イタリア人はなぜJohn Lobb ジョンロブではなくChurch’s チャーチを履くのか

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こんばんは、プロフェソーレ・ランバルディ静岡の大橋です。今日はめずらしく靴について話しをすると致しましょう。

イタリア人が履く靴とは?

イタリアを歩いているとイタリア靴か英国靴かは別として、革靴を履いている人が多いことに気がつきます。もちろん皆が皆、靴を非常に強く意識していて、綺麗に履いているというわけではありません。

しかしイタリアには何となく「襟のついたシャツを着ていたい」という意識と同じように、「革の靴を履いていたい」という感覚があるのです。彼らは毎日革靴を履いているわけではなく、よく歩く日はスニーカーを履いています。しかしジャケットを羽織って少し気合いを入れてデートや食事に行く時には、当然のように革靴を履くのですね。

そんなときに彼らが履く靴はどんなものか。

よく言われているのは黒の靴は履かず、ブラウンを履く、ということです。確かにイタリアではオシャレな人はブラウンの靴を履いているが多いですね。

この着こなし方を日本で取り入れるのはもちろん間違いではありませんが、真似をするのであればいくつか考えなければならないことがあります。

まずはイタリアの街並みには、特にブラウンが似合うということ。

ナポリやローマ、フィレンツェを歩くとその町の色合いが非常に鮮やかで明るいということがわかります。日差しも強く、ベージュやサンド色の建材を使うため、街並み自体が暖かい色合いです。そこには土と木、植物の色であるブラウンが合うのですね。

またイタリアには厳格なビジネススタイルを必要とする場面が少ないのも見逃せません。小売店や自営業が多いため、ダークネイビーのスーツに黒靴を履かなくても良い人が多いのは事実です。

そのような違いを見ていけば、自分の場合は黒い靴が良いのか、ブラウンの靴が良いのか自ずと分かるでしょう。

なぜイタリア人はChurch’s チャーチを履くのか

さて、ではイタリア人はどんな靴を履いているのでしょう。

もちろん多くの人は、適当な靴屋で購入した何ともない革靴を履いています。しかしスーツをビスポークするようなオシャレな人々に関して言えば、英国のChurch’s チャーチが人気です。

なぜチャーチか。

安いから。

と昔ならば言ったでしょう。しかし今となっては、イタリアのブティックでもChurch’s チャーチは€600前後となかなか高額です。

逆に言えば普通に裕福なイタリア人にとって高級な靴は€600位のものを指します。つまり彼らにとっては、Church’s チャーチが英国の最高峰の靴なのですね。

日本では医師や弁護士、会社役員という方がJohn Lobb ジョンロブやEdward Green エドワードグリーンという靴を愛用していることを考えると、ずいぶん差があるように感じます。

それはなぜか。ここに物価は関係ありません。これは感覚の違いなのです。

多くのイタリア人は服や靴を生活に馴染ませることを知っています。石畳で、ゴミやタバコの吸い殻がたくさん落ちていて、人でごった返すローマやナポリの街の中に、John Lobb ジョンロブやEdward Green エドワードグリーンが馴染まないということを知っています。

そして服や靴をあくまで生活の一部と考えたとき、彼らにとって靴は家族で行く旅行やそのときの別荘、毎週の家族全員での食事、家の内装といったものの次に来るものです。

そのため働く必要もなければ運転も歩く必要もない貴族階級の人々でなければ、靴は€600のグレードのものを履くことが多い。そしてその需要にChurch’s チャーチの靴は非常にマッチしています。

イタリアの首都ローマにJohn Lobb ジョンロブやEdward Green エドワードグリーンの路面店がないにも関わらず、Church’s チャーチの路面店が一流ブティックの並ぶコンドッティ通りに堂々とあるのは、偶然ではなさそうです。

石畳を歩いても傷みにくい強さ、手縫いのある意味少し野暮ったい服にも似合うフォルム。

特に日本ではグレード競走が激しいため、例えば車もグレードが一番良いものでなければ、ふうん、と言われるものです。しかしイタリアの街中では、廉価版と言われるマセラティのギブリが停まっているだけで随分輝かしく見えるものです。

日本では高級革靴に押されて中級靴の扱いをされているが、イタリアでは一流。その姿が、だんだん愛らしく見えてくるではありませんか。

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