000万ドルを受け取る予定があります。現在のドル円の為替レートは1ドル=110円です。しかし、企業は6ヶ月後に為替レートが不利な方向に動くことを懸念しています。そこで、企業は銀行とフォワード契約を結び、6ヶ月後に1ドル=110円のレートで1,000万ドルを円に交換することを約束します。これにより、企業は為替レートの変動リスクを回避し、6ヶ月後に1,000万ドルを確実に11億円で受け取ることができます。
まとめ
為替ヘッジは、企業や投資家が為替レートの変動によるリスクを軽減するために用いる重要な手段です。フォワード契約、オプション契約、通貨スワップ、自然ヘッジなど、さまざまな手法があり、それぞれの状況に応じて最適な方法を選ぶことが求められます。