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    シャトー・ラトゥール 1989年 その1本から何が見えたか

    By otonaweb2021年9月26日Updated:2021年12月30日
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    長いあいだワインを飲んできたつもりですが「心の琴線に触れる」「魂を震わす」といった言葉が陳腐に思えるほどのワインに出会ったのは初めてです。保管状態から温度、抜栓のタイミングまで何もかもが完璧でした。

    「美味しい」とか「美味しくない」そういった次元の飲み物ではありませんでした。
    ひとつ言えることは、保管状態が良く、充分に熟成されたシャトー・ラトゥールは劇をみせてくれるということです。演劇というよりは白黒のフィルム映画が近いかもしれません、このワインは1/3を当日に飲み、1/3を1週間かけて飲み、残りは開栓日から1ヶ月近くかけてゆっくりと楽しみました。

    ワインという概念を超越しています。開栓してコルクを刺しただけのボトルが1ヶ月持つと考えられますか?普通のデイリーワインであれば翌日飲めるかどうか怪しいです。偉大なボルドーワインのひとつである、シャトー・カロン・セギュールやシャトー・パルメでも1週間が限界でした。ところが”この”ラトゥールに関しては2~3週間経っても劇の続きをみることができるほどに酸化に対する耐性があります。

    眠れる獅子が醒めるのか、それとも森に入っていくのか

    上質な幻覚剤でもキメているような気分にさせられます。
    30年以上眠っていたコルクに、ソムリエナイフのスクリューを丁寧に刺し揺らさないように抜栓します。この日のために常温に戻して十日ほどオリを沈めておきました。コルクを抜いた瞬間は、ブルゴーニュワインのような快活な草花の香りが飛び出てくるというものではなく、静かにそこに佇み予感をさせるというものでした。

    この劇の同伴者と話あった結果、ワインはデキャンタせずにリーデルのボルドーグラスに静かに鎮めることで意見が一致しました。一杯目をグラスに注いだときは「眠っている」互いの声がかぶってしまうほどに息のあった台詞でした。
    優しくスワリングすると、何かが眠っていることだけが分かる状況でした。少し待ってみることにして10分ほどして最初の一口を飲むことに。

    今まで多くのワインを言語化して、あれだこれだ文句をつけてきた私たち二人でしたが、今回に限っては言葉を失うほかなりませんでした。ポイヤックに対して腐葉土やらカシスやらミントと安い言葉をぶつけられるのは、そのワインが限られた情報量しか持っていないためです。某漫画で優れたブルゴーニュワインに「100の花の香りを集めたような」と表現していましたが、このラトゥールは複雑で不確定な要素が常に揺れているので、強いインスピレーションを得て言語化するのは困難を極めます。

    共通した認識としては「ゆっくりと森に入る」
    草がなぎ倒された跡だけで、道と呼ぶには心細いけもの道に足を踏み入れる感覚でした。

    Nel mezzo del cammin di nostra vita
    mi ritrovai per una selva oscura,
    ché la diritta via era smarrita.

    人生の旅の途中で
    気がつくと私たちは森の中の暗闇にいました
    まっすぐな道が失われたため
    Divina Commedia di Dante Alighieri

    ここまで偉大なワインは初めてでしたが、開栓直後は完全に眠っていることがわかります。フランス料理店のコースなどで限られた時間で飲むという条件があるならば、デキャンターに移して無理やり眠りから覚ますという方法もひとつですが、自宅で時間に限りがないのであればボトルの中とグラスの中、どちらかでゆっくりと空気に触れさせた方が良さそうです。

    2日目にワインの続きを二人で飲んでいると、森の中に進み枯れ葉を踏む音や野鳥の声までも空耳のように聞こえてきます。そして、ある瞬間に突然に大きな獣が飛び出てくる感覚に襲われました。獅子のような巨大な獣ですが、概念上の生物なので獅子とは断定できません。それでも互いのグラスの中に、突如として獣が浮かび上がってきたことだけは確かです。
    その時に分かりました。これは一つの劇なのだと。はじまりから終わりまでを見せるものなのだと。以前、エノテカ銀座シックス主催のイベントで、シャトー・ラトゥール社長来日して数多くのビンテージを垂直飲みする機会がありました。
    その時は「なぜこれを今開ける?」という疑問しかなく、ラトゥールの真髄に辿り着くことは到底不可能でした。ボトリングから数年の若いビンテージを、乱暴にデキャンタージュして、その一部をトリミングしてグラスに注ぎ試飲したのでは本質の表面に辿り着くことさえ不可能です。今思えば富裕層に対するプリムールのようなイベントであり、味と香りの傾向を確認して2ケースでも3ケースでも購入してセラーに眠らせてくださいね、という趣旨であったと反省しています。きっとあのときの1本も、ユーロカーブで2040~2050年まで寝かせれば同じような劇を見ることができるはずです。

    話がそれましたが、グラスにいれていると刻々と劇は進行して好きなタイミングで口に入れて文字通り味わうことができます。喉を潤したり、陶酔感を得るという今までのワインとは全く別物なのだと真摯になることができました。

    その獣は2日目のある一瞬だけ襲いかかってきましたが、3日目以降は姿を見せることはありませんでした。そこから穏やかに森が静まり返っていくのを感じさせます。
    ワイン抜栓から2週間したある日に、50mlほど注ぎ嗜んでいると「あ、森を抜けたんだ」と直感しました。別の小道に抜けて、空は晴れて穏やかな雲が見えます。

    3週間と少しした時に最後のオリの混ざった部分を飲みました。空のボトルに近い状態でずっと酸素に触れていたので酸化していますが、それでも感動をもたらす余力を持ち合わせていて驚きました。
    弱い秋の日差しで溶けた雲のもと、森を抜けて遠くの草原から”旅”を振り返るそんな不思議な感覚が訪れました。

    シャトー・ラトゥールとは何か?

    今読み返すと完全なポエムで薬中にでもなったのかと不安になりますが、確かにボトルの中に劇は存在しました。
    もうひとつ仮説があり、これは状態の良い熟成されたラトゥールであれば誰でも見れるのか?と聞かれればそうではないと思います。今までの人生の中で苦難の道、それが険しく厳しい道を辿ってきた者ほど鮮やかに見れるものです。ただの水でもペルシアから砂漠を超えてきたキャラバン隊が飲む水と、水道をひねればいつでも自由に得れるものが飲む水では感動は異なります。同じようにシャトーラトゥールも人生の苦難に応じて、その甘美な劇を見せてくれるのだと思います。

    シャトー・ラトゥール テイスティング ボルドー ワイン
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