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近年稀に見る本格調味料!『新潟県生まれの醤油 郷土の実り』が美味しい

つい先日「湯浅醤油(小原久吉商店)はマジでうまい」という記事で、湯浅醤油をベタ褒めしましたが、新しく美味しい醤油を発見しました。醤油の未来は明るいですよ!!

テロワール原理主義者が納得の仕上がり

スーパーマーケットで特売されている醤油に使われている「脱脂加工大豆」というのは、どこで生産されたか分からない外国産の大豆を搾り取ったカスが原料になっています。油分がないためあっさりしているという特徴もありますが、たいていは醤油風調味料としてアミノ酸やカラメル色素、甘味料、保存料などで味を調整して出荷されます。

これでは本当に美味しい調味料はできません。調味料も食材も酒も、その地で作られたもので、その地の人達が丁寧に作るからこそ感動をもたらします。
この『新潟県生まれの醤油 郷土の実り』は名前の通り、新潟産大豆と新潟産小麦を100%使っています。今や「大豆(国産)」と書いてあるだけで拍手したい時代なのに、ここまでテロワールに忠実に作られているのは、それだけで素晴らしい逸品です。原材料をすべて地元で調達して、地元で手作業で醸している醤油がどれだけ存在するでしょうか。

四季を利用した昔ながらの製法

自然の温度変化で造る天然醸造しょうゆ
一般的なしょうゆは発酵を早めるためタンクを温め半年ほどで出来上がりますが、郷土の実りは昔ながらの自然な四季の温度変化だけで丸一年間発酵、熟成を行った天然醸造のしょうゆです。
時間をかけた分だけ味がまろやかで自然なやさしい甘味が特長。この年の大豆、小麦の出来具合や気候により毎年風味の変化を楽しめるワインのようなヴィンテージしょうゆです。引用元:http://kikoshin.co.jp/kyodo/

これを読んで感動してしまいました。実醤油を買って届いた日に使って「おいしい!」と驚いたのですが、その背景や製法までは知りませんでした。
公式サイトの紹介文を読んでみると、通常はタンクを温めて製造期間を短くするものも、昔ながらの方法で天然発酵させる作り方をしているようです。

新潟産の小麦作りから復活

かつて新潟県は小麦作りが盛んだったそうですが、戦後から徐々に減少して、1998年には完全に消滅してしまったそうです。それから地元の農家の同士によって、雪に強い小麦品種「ゆきちから」の栽培が成功して、2015年に醤油の初仕込みにまで至ったそうです。

パン作りをする人はご存知だと思いますが、小麦というと北海道のイメージが強く70%近くが生産されています。次にぐっとシェアが下がり、2位の福岡県は5.6%、3位の佐賀県は3.4%まで下がってしまいます。こうなると、ご当地の小麦を使うのがどれだけ難しいことか想像できます。

品質表示も信じられないほどに心地の良いもので、大豆(新潟県産)、小麦(新潟県産)、食塩(国内製造)となっています。産地から製造まで一貫して県内で完結しているというのは素晴らしいです。

『新潟県生まれの醤油 郷土の実り』の味わいは?

発酵の香りは優しく繊細です。醸造の気温が関係しているのか、西日本の醤油よりもあっさりしていて雑味がまったくない澄んだ味わいです。西の濃い口に慣れていると物足りなさを感じてしまうほどです。口に入れると、奥行きのあるコクを感じることができ、余韻も長く、鼻に戻ってくる香りは小麦が主体となっています。やや塩が強く感じますが、バランスが良く何にでも使える醤油です。
個人的には、脂っこい魚や肉よりも、淡白な白身魚や豆腐などが合うと感じました。かといって薄口醤油とも違い、なかなか奥が深い世界です。

なぜ美味しいか考えてみたのですが、第一に時間をかけて丁寧に醸造されているからです。これは間違いないのですが、素材由来の良さもあります。大豆や小麦の土壌から、育った水質、それに仕込み水が全て同じ地域で作られているので味に一貫性があります。これをもしも北海道、埼玉、鹿児島など広い地域で混ぜたら、味わいチグハグになってしまいます。

この「郷土の実り」は無調整でアルコールや保存料を加えていません。その年で品質が変わり、毎年違う味わいになるのでラベルには2019年仕込みとビンテージが表示されています。
本来は当たり前のことで、温暖な年は発酵が進み濃厚な発酵臭の強い仕上がりになり、冷涼な年はブルゴーニュワインのように繊細で香りの弱い仕上がりになるはずです。どちらも酵母を利用して発酵を行っているので、理屈は共通しているはずです。

公式サイトでは醤油の値段が高いと、やや自虐をしていますが全くそんなことはありません。これだけ県内産の原材料にこだわり、昔ながらの非効率な製法で丁寧に作れば1本2千円以上でもおかしくないほどです。それを某大量工場生産メーカーの1.5倍の価格で売っているのです。誠に良心の塊です。

テロワールブームになって欲しいと心の底から思っています。 「値段がスーパーの2倍でもいいから、自分の故郷で作られた本当の味が食べたい。」そう思っている人はいるのではないでしょうか。新潟だけでなく、様々な地方でご当地素材の調味料が生まれて、ブームになって定着して欲しいです。

そんなわけで、皆様もぜひ1本購入して、この素晴らしいプロジェクトを応援してみてください。

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