魅惑のアナログレコードプレーヤー特集
レコードプレーヤー。音質が良いというのは聞いたことがありましたが、1万円程度の激安モデルだと音質どころかホコリによるチリチリ音でしょんぼり…。
高級なレコードプレーヤーがどんなものか、試聴で驚いたのでその体験をレポートしたいと思います。
比較したのは以下の3機種
LINN LP12は標準価格 約43万円、Conceptは標準価格 約20万円、TN-350は実売価格 6万円程度というプライスです。レコードプレーヤーの肝はカートリッジという事で試聴の時は似たようなグレードのカートリッジを装着して試聴に臨みました。
TEAC TN-350の音質と傾向
試聴に用いたレコードは、Claire Martin(クレア・マーティン)のToo darn hot LPです。
収録時の環境はかなり良好なレコードです。
TN-350、マッキントッシュのMA6700、B&W 805 D3という組み合わせで再生しましたが、ナチュラルで素直な傾向の音です。
入門用としては良いですし、外観のデザインは優れているのですが、音質が少々クオリティが落ちてしまいます。圧縮音源で言うと320kbpsのMP3程度でしょうか、せっかくレコードを最高の環境で鳴らしているのですが、広がり方がのっぺりとして居ます。
これだとSACDの方が優れていると言えます。カートリッジ(芯)を変えれば色々と改善はされそうですが、まあまあかな?というのが正直な感想です。
Clearaudio Conceptの音質と傾向
このコンセプトというレコードプレーヤーに切り替えて再生すると、途端に音が先ほどとは別の表情を見せます。
実は筆者は価格絶対主義というのは嫌いで、「安いものでも良い音がある」と主張していたのですが、さすがに一発目の音で分かる位に音質が異なります。
短絡的に表現すると、めちゃくちゃ音が良いです!
アコースティックの楽器のリバーブ再現が忠実で、生生しく聞こえてきます。
また、広がりが豊かになり、奥行き感も出てくるのでレコードの良さが引き立ちます。
これなら一日中聞いていないな〜と思えるほどのクオリティです。
時間の関係で1枚のレコードしか聞けなかったのですが、ジャズ、クラシックだけでなくロックやR&Bなども楽しめると思います。
LINN MAJIK LP12の音質と傾向
本命のLINN LP12。回転するレコードに針を落とす瞬間、緊張で息を飲みます。
(これは…!)
取材でもう一人のライターと同行しましたが、あまりの凄さに言葉を失いました。
実はこの視聴の直前にネットワークオーディオ特集でハイレゾ音源を高級DACでバンバン試聴していました。
ところがあろうことか、LP12はこの最高品質のハイレゾ音源よりも優れた立体感や空気感。
音の出ていない瞬間の再現など、CDでは絶対に再現できない域を軽く超えています。
バックバンドが目の前で演奏しているとしか思えないような再現能力の高さです。
楽器の音が消えてゆく感じも生生しく、聞いていて緊張してしまうほどです。
これは真剣に音楽と対峙する時にしか使うことができないレコードプレーヤーと直感した程です。
価格の差は大きいですが、性能の差はさらに大きく出ています。
立体感や空気感が優れて感じるのは、収録時のリバーブの細かい音をしっかり拾ってスピーカーから出しているので奥行き感を覚えるようです。
さらには無駄な音がすぐに消えるので、音のアタックの入りが強調されてリアルに感じると同行したライターが言っていました。
ただ、最も驚いたのがこのLP12はLINNのレコードプレーヤーの中でも安いグレードで、これよりも高い機種があるという話でした。
レコードプレーヤーの世界は本当に奥が深いです。これで入門用グレードとは…!
LINNの良い所はこのレコードプレーヤーはシャーシなど基本設計は上級モデルと同一で、アーム類などを廉価なパーツに交換されているということで、後々グレードアップも可能ということです。