Château Latour シャトー・ラトゥール飲み比べ

飲み物

Château Latour シャトー・ラトゥール生産者来日でのテイスティングイベント

「シャトー・ラトゥール飲み比べ」などと少し大胆なタイトルを付けましたが、12月2日にGINZA SIXで行われたこのイベントは、まさにシャトー・ラトゥールを飲み比べる絶好の機会でした。

正直な話、これまでワインについていろいろ語ってきましたが、今回が初めての1級シャトーの体験でした。

フランスのワインでは、ボルドーとブルゴーニュが特に有名なのはご存知の方も多いと思いますが、ボルドーでは生産者の重要度に応じて、1級から5級までの格付けが行われています。この格付けは、1855年のパリ万国博覧会において、皇帝ナポレオン3世が当時のシャトー(生産者)のワインの取引価格や品質、評判を基に決定したものです。

1級シャトーには、「ラフィット」「ラトゥール」「マルゴー」「オー・ブリオン」「ムートン」の5つの生産者しか存在せず、これらは最も優れたボルドーワインとされています。なぜ今まで飲んだことがなかったかというと、現在の取引価格が、安いヴィンテージでも6万円以上、優れた年のヴィンテージでは10万円を超えることがあるからです。葡萄の収穫が厳しかった年、いわゆる”優れていない”ヴィンテージでも6〜9万円という高価格のため、いくらワインが好きでも、一人暮らしで気軽に楽しめるものではありません。

しかし、これらの生産者は「セカンド」や「サード」と呼ばれるワインも生産しています。これは、樹齢が若い葡萄の木や特定の区画外で育てられた葡萄を使用したもので、比較的手頃な価格です。セカンドワインであれば2万〜4万円、サードワインは1万円程度で購入できることもあり、ワイン好きにとってはありがたい存在です。

前置きが長くなってしまいましたが、このGINZA SIXの試飲会では、ラトゥールのサードワインからファーストワインまで順番にテイスティングでき、それぞれの特徴の違いをはっきりと理解することができました。

Château Latour テイスティング

1級シャトーが初めてなので、謂わば”ワイン初心者”です。今回は怒られるのを覚悟で、思ったままの感想を載せます。

ワインリスト
2015シャサーニュ・モンラッシェ・レ・ペルクロ / ドメーヌ・デュージェニー
2014ヴォーヌ・ロマネ・ヴィラージュ / ドメーヌ・デュージェニー
2013クロ・ド・ヴージョ / ドメーヌ・デュージェニー
2012ポイヤック・ド・ラトゥール / ポイヤック
2012レ・フォール・ド・ラトゥール / ポイヤック
2010レ・フォール・ド・ラトゥール / ポイヤック
2008シャトー・ラトゥール / ポイヤック
2006シャトー・ラトゥール / ポイヤック
2005シャトー・ラトゥール / ポイヤック

2015シャサーニュ・モンラッシェ・レ・ペルクロ / ドメーヌ・デュージェニー ¥12,000

ラトゥールのオーナーであるフランソワ・ピノー氏が2006年にヴォーヌ・ロマネでスタートさせたドメーヌが「デュージェニー」です。このドメーヌは、わずか0.24haの区画からワインが造られるため、生産数量は非常に限られています。

色調はグリーンがかったイエローで、透明感が高く、アルコール感が控えめなのが特徴です。香りには、モンラッシェにありがちな米麹(発酵臭)が少なく、軽快さが前面に出ています。果実味は控えめで、しっとりと続く渋みを感じさせます。大ぶりのグラスで味わいましたが、意外にも香りが弱く、ボディが薄く感じられました。そのため、ソースの香りを引き立たせたい料理とのペアリングに適しているでしょう。

このワインを単体で飲むと、やや物足りなさを感じるかもしれません。

2014ヴォーヌ・ロマネ・ヴィラージュ / ドメーヌ・デュージェニー ¥10,000

ラトゥールが考える「ブルゴーニュ」とは、こういうものなのか…と感じさせます。ガーネットの色調が美しく、透明感も高い。注いだ直後から、ふわっと広がる香りが印象的です。2014年というヴィンテージもあり、フレッシュさと若々しさを感じます。とはいえ、ヴォーヌ・ロマネにしては軽快な印象で、頻繁にコート・ドールのワインを楽しむ人には、香りが物足りなく感じるかもしれません。

味わいはシャープで、ミネラル感と酸味がありますが、全体的に薄く感じられます。まるでアルコールで薄めたような印象です。さらに、グラスに注いでから10分も経つと香りが弱まり、味わいも急速に落ちてしまいます。

2013クロ・ド・ヴージョ / ドメーヌ・デュージェニー ¥45,000

抜栓してグラスに注いだ際に最初に感じたのは、まるで静まり返った深夜のような静かなニュアンスです。果実や花の香りではなく、香水のような甘さがゆっくりと立ち上がってきます。ドメーヌ・デュージェニーは全体的に香りが控えめで、個人的には少し物足りなく感じます。特に、ドメーヌ・アンヌ・フランソワーズ・グロのような強烈な薔薇のブーケのような香りが好みの方にとっては、控えめすぎるかもしれません。しかし、広く静かな空間でゆっくりと味わうには、このクロ・ド・ヴージョは最適です。

香りは、抜栓後約15分ほどでピークを迎え、そこから緩やかに弱まっていきます。抜栓してすぐに楽しむには、先ほどのヴォーヌ・ロマネがお勧めですが、時間をかけてゆっくりと楽しむには、このクロ・ド・ヴージョがぴったりです。(もちろん、購入できるかどうかは別問題ですが…)

フレデリックアンジェラ社長が直々に来日してワインの解説をして頂きました。
時折ジョークを混ぜてゲストを賑わせていましたが、最も面白かったジョークは
「スタンディングでの試飲会は世界でも初めてだよ、ハハハ」

めちゃめちゃ狭い空間で肩やグラスがぶつかりながらの立ち飲み試飲会は、さすがエコノミックアニマルは違うぜCOOL JAPAN…TOKYO人…NINJA…とでも思った事でしょう。

試飲も後半戦、ポイヤック・ド・ラトゥール(サード)とレ・フォール・ド・ラトゥール(セカンド)の試飲に入ります。

グラスを貰ってテーブルに戻ると、完全にヤル気が無くなりました。

試飲のワインを2箇所で配布していたのですが、実は今回◯◯◯大学の学長と参加しており、敢えて2箇所別々で受け取りました。
すると、ポイヤック・ド・ラトゥールとレ・フォール・ド・ラトゥール、いずれも2箇所で全然香りも味も違う事が判明。

全く別物やろ…というほどに2つの差がありました。
学長と、こっちはコレがウマイ、こっちはコレがウマイ、といった具合に、マズいさんチームウマイさんチームに分ける遊びをしていました。

参加者の皆さまは一生懸命に試飲したり、メモを取ったり、アンジェラ社長の話を聞いているのですが、飲んでいるものがバラバラだと思うと中々にシュールな光景でした。
いわば、味噌汁と豚汁が混在して提供されて、油が多いだの少ないだの話しているようなものです。

参考までに筆者の乱雑なメモを見ると

2012ポイヤック・ド・ラトゥール / ポイヤック  ¥13,000
ボディに厚みがない、タンニンが強く酸っぱい。甘みも無い。時間が経つごとに香りが開くどころか酸が強くなってきて飲みにくい。

2012レ・フォール・ド・ラトゥール / ポイヤック Not for Sale
タンニンが柔らかく比較的飲みやすい。ロット差が大きすぎる。時間が経ち15分位すると、ロット差が無くなり、どちらも全く同じ味や香りになる。

2010レ・フォール・ド・ラトゥール / ポイヤック  ¥45,000
早すぎる。タンニンが強く非常に固い。スワリングしても香りが開かない。

とのメモが残させれています。

ん、んん〜〜〜
もしかして、ラネッサンやシャス・スプリーンを混ぜたら順番付けミスる人続出では……

もしかしてマズい?

免責事項:狭くて長時間の立ち飲み席で極度のストレスが掛かって正常な判断ができなかった可能性があります。

最重要のシャトー・ラトゥールのファーストの飲み比べ

今までのは前座みたいなもので、ここからが本当のリアルなワインが来ます。
しっかり鼻水をカンで、水を飲んで、パンの耳を齧って、万全を期して待ちます。

初めての1級シャトーのファーストインプレッションは…。

 

 

予想
お・・・おお・・・お・・・・・・

 

(詳しくは、オキモト・シュウ神の雫を参照)

 

現実
あ〜ウマイっすね〜〜〜
(りんちゃん風)

 

ん、んん〜〜〜????
ウマイけど、コレくらいなら飲んだことあるやんけ……。

 

ワインへの修行が足りないというのは分かりますが、思ったより感動が薄いです。

 

1964年シャトー・パルメの方が感動は大きかった…。

 

2008シャトー・ラトゥール / ポイヤック ¥120,000
2006シャトー・ラトゥール / ポイヤック ¥110,000
2005シャトー・ラトゥール / ポイヤック ¥215,000

とりあえず気を取り直していきます。先ほどのセカンドやサードでは、ボトルによって品質に差があると批判しましたが、ファーストでは全く別です。異なるボトルに入っていても、寸分違わず同じ品質を保っています。まるでオーケストラのヴァイオリンよりも完璧に揃っており、2杯×3種類すべてがぴったりと同じ味わいでした。これによって、ファーストワインの品質管理がセカンドとは比べものにならないほど厳しいことがわかります。

それでも感じたのは、「飲むにはまだ早すぎる」という印象です。最近、ボジョレー・ヌーボーが解禁されたばかりですが、2005年のラトゥールでさえ新酒のように荒々しく、タンニンが強く角が立っている状態でした。

この3種類のワインを開けて、どれが最も美味しかったか?と聞かれたら、間違いなく2006年だと言います。そして、学長とも意見が一致しました。(比較的)一番安価にもかかわらず、香りが開きやすく、飲み頃を迎えていました。2008年と2005年は仕上がりが非常に良く、スムーズで美味しいのですが、少なくともあと10年以上は寝かせておきたいワインです。

これらのワインは、確実に美味しい料理と合わせるべきです。特に、魚よりも肉料理、サーロインステーキではなく、鴨肉や仔羊などの軽やかな油が相性抜群でしょう。発酵バターやディジョンマスタードをベースにしたソースにもよく合いそうです。

立って乾いたパンを片手に飲むワインではありませんね…。
乾いたパンに合うワインもありますよ!例えば、イタリア人の大好きなキャンティとか!

という訳で、世界一雑なシャトー・ラトゥールの飲み比べは幕を閉じたのでした。

おわり

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