実売5万円!シャトー・ラフィットのセカンドワインは微妙?Carruades de Lafite Rothschild 2004

飲み物

あるワインショップの有料試飲で特別なワインが提供されていました。かの有名なメドック格付け1級のシャトーラフィットが作る2番目のワイン「カリュアド・ド・ラフィット」、もうひとつがブルゴーニュの有名生産者のフィリップ・パカレ「シャンボール・ミュジニー 1er」です。
どちらもワインマニアなら気になるボトルですよね!

60mlでカリュアド・ド・ラフィットは3,500円、シャンボール・ミュジニーは2,500円というお値打ち価格(?)
今思えばドメーヌ・ルフレーヴのピュリュニー・モンラッシェにすればよかったなんて…。あでも2018年のドメーヌ・ルフレーヴは開けるの可哀想、

シャンボール・ミュジニー プルミエ・クリュ CHAMBOLLE MUSIGNY 1ER CRU 2017

先にフィリップ・パカレのシャンボール・ミュジニー。
抜栓して3日目ということもあって、やや刺さるような酸が目立ちます。コラヴァンを使用しているというのもありますが、フィリップ・パカレの作りがあまり好きではありません。表面がオイリーというか、油の皮膜があるかと思えるほど固く無機質なものを感じさせます。
以前フィリップパカレのヴォーヌ・ロマネを飲んだことがありますが、全く同じ感想だったので作り方に何か特徴的な製法を取り入れているのかもしれません。エレガントというよりは、新大陸のピノ・ノワールワインを飲んでいるという感想でした。

カリュアド・ド・ラフィット Carruades de Lafite Rothschild 2004

実はカリュアドを飲むのは2回目です。以前は1本ボトルで飲んで「あれ??」という感想だったので、当時の感覚が正しかったのか評価したくて注文してみました。
17年経っているということもあり、タンニンの角がとれて樽を感じさせない滑らかで円熟した仕上がりでした。小粒な酸の滑らかさや、長期熟成を感じさせない骨格は確かに優れた生産者による作風ということを感じさせますが、果実の凝縮感や土のエネルギーからは程遠い、あっさりとしたボルドーワインです。
ブラインドで出たとしたら、シャトー・ラフィットが作っているとは判断できないレベルのスケール感の狭さです。本来、作りの良いポイヤックのワインからは、腐葉土や獣臭がポジティブな要素として湧き上がってきます。わたしならカリュアドを1本もらうならば半額で手に入る「シャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド」を選びたいです。

ボルドーワインのセカンドは美味しくない?

ボルドーワインというのはご存知の通り年々価格が高騰し続けて、1990年代にファーストラベルが3~4万円で手に入ったものが今では10万円をゆうに超す価格帯になってしまいました。苦肉の策としてか、セカンドラベルの流通量を増やしたり、セカンドからも落ちたブドウやバレルを用いたサードまでリリースする状況です。
味わいどうこうよりも投機としての性質が強くなってしまい、中国の富裕層が数千万円単位でボルドーを買い漁っているというので驚くほかありません。ただ日本もバブル時代は一部の成金が「ロマコンのピンドン割り」(ロマネコンティのドンペリ割り)という乱暴なことをしていたそうなので一概に非難できないのですが。

そういった事情からボルドーのメドック格付け1級はそれ以下の格付けのシャトーよりも何倍も価格が高騰しています。味わいの方はファーストラベルにある強烈な野性味や滋味深さ、テロワールから生まれる優美で官能的な香りはセカンドワインでは感じ取るができません。何しろファーストラベルでは出荷できないワインがセカンドに用いられるわけです。茎茶みたいなものです。
2回カリュアドを飲んで、その後にル・プティ・ムートン・ド・ムートン・ロスチャイルドを飲んでセカンドが何たるかを少し理解することができました。

「そうだな〜!誕生日だし高級なボルドーワインをあけよう!」
「え!?ラフィットって10万円もするの?」
「お?このカリュアド・ド・ラフィットなら4万円で買えるじゃん!」

これが大きな落とし穴です。私のように数多くの失敗をしてきた人でないと、手頃なセカンドワイン良く思えてしまいますよね。カリュアドも1万円代なら分かるのですが、4万円というのはいささか高すぎます。
1級シャトーの2級を選ぶならば、2級シャトーの1級を選んだ方が勝率が上がりますよ!
先ほど「シャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド」を紹介しましたが、「シャトー・ピション・ロングヴィル・バロン」の方が感動をもたらしてくれます。2万円を切った価格で買うならバロンは間違いない選択ですよ。

どちらのピションも20年以上経過して良く熟成したワインを開けることをオススメします。素晴らしいボルドーワインというのは瓶の中での熟成ありきですので、間違っても2~3年であけてはいけませんよ。

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