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大人の『最高級』革靴入門

italian shoes top

一生モノの一足を手に入れよう

1人の男が人生で最も使うものは何か?

様々な答えがあるでしょう。

しかし、1人の男が何もないところから様々な挑戦をして経験を積み、目で見て多くのことを学び、仕事を得て自分の力で成功していく課程で最も使われるのは『足』です。

足を使って学び、足を使って成功を掴みに行く。そんな男の足下を美しく飾り、しかもタフに支えてくれるのが革靴です。

今回はそんな男の一生の相棒になってくれるような、ハイエンドな革靴達の中でも、よりグレードが高い『最高級』革靴の魅力と、その選び方などを入門者のために解説していきます。

『最高級』革靴の特徴

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まずは最高級革靴の特徴を紹介していきましょう。こういった革靴の特徴はいくつかありますが、それは普通の革靴と比べてみると分かりやすい。

そうして考えてみると、普通の革靴と最高級革靴の最大の違いは「手間」と「特別さ」であると言えるでしょう。

普通の革靴は作るときには、例えば革のカッティングを機械で行ったりします。すなわち図面を入力することで、自動でカットしてくれるようなマシンですね。また縫製に関してもミシン縫いを用いて、時間が掛かり過ぎることのないようにしています。

革そのものに関しても、効率よく染色できる行程を用いて作られたレザーだったり、わりとベーシックで生産量の多いレザーを使ったりしています。

これが、比較的良質なグッドイヤーウェルト製法の革靴を3〜4万円で購入することができる理由ですね。もちろんこれらの靴はかなり品質も良く、丁寧に使っていけば何年も使用することが可能な素晴らしい靴ですね。

しかし最高級の革靴は、そういった効率を重視せずに、より手間が掛かっても履き心地や美しさを追求しています。熟練の職人によって手でカットされた革はより立体的なシルエットを実現することができ、縫う場所によって力の加減を調節できる手縫いは、柔軟さと頑強さを兼ね備えた靴を作ることを可能にします。

そして何より、熟練の職人が手作業で作る靴は各所の仕上げが洗練されており、非常に綺麗です。それは表に見える部分から、普段は見えないソールにまで及びます。

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もちろんハンドフィニッシュやパティーヌなど手塗りの染色であれば、美しいムラ感のある水彩絵の具のような芸術的な靴になりますが、手間は倍増しますね。

また最高級の革靴はより特別です。

靴の形を作るためのラスト(木型)はより立体的で、凡庸なものからある形に特化したものになる。そのためフィットする足の形は少なくなり、様々なラストが用意されることになります。

普通の革靴では常に「ある程度フィットする」状態のものを買う必要がありますが、買う人が自分に合ったラストを見つけることによって、あたかもパターンオーダーをするかのように、「自分だけの靴」を見つけることができるわけですね。

使われる素材も希少な動物の革になったり、特別な過程によって作られるものになったりします。

ちなみに最高級の革靴の特徴については他にも、専用のシューキーパーや外箱などが付属することが挙げられます。

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特にシューキーパーに関しては、ちょうどその靴の形をした専用のシューキーパーであるのが好ましい。そういうわけで高級なものになれば、殆どのブランドが専用のシューキーパーを付けていますね。

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他の靴にはまるで流用することのできない、立体的な形をしています。

イタリアの最高級靴

イギリスのビスポーク専門靴であるジョンロブ、フランスのベルルッティやコルテ。イギリスやフランスには最高級革靴と呼ばれ、その存在感と比類無いほどの価値で世界を魅了する靴ブランドがいくつも存在します。

これらの靴は世界中のセレブリティや特別な人々を魅了し、一流の名を欲しいままにしています。

しかしそれとはまったく違うアプローチで、最高級革靴を作り続けている国がある。それがイタリアです。

イタリアの最高級革靴は、たくさんのセレブに愛されている訳でもなければ、世界中の要人達がこぞって買って話題になっているわけでもない。六本木ヒルズや銀座に大きく荘厳な路面店を持っているブランドばかりではありませんし、日本では殆ど手に入らないようなものだって少なくありません。

しかしごく一部の、イタリアンクラシックなファッションを極めた洒落もの達がいつの時代も変わらず愛し続けることで、これらのイタリアの最高級革靴は不動の価値を持っています。

イタリア贔屓の大人になれる本らしく、まず代表的な最高級革靴のブランドを紹介していきましょう。

自分が購入し、着用している靴ですので、ちょっとボロくてすみません……。個人的な好みであまり靴を光らせないだけで、本当はもう少し皆さんがイメージするようなつやつやの仕上げにることも可能です。

持っていないものはおすすめできない!ということでいきましょう。

Santoni サントーニ

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サントーニはイタリアで最も知名度の高い靴ブランドと言っても過言ではないブランドです。

日本でも数多くの百貨店やセレクトショップで展開されており、インポートシューズコーナーでは見かけないことの方が少ないような世界的ブランド靴でありながらも、一方で職人的な丁寧な靴作りをやめることないその姿勢。

サントーニが比較的新しいブランドでありながらも、今や一流の革靴ブランド達と並ぶに人気で保ち続ける理由はそこにあるのでしょう。

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サントーニの靴にはいくつかのラインがあり、一番グレードの高いラインで15万円ほどと、最高級革靴にしてはお手頃と言われる値段帯です。

履いた瞬間から最高の履き心地を提供してくれるマッケイ製法を極めたブランドであるサントーニの革靴は、どんな足であっても柔らかく包んでくれるかのようなフィッティングです。

この良い意味でのフィッティングの凡庸さは、ビスポーク(注文靴)に端を発したブランドのようにラスト(木型)選びで苦労することが少なく、高級革靴の入門としても非常におすすめですね。安いモデルは6〜7万円からあります。

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また今回の写真の靴は比較的普通のフィニッシュですが、手間のかかる手塗りで色を付けた靴もサントーニの魅力。いかにもイタリアらしい色彩と職人技の繊細な作りで、一足買うとバリエーションを増やしたくなるのがサントーニの危うさですね。

Stefano Branchini ステファノブランキーニ

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ステファノブランキーニは、同名のステファノ氏が、父が技術顧問を努めていたイタリア老舗の靴ブランドであるテストーニで靴作りをしていた後、1990年に独立創業したブランドです。

ステファノブランキーニは13歳から靴作りを始めた根っからの靴職人でありならがも、まるで芸術家やデザイナーのように新しい感性と美的感覚を持ったアーティストです。

彼はほとんどのブランドが先の丸いラウンドトゥの靴を作っていた中、ドレスシューズにスクエアトゥを取り入れた先駆けとも言える人物です。

見る人をはっとさせるような絶妙な色彩や、精巧且つ大胆な装飾とノルベジェーゼ製法、そして上品さと無骨さを兼ね備えたスクエアトゥのバランス感、どの点を見ても彼がただの職人ではなく、アーティスティックな感覚で靴を作っているのが分かります。

ステファノブランキーニにも様々なラインがあり、写真のものはハンドメイドで作られたCalzoleria Branchiniというラインの逸品。値段は20万円〜30万円とかなり高くなってきますが、やはり手縫いによって作られる靴は製法しかり、ステッチワークの強弱しかりで履き心地が格段に良いですね。

よりデザイン性が高く、ステファノブランキーニの自由な感性で展開されるStefano Branchiniのラインも、サントーニ等と並び非常に人気です。stefano branchini brand lines

ステファノブランキーニの美的感覚に共感してしまった人は、もうそのデザインと色彩、そして職人技の魔力から抜けられないでしょう。

Stefano Bemer ステファノベーメル

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高級注文靴の世界を体験することのできる、最高級既製靴として名高いのステファノベーメル。

2012年に48歳という若さで亡くなったステファノベーメル氏は「革の魔術師」などと呼ばれるほどに多彩なレザーを用い、世界最高峰の品質で靴を作り続けていた革靴職人でした。

18歳から靴作りを始めたにも関わらずその才能はすぐに、かの有名なセレクトショップであるタイユアタイのオーナーに認められたと言います。

ハンドソーンウェルテッド製法と呼ばれる手縫いにて作られるステファノベーメルの革靴はまるで足の底から自分が持ち上げられ、体重がふっと軽くなったかのように感じる絶妙なフィッティング。

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日本人の足の形にもフィットするサイズ感でありながらも、シルエットは完璧な造形美と言えるほどに美しいですね。一つの革靴が、芸術品への昇華する瞬間を見るようです。

またステファノベーメルは世界中の人々に愛された靴職人っだと言います。その工房には世界中から人々が志願して集まり、多くの人々が彼から靴作りを学ぶことを望んだ。それほどまでに彼の感性と真摯な靴作りは、人々の胸を打ったというわけです。

ステファノベーメルが亡くなった後は彼と親しかったトンマーゾ・メラーニが社長となって、彼の靴作りを偉大な遺産として引き継ぎ、ステファノベーメルという素晴らしい靴職人が存在したことを靴によって語り継ぐだけでなく、より多くの人々へ広めることを目指しています。

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美しいステファノベーメルの靴を見ると、まるで子どものような純粋な靴への思いを感じるようで、深い感銘を受けますね。

Silvano Lattanzi シルヴァノラッタンジ

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靴のロールスロイスと呼ばれ、イタリアで最も高級と言われるシルヴァノラッタンジ。

シルヴァノラッタンジはわずか9歳で自分の靴を縫い上げ、11歳の時にはすでに靴工場で働き始めた、産まれながらの靴職人とも言える人物です。

靴作りに並ならぬ情熱を持ち、ヨーロッパ各国の靴工房を訪れてその製作行程や靴そのものを見たシルヴァノラッタンジは数年の修行の後、ジンターラという名で工房を立ち上げる。

1974年に初のコレクションで24のモデルを発表。まだ世の中が黒やブラウンの靴ばかりを履いていた時代に、赤や黄色などを巧みに操り、それをアンティーク調に仕上げたラッタンジの靴は、時代を先取りした靴だったと言いますね。

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シルヴァノラッタンジの靴は、今や他の誰にも成し遂げることのできないと言われるような超絶技巧と、高度なセンスでデザインされる極上のアピアランス、そしてハンドメイドという究極の個性を、完璧な精度で作り上げる唯一無二の靴としてイタリア最高峰とされていますね。

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使われる素材は常に最高品質であり、その美しさはイタリアの至宝と言われます。

 

『最高級』革靴の選び方

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こういった最高級の靴を選ぶうえで大事なことはなにか。

いくつかあります。一つ目は自分が一生付き合っていけるようなデザインのものを選ぶこと。何も高級な革靴だからと言って、一生フォーマルなど含めて色々なシーンで使えるように黒のストレートチップを必ず買う必要はありません。

フォーマルで使うのはせいぜい人生で数回。一生付き合えるようなハイエンドな靴ならばそれよりも、週一回のペースで毎週末にカジュアルなジャケパンスタイルに合わせられる靴や、ここぞというときスーツに合わせたい靴などを選ぶ方がよほど良いでしょう。

ぱっと見て「この靴が欲しい!」といても立ってもいられなくなってしまうような、自分好みで、あまり奇抜でない飽きのこないものを選ぶと良いでしょう。

次に大事なのはフィッティングで妥協しないこと。

靴は結局、いくら外見や製法が素晴らしくても歩きやすくなければいけません。靴を選ぶ際には必ずそれが足にフィットしているかをチェックしましょう。

ちょっときついくらいのほうが〜という意見もありますが、本当に良い靴というのは、履いたときにハッとするほど自分の足の全ての面に密着するものです。少し硬いくらいならともかく、どこかが痛いような靴は、履いていっても馴染まず後悔してしまうことも少なくありません。

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美しい外見に惚れて購入したフランチェスコベニーニョの靴は、少し痛く感じましたが我慢して購入、完全に馴染むまで結局1年以上かかり、ずっと足が痛いままで苦労をしました。結局、ラスト(木型)の形が合っていなかったようです。

長く使える革靴であるということは、裏を返せば長く使っていきたくなるようなものを選ばなければいけない。そういう意味で、この二点には注意しましょう。

ブランドに関しては、特にこだわりが無ければ靴そのものを見て惚れたものを買うのが一番です。好きなブランドがあるのであれば、そのブランドから選ぶのが良いですが、もし他のブランドをあまり知らないのであれば、「自分にはこのブランドしかない!」と思い込んでしまわず、他のブランドのものも一度見てみましょう。

自分もずっとシルヴァノラッタンジが良い、他はどうせラッタンジよりはグレードは低いから……なんて思い込んでいましたが、あるときステファノベーメルのホールカットを試着して惚れ込み、購入してしまいました。

好きなブランドが増えることは、世界が広がることだと思います。

 

いかがでしたか?

今回は『最高級』革靴の入門として、最高級の革靴の特徴や選び方、ブランドなどを紹介してみました。

最高峰とされる素晴らしい靴の世界に興味をもつきっかけとなれば幸いです。

「大人の『最高級』革靴入門」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: レディース靴よりコスパ良い?男なら”本当に良い靴”を長く使おう – 大人になれる本

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