私は中学生の頃からバカで頭が悪く、テストの成績も常に平均点以下でした。昔から”バカだと自覚”していたので「バカだから勉強する必要がない」と思って生きてきました。
しかし20代半ばになってから気がついたのが、「バカだから勉強する必要がない」のではなく、「バカだから一生懸命勉強しなければならない」ということ。例えば新聞でニュースを見たときに、頭が良い人はものの数秒で理解できる事が、バカな人はすぐに理解できず、用語を調べながら理解しなければいけないので長い時間かかってしまいます。
新聞で出てくるレベルの一般的な話を理解するのに、バカである故に何倍もの労力が必要なのです。「俺はバカだし、ハハハ」と理解しようとしないと、その繰り返しで、どんどん本当のバカになるのです。
学校の勉強が人生の全てではありません。しかし最低限、国語と社会ができないと、「新聞」を読み解くこともできないのです。私も国語を真面目に勉強してこなかったせいで、漢字の読み方、書き方、句読点の打ち方、慣用句の使い方も人並み以下で、語彙力も乏しいので文章を書くことでさえ苦労しています。
分からなくても理解しようとする姿勢が大切
これは経験した一例ですが、私が社会人になり頭痛薬を買うときに、「どの頭痛薬を買えばいいんだ?」と悩みました。ドラッグストアに行くと、痛み止めだけで何種類もあります。何を選べばいいか学校も親も誰も教えてくれません。
もちろん正解は、その場に居る薬剤師に選んでもらうことです。寿司屋でお勧めのネタを聞くように、的確なアドバイスをもらえます。
しかしその時、「薬局に並んでいる薬を選べるようになりたい」と強く思って、それを実現できるようにバカなりに一生懸命勉強をしてきました。
薬を選ぶという例で話を進めると、ドラッグストアには「OTC医薬品」といって処方箋なしで買える薬があります。第2類医薬品までであれば、登録販売者がいるだけで自由に買うことができます。そのため”自分で選んで買う”という事が前提になっている部分があります。
勉強を進めると、分からないという事がわかる
友人の薬剤師のN君に相談すると、「この本がいいよ!」と機能形態学の基礎本を譲ってくれました。さっそくワクワクしながら1ページめくると、原核細胞と真核細胞の違い、2ページ目ではDNAの構造と、”おさらい”のように圧縮して紹介されています。4ページ目に進めると、「能動輸送・受動輸送」「静止膜電位」「膜電位依存性カリウムチャネル」「食作用・エンドサイトーシス(endocytosis)」と難しい用語が並び、今でこそ”何について説明しているか”程度は理解できるようになりましたが、当時は1ページ目さえ理解する事ができませんでした。原核細胞と真核細胞の違いさえ分からなかったのです!
生物学を進める上で必ず勉強するTCA回路(未だに覚えていない)そこで”分からない事が多すぎる”ということに気づき、「超入門!高校生物基礎」から始めて高校生のようにコツコツ夜な夜な勉強して全てやったころには「機能形態学」がなんとなく読めるような状態になりました。譲り受けた機能形態学の本を進めると、今度は衝撃的なことに気づきます。
「なぜ頭痛薬を飲むと効く」のか説明するには化学基礎、生化学、薬理学、分子生物学、薬物動態学などの知識がないと正しい説明はできないからです。
これらを全て独学で勉強するのは現状では難しく、今は興味のある生物学だけをコツコツ進めています。しかし、あの日にドラッグストアで薬を迷った日と比べると基礎的な部分は理解できました。解熱剤や抗炎症剤の種類、ステロイド、アレルギーについてなど知っていると何かあったときに助けられます。
どの分野でも同じことが言える
これは薬についての一例ですが、どの分野についても同じことが言えます。。
私は英語が苦手なのですが、英語を勉強すれば読める本や文献の数が世界中に広がっていますし、コミュニケーションを取れる相手も1億人から17億人に増えます。生涯で得れる知識や対人関係に大きな差が出ます。さらに歴史・地理をしっかりと勉強していれば旅行していても楽しみ方が広がります。
高校生のときに簿記を取っていたので、税金や経理について説明されてもスムーズに理解できます。(本当は分かりきっていたことですが)勉強をしていると理解できることの幅が広がります。
つまり、バカな人ほど日々一生懸命勉強した方が良いということです。
頭の良い人であれば、分からない分野があっても入門書をサラッと一冊目を通すだけで7割理解できてしまったりします。私のようにバカな人は、常日頃から何度も繰り返して勉強して、やっと理解できるのは3割程度ということもあるのです。なので、バカであっても自分の人生のために一生懸命勉強した方がいいのです。