コンテンツへスキップ

「地雷を回避せよ」ヤフオク中古ワインの購入術

よく熟成した美味しいワインというのは、ときに何にも代えがたい感動をもたらしますが入手するのも難しいものです。長期熟成した美味しいワインを飲みたい人は世界各国数多く存在しますし、それ故に値段も当時より何倍も高くなっているのが常だからです。

そこで人は考えます。「ならばヤフーオークションで安く出品されている古酒を買うのはどうだろうか?」なろう系小説であれば成功する考えも、現実はうまくいくとは限りません。甘美な古酒が手頃な価格で流通していますが、それだけでなくコルクがボロボロに壊れて中身が酢にさえならない「液体ゴミ」にお金を払って譲り受けるリスクも混在しているのです。

そこで今日はヤフオクで中古ワインを購入するときに、地雷を踏まない方法について触れてみます。

なぜヤフオクに安いワインが流通している?

原点はここです。なぜオークションに手頃な価格で10~20年前、それ以上昔のワインが流通しているのか考えてみます。一般的には1~6のパターンが存在します。

1.「情報弱者を騙す」格安ワインセットを売る業者

「10本セット」などで安い!と思わせるワインセットを出品しています。よく楽天市場などにも登場するような業者で、「10本で送料無料の1万円」「全て金賞受賞」「ソムリエ厳選」といった具合で1本1,000円以下のワインを売りつけています。特徴はボトルに金のメダルシールが貼ってあるものです。

シール1個でも危険ですが、1つのボトルに5個も6個も、ひどいと8個貼ってありますが数が多くなるほど不味くなります。ワイン好きに1~2千円でオススメのワインを聞くと、このシールが貼ってあるワインを上げることは絶対にありません。ヤフオクに出てると安い気がしてしまいますが、現地で2~3ユーロの激安ワインなので避けた方が良いです。

2.普通のワインショップ

良心的なワインショップが状態の良いワインをヤフオクに出品しています。
特徴は値段が正規価格と差がないことです。一例では4千円のワインが3,500~4,000円で出品されています。送料も必要なので、あまりお得感がありません。
その代わり品質が良く、美味しいワインに絞って出品していることがおおいです。

3.買い取りショップの二次流通品

ここからがヤフオクの面白いところです。
お酒販売専門店 SAKE People - サケピポ –なんかは有名な二次流通のショップですが、全体的にコンディションが良いものが多いです。個人だけでなく、卸や酒屋、飲食店などからも買い取りしているのか6本/12本セットの高級ワインが手頃な値段で出品されていることがあります。

デパートで売られているのと同等品質のワインが1/3以下の価格で手に入ることがあるので、お買い得にワインを入手できることもあります。古いビンテージのものは少しリスクがあります。信頼できる中古ショップでも当たり外れが出てくるので、1本ごとのコンディションを確認するしかありません。

例えば次のようなワインは健康な可能性が高いです。
シャトー・ラトゥールの1986年ですが、まず液面が高くネック以上残っています。80年代でこの高さであれば適切に加湿した環境で保管されていたと推測できます。裏面の輸入会社はジャパン・インポート・システムでJANコードシールもあります。インポーターのシールが残っていると100%とはいえませんが偽物の可能性も下がります。あとはキャップシールの状態が良く、傷当たりがほとんど無い。エチケットの保護フィルムがあり、拡大写真もシミやシワがない。
ギャンブルにはなりますが、たぶん美味しく飲める1本だと思います。

注意すべきは、状態の非常に悪いワインを平然と売っている業者が存在することです。個人なら仕方ないですが、キャップシールがボロボロでコルクが見えているような1990年代の古酒を「希少!」などと言って少し安い価格で売っています。

いくら珍しくても、手頃でも飲めないのであれば意味がありません。1980~1990年代でエチケットがボロボロでキャップシールも傷だらけのようなワインは手を出さないほうが懸命です。

4.押入れ整理で出てくる中古ワイン

ヤフオクのパトロールをしていると、こんなワインを見かけることがあります。
ルロア ワインセット?

お?おお〜〜!!

価値を知らない人が、ルロワをルロアとして安い価格で出品しています。しかもよく見ると1986年のオーセイ・デュレスです。ドメーヌ・ルロワのラルー・ビーズ・ルロワ女史もオーセイ・デュレスにも一部畑を所有していて執着心のあるワインです。コンディションが良ければ素晴らしい1本になります。

ここで警戒するべきワードは2つ、「高島屋」「木箱入り」これでワインが傷んでいる可能性が500%アップします。何故ならば、ワインセラーを所有している人は木箱を捨てて中のワインだけセラーに保管するためです。よほどウォークインの超本格セラーを持ってない限り、箱はすぐに処分します。
例外としてボルドーのシャトーが詰めた木箱は、そのままの方が販売時に価値があるので、6本や12本ケースに入れたまま保管することがあります。

高島屋の木箱は、ワインを普段飲まない取引先の役員に贈答として使われたものだと想像できます。

次に液面とキャップシールを見ます。
未開封なのは本当で、ボトルには傷がありません。ただし致命的なことがあります。
左のボトルは吹きこぼれてしまい、シールにシミができています。99%の確率でこのワインは傷んでいます。

常温保存されて夏の暑い日にコルクの隙間から気圧によって中身が吹きこぼれたことがあるということです。きっと手に取ると、白ワインの方は中身が濁っているはずです。とても健康なワインとはいえません。
世界最高級の酢が完成しているはずです。

キャップシールは鉛ではなくアルミのようにも見えますが、表面が波打っているように見えます。このあたり湿度や熱の影響を受けている可能性も否定できません。

このように押入れ整理のワインは、一見ワイン好きにとって非常にお買い得に見えますが、巨大なリスクが潜んでいます。ちなみにコレが贈答されたばかり、つまり1988年頃に買うのであれば影響は少ないです。
日本での完全な常温保管の場合は、1~2年ではまだ影響が少ないですが、長くなるといかに良いワインでも傷んでしまいます。

5.ワイン好きの二次流通品

コレが非常に曲者です。一見状態が良いのですが、熱劣化していることがあります。
特徴としては、メンズ小物を一緒に出品しているアカウントです。革靴、スーツ、ネクタイ、時計などの小物に混じってワインが2~3本出品されています。

きっと上司にもらったり、自身が雑誌などで少し興味をもって集めたものです。冷蔵庫ならまだマシなのですが、キャビネットなど飾ってあった可能性もあります。
パット見での見栄えは良いですが、リスクがややあります。

6.ワインマニアの貴重な放出品

最も安心できるのがワインマニアの貴重な放出品です。
特徴としては、ウォークインの部屋がまるごとワインセラーになっていて1000本以上保管してあるスペースの写真が載っていたり、フォルスターの長期保管用のワインセラーであるロングフレッシュが、ドコ!とリビングに鎮座していて、ワインの首に年数と生産者などのタグが掲げられていたりします。

この手のマニアは、新品で購入してから即時ワインセラーに入れられて、そこから数年から数十年一度も動かしていないということがおおいです。
コルクの関係でブショネのリスクはあるものの、熱劣化や保管中の影響は最小限に抑えられています。次のようなワードがありがちです。

「お酒がドクターストップ出たため泣く泣く出品します」
「セラー整理のために出品します」

中にはインチキしているワインもあることを否定できませんが、このような出品者のワインはハズレがほとんどありません。ただし値段も熟知しているので、そこまで激安で売られることはありません。
だいたい相場価格の7~8割で出品されています。1万円のワインであれば、7~8千円という感じです。

「某倉庫にあるため手元に来るのは落札後です。」

という説明が付け足されていることもありますが、某倉庫は寺田倉庫やエノテカ倉庫であることがおおく、これもまたコンディションは良いです。

ヤフオク中古ワインで気をつけるべき特徴

  • 高島屋などの古い化粧箱
  • エチケットが汚い、シミがある
  • キャップシールが汚い、シミがある
  • 輸入代理店のシールがない
  • 他の出品物が骨董品など遺品引き上げとひと目で分かる品

このような特徴のワインやアカウントは、液体地雷の可能性があるので気をつけるとよいですよ!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

都会の喧騒を忘れさせる『朝香珈琲』。東京各地の魅力をブレンドに込め、洗練されたデザインのパッケージで、あなたのコーヒーライフに上質なひとときを提供します。
copyright otonaninareru.net