格安の靴を使い捨てるよりも、お洒落な靴を長く履こう
皆さんは革靴を手入れしているでしょうか。スーツに合わせて毎日の仕事で履いて行く靴ですので、着用時間も長く非常にハードな使われ方をしているのが革靴です。
そのため、革靴がすぐに痛んでしまって、いつも買い替えてばかりいるという人も少なくないでしょう。
でも実は革靴というのは、正しく使って、適度にメンテナンスするだけで何年にも渡って持つようになります。1万円の革靴を5足ダメにしてしまって捨てるよりも、5万円の革靴を長持ちさせた方が、ずっと良い物を使っていられるのでお洒落ですよね。
ここでは革靴を長持ちさせたいけど、別に革靴のために半日を使いたくはない!というお洒落だけど忙しい人のために、革靴のメンテナンスの基本を書いていきます。
革靴を長持ちさせる履き方のコツ
革靴を長持ちさせたいのであれば日頃の使い方にほんのわずかな気遣いと、短時間の手入れを怠らないようにするのが大事です。
まずは日々の革靴の使い方でこれを守ることによって革靴が数倍長持ちするようになる、コツをいくつか紹介していきます。とはいえ守るべきことはそれほど多くありません。順に解説していきます。
①靴ひもを解いて履くこと
めんどくさいときや急いでいるときなどは、どうしても靴の紐には構っていられないものです。しかし靴ひもを解かずに靴を履いてしまうと、かかとの部分がつぶれてしまい、どんどん形が崩れていってしまいます。
かかと部分、上部の1cmほどが縒れる分には履く時に柔らかく感じるので問題ありません。しかしそれ以上、例えば3cm以上に渡って折れるような感じでつぶれてしまった靴は、むしろ普段履くときに履きにくくなってしまいます。
靴を履くときには必ず靴ひもを解いて履きましょう。いつも急いでいて靴ひもを解く時間がない人は、キーホルダーサイズの靴ベラを検討してもいいですね。靴ベラがあれば多少きつめでもすんなりと足が入ってくれ、かかとがつぶれる心配がありません。
②数足をローテーションすること
もちろん何十足の靴を持っていて、それぞれをローテーションで履いていれば、一足の寿命は恐ろしく伸びるでしょう。それは単に使用機会が少ないからです。現実的ではありませんから、一部の靴マニアをのぞいてこれを実現することは難しいですし、その必要もありません。
しかしだからといって、一足の靴をひたすらに履くのと、4足の靴を使い回すのではずいぶんと靴の寿命が違います。
というのはスーツにしてもネクタイにしても、靴にしてもそうですが、大抵のものは「連続」で使われれば使われるほど、比例して消耗しやすくなるからです。
こういったウールや革などの動物素材を使った製品というのは、使ったあとに数日間使用しない期間を設けることによって、使った日に受けた汗等の湿気やシワや折れ目等のダメージを回復していきます。連続で着用してしまうとこの回復期間がないため、極端に痛みやすくなるのです。
そのため、おすすめは比較的質の良い靴を3〜5足用意すること。もちろんデザインなどはまちまちで構いませんが、どれかが極端に履きやすく、どれかが使い道の無い派手色の靴では意味がありません。
あくまでいつでも使える便利な靴を数足です。そうすることにより、一足の靴を履いた後少なくとも1〜2日のマージンが空くことになります。すると靴が断然長持ちするようになるのです。
③メリハリをつけて歩くこと
日本人の男性といえば、まったく喜ばしくないことに、文化的な世界で最も疲れた生物です。日々の仕事のあとなどは、疲れでとぼとぼと重い荷物を引き摺るように歩いてしまう気持ちも分かります。
しかしそういった歩き方は極端に靴を消耗させてしまいます。逆にしっかりと足を持ち上げ、踵から地面に足を付き、その衝撃を前方の面に逃がしていくようなメリハリの付いた歩き方をすると、靴は意外に消耗しないものです。
というより消耗が踵の部分に集まります。すると、踵のチップというのはかなり安価で交換ができるので、結果的にコストパフォーマンスよく靴を維持することができるのです。
もちろんこういったメリハリのある歩き方をすれば、見た目も非常に美しくなります。せっかく良い靴を履くのであれば、疲れていても背筋を引いて、テキパキと歩く紳士的な容姿を目指しましょう。
実は簡単!革靴を長持ちさせる簡易メンテナンス
さて、もう一つ革靴を長持ちさせるために大事なのがメンテナンス。
靴磨き、という言葉には何か神秘的な奥ゆかしさと精神性が感じられますが、まあいつでもそこに浸っていられるほど、平民階級の我々には余裕がありません。
そういうわけで最低限、短時間のメンテナンスでどれほど靴を長持ちさせることができるかが鍵となりますね。
ここでは最低限のメンテナンス方法を紹介します。
平日の手入れは2つだけ!
まずは毎日革靴を履いて家に帰ってきたときのメンテナンスです。疲れて帰ってきて、玄関で靴に構っている暇なんてないかもしれませんが、なあに、たったの二つです。革に情けをかけると思ってちょっと頑張ってあげましょう。
①簡単にブラッシングする
これが大事です。豚毛や化繊など色々種類はありますが、少し固めの毛を使った比較的大きなサイズのブラシでささっと払うように靴をブラッシングします。これによって革表面のほこりやゴミなどを取り除き、革が自分でダメージ回復できる状態を作ります。
このときもしも泥はねなど、ちょっと大きな汚れがあったら、硬く絞った雑巾などで優しく拭いてあげましょう。ネクタイやスーツにちょっとした汚れがついたときと同じ手法ですが、大抵のものはこの要領で落とします。
②シューキーパーを入れる
二つ目は木製のシューキーパーを入れることです。こうすることにより、一日の運動で沿った革靴の形をもとの形に戻します。これを入れているか入れていないかによって、革靴の見た目はまったく異なります。どのくらい異なるかって、それはもうアイロンの掛かっていないしわくちゃなシャツと、白洋舎のデラックスクリーニング後のシャツくらい異なります。
靴のつま先の部分が沿っているか沿っていないか、この具合はシューキーパーを使っているか使っていないかで本当に明確な違いとなって現れます。なので靴に気を使っているかどうか、というのもここを見ればすぐに分かる。
しっかりとシューキーパーを入れた靴は、何年に渡って使っていてもまるで「ヴィンテージ加工をした新品の靴」のような高貴なシルエットを維持してくれるわけです。
高級な靴であればその靴に合ったものが付属しますが、ある程度までは付属しません。なので付属していない場合には、百貨店などで5000円程度のものを買うといいでしょう。1000円の簡易的なものだと、逆にシルエットが崩れてしまうことも少なくありません。
土日は「靴の日頃の疲れ」を取ってあげましょう
さて、写真の靴を見てもうお分かりでしょう。
革靴は人間と同じく、日頃の疲れとストレスを溜め込んでいます。そうして、あまりに休憩もせずに酷使されてしまうと、いかにも疲れたような褪せた感じになってしまいます。ちょうど右の靴のような感じですね。
そこで、休日には適切な色の靴クリームで仕上げてあげることで、左のように復活します。
まずはクリーム選びから。
クリームにはモゥブレイ、サフィール、ブーツブラック、コロンブスなど様々なブランドがありますが、レビューや実際に物を見て自分の好みに合うものを探して頂くのが一番です。
この靴クリームには靴に水分と栄養分を与える役割があります。靴の革のひび割れを防ぎ、必要に応じて色を補色、傷を隠すといういわば化粧品のような意味合いを持っています。
仕上げ方は以下の通り。
①日々の手入れの通り、ブラシで汚れを落とす。
②化繊ブラシで少量のクリームを広げる
③馴染ませる
④乾いた頃に優しく乾拭きする
ほかのサイトでは油性ワックスという、缶に入った靴用のワックスで光沢を出すところまで説明しているところも多いですが、個人的にはこの油性ワックスはほとんどの場合必要ないと思います。
というのも、靴クリームで仕上げて優しく乾拭きをすればある程度の光沢が出ますし、その程度の光沢の方が上品だと考えるからです。もちろん鏡面仕上げが好きな人なんかは、油性ワックスを使って仕上げるといいですね。
革靴リペアでお気に入りを一生ものに
革靴にとってのソールの減りは、ちょうど人間の病気の治療と同じようなもの。どんな状態であっても基本的に直せないことはありませんが、ある一定のところに達してしまうと、交換費用が高くなってしまったり、修理が大掛かりになってしまうことがあります。
特に踵部分なんかは、こまめに修理すればヒールのチップ(黒い部分)だけを交換すればいいので、かなり安上がりで交換することができます。これが本体に達してしまうと、3倍ほどの値段になってしまいますので、チップを3回早めに交換した方がお得です。
またソール全体についてもあまりに放っておくと、穴があいてしまうことがあります。直せないことはありませんが、普通のソール交換ほど融通が利きにくくなってしまいます。早めに交換してあげるといいですね。
修理するときには、お店選びが大事になります。
これは自分の経験ですが、よくショッピングセンターに入っているような靴・鞄修理のお店にサントーニやステファノ・ブランキーニといった靴のヒール交換を頼んだところ、非常に安っぽい部品を使って修理されており、しかも接着部分がずれていたりと処理もかなりずさんでした。
受付をしてくれたのが大学生らしきバイトの人で、まさかその人が修理をするとは思いませんでしたが、ベテランが修理したとは思えない仕上がりだったので、そうだったのかもしれません。
靴修理は実はどんな老舗の素晴らしいところに頼んでも、チェーンの簡易的なところに頼んでも同じような金額です。せっかくならば『靴修理・注文靴Bontá』『ユニオンワークス』などのベテランが手がける修理のところにお願いしましょう。
いかがでしたか?
今回は靴メンテナンスの基本、簡単に短時間で出来ることをメインに紹介しました。本当はもっと丁寧に行うこともできますが、効率よくお洒落をするのも大事なこと。
最低限気をつけるべきことを守り、最小限のメンテナンスを忘れないことによって、お気に入りの革靴を一生ものの宝にしましょう。