令和4年2月17日 コメントでお教えいただいて、本文に間違いがあったので修正させていただきます!
この記事での明らかな誤りがあります。豪雪地帯に住んでいてもほとんど人はよほどのことがない限りスタッドレスにチェーンは巻きませんし、所持率もかなり低いです。また除雪がある程度完備されていればFFでも十分です。
次におろしたての新品のスタッドレスは本来の性能を発揮しません。改善はされてきましたが、それでも一皮剥くならし運転は必要ですので追記を入れるべきです。
また、雪道素人向けの記事なのでしょうが、チェーンを薦めるのはいいのですが、それ以前にそういう人たちが簡単に装着できるとは思えませんし、装着自体、気温が低いほど固く取扱いが煩わしい樹脂製のものより金属製の方が実は容易です。何よりも雪道素人にお勧めなのは耐久性を考慮しなくてもいいのなら布製チェーンが最適です。
そしてこういう記事を書くときはAWDはあくまでも登坂・脱出能力が高いだけで、車重が重い分FFやFRよりも制動距離が長くなることもあるということを必ず記載しなければなりません。どうしても人はAWD過信が強くなり、下り坂でも同じ感覚で運転してしまうものなのです。ちなみに私は降雪地に住んでおりますが、敢えてAWD車は購入せずFFかFRのみです。その理由は確かに雪道ではAWDより速度は出せませんが、その分常に滑る感覚を得ながら運転できるため、一番大事な制動距離を読むことが容易なのです。時折お邪魔して楽しく拝見させて頂いていますが、稀に明らかに憶測や間違いとわかる記事も見受けられます。読者に誤解を与えないよう気を付けましょう。特にこの記事は命にかかわるものだけにご指摘させて頂きました。
降雪は毎年のことですが、なぜか都会の初心者に限って例年冬山にレンタカーで遊びにきては立ち往生しています。今回は冬のドライブについて書いてみます。
夏用タイヤで絶対に豪雪地帯に行ってはいけない
常識なのですが、高速道路の入り口に「冬用タイヤ装備!スタッドレスタイヤ着用を」と何度も告知されています。東名高速道路や新東名高速道路は1年を通して降雪や凍結は少ないのですが、首都高速から連結している中央道は早いと12月中旬には雪がチラつくようになり危険です。
雪が降っていない=安全ではなく、気温が3度以下になると雨のあとに濡れた路面が凍ってスリップの原因となります。見落としがちなのは快晴で雪がなく安全にみえても、山間部の影が濡れていて完全に凍っている場合です。走っている車は99%スタッドレスタイヤなのに、「全然大丈夫じゃん!」と夏タイヤで突入してスリップなんて事故も発生しています。
スタッドレスタイヤでも不十分なアイスバーン
筆者自身も経験があるのですが、雪山に慣れていない人がスタッドレスタイヤを購入すると「無敵の気分」になってしまいます。「これで完璧じゃん!」と雪山に意気揚々と遊びに行くと、凍結したアイスバーンで事故寸前なんて事態が起こります。
スタッドレスタイヤは期限があり、新品は弾力性があり雪や氷を噛み付くような感覚で走行できるようになりますが、完全に凍っている路面ではスリップします。一見ヤバそうな降雪時には、スタッドレスの威力を発揮してグリップするのですが、日中に溶けた雪が夜冷えて再び氷になり、スケート場のようになっている部分をアイスバーンと呼びます。このアイスバーンは新品のスタッドレスタイヤでも、急ブレーキするとあっという間にスリップして危険なのです。
前輪駆動車はスタッドレスタイヤでも坂を登れない
スノーボードやスキー場に行くと、イケイケのアルファードやヴェルファイアが家族や友達連れで遊びに来ているのを見かけます。もちろんスタッドレスタイヤを装備していて、普通に雪の上を走行しているのですが、登れない坂道があります。
平地では進むことができても、ある程度以上の傾斜になると前輪駆動車ではグリップ力が足りずに空転してしまいます。「あれまー残念でしたね!」と嘲り笑うかのように、隣の車線を使ってランドクルーザーやレンジローバーが追い越して行くのを見かけたことがあります。インプレッサのようなスポーツ車も四輪駆動だとグイグイ登っていきます。傾斜のある道では、豪華なミニバンでも軽自動車のジムニーに追い越されてしまうというわけです。
豪雪地帯に住んでいる人は、スタッドレスタイヤの上にチェーンを巻くのが基本です。最近では金属製ではなく、プラスティック製の軽量で持ち運びや装着が簡単なものも出回っています。このチェーンをつけていると前輪駆動車でも坂道をのぼれることもあります。
筆者自身もスタッドレスタイヤを装着しているのに、身動きができないくらいにスタックしてしまったことがあります。最も安心なのはチェーン+4WDです。スタッドレスタイヤを過信してはいけません。
怖いのは積もった翌朝と数日後
突然の降雪というのはパニックになりがちですが、意外にもスリップすることは少ないです。道路が温度を貯めているので降った直後から溶けて水になります。目に見えるほどどっさり積もっても新雪は柔らかく、スタッドレスタイヤを装着していれば危険は少ないです。
怖いのは降雪の翌朝に溶けた雪が固まってアイスバーンになっている状態です。雪でアイスバーンが見えないので、グリップする部分と突然滑る部分が交互にやってきて運転するのに緊張します。
大通りは除雪されることが多く、行政が「塩カル」のような融雪剤を撒き凍結を予防することもあります。主要道路ではない小さな道は車幅が狭いのに滑りやすいのでとても危険です。
大切なのは速度と車間距離とブレーキ
スリップでの事故予防としては、当たり前ですが速度を出しすぎないことです。
積雪や凍結路面では、ブレーキを踏んでから完全に停止するまでの距離が極端に伸びます。スタッドレスタイヤの場合、時速40km/hだと圧雪路面では21.0m、凍結路面では78.7mと、乾燥路面の7.9mと比べて、2.7~10倍も長くなります。※(社)日本自動車タイヤ協会資料より
普段60km/hで安全に走れる道も、凍結していると40km/hでも危険だということが分かります。
速度を押さえて、常にブレーキペダルの上に足をおき、柔らかくゆっくり時間をかけてブレーキするのが大切です。急ブレーキするとタイヤがロックするのを防ぐためにABSが作動して、全く制御不可能に陥ることがあります。渋滞でそうなると、あとは前方に衝突する他ありません。
タイヤがロックしないように、そっと通常の何倍も時間をかけてゆっくりブレーキを掛けるしかありません。エンジンブレーキも有効です。
ガソリンは満タンを意識する
雪山は不慮の事故が発生しやすく、トレーラーの横転で前後が詰まってしまうと数時間から最大で数日そのまま立ち往生してしまうことがあります。配送途中のコンビニ納品車が、立ち往生した車に食べ物を分けたというニュースを見た方もいるのではないでしょうか。
そんな立ち往生で最も大切なのはガソリンです。平均的な乗用車では、10分あたり約0.14Lのガソリンを消費するようです。すると0.84Lあれば1時間エンジンをつけていられます。1日つけっぱなしにすると約20Lを消費することになります。氷点下10度以下の極寒の山で暖気を取れるというのは大変重要なことです。登る前になるべく満タンにするように意識つけておくと最悪の事態に助かります。
降雪時の長時間アイドリングは、マフラーが塞がれた場合に一酸化炭素中毒になりやすいので注意が必要です。
危険な雪山を通らなければならない場合
仕事や年に1回の帰省など、事情によって危険な雪山を通ることがあるかもしれません。
この場合、万一事態を考えて食料品とペットボトルの水、簡易トイレ、毛布などを積んでおくと安心です。豪雪地帯に限って道が細く片道一車線しかなく、曲がりくねった道路だったりします。
自分の車は大丈夫かもしれませんが、前方のクルマが事故を起こしたら長時間未動きできません。そういった状況を考えて準備すると良いです。