ガットギターとエレガットの違い
クラシックギターやフラメンコギターなどの1〜3弦にナイロン弦と使ったヨーロッパの伝統的なギターをガットギターと呼びますが、その中でもピックアップと呼ばれる音を拾う装置と、その音を増幅して加工するプリアンプという機械がついたものをエレガットと呼びます。
このようなエレガットはライブなどで音をPAに送って大きい音量で弾きたいとき、また小型アンプにつないで路上ライブをしたいときなどに非常に便利です。
エレガットは一般的に、ピックアップで音を拾ったときの音色や実用性を優先しているため、普通のガットギターに比べると鳴りの良さや音の響きでは劣るとされています。
しかし物によっては普通のガットギターと同等、それ以上の音色を持っていながら、さらに素晴らしいピックアップやプリアンプがついていて、実用性に富んでいるものも少なくないため、エレガットは人気が絶えませんね。
「普通のギターにピックアップを後付けすれば良いんじゃない?」と思われるかもしれませんが、生音が綺麗だからといってそのギターのピックアップで拾った音が必ずしも綺麗とは限らず、むしろバランスが悪いことも少なくありません。またそういった後付けのピックアップはハウリングなどの問題が起こりやすかったりします。
そういうわけで、やはりエレガットがおすすめされるんですね。
エレガットのメリットとデメリット
エレガットはそういうわけで便利なギターですが、メリットとデメリットがあります。ここではそれについてを詳しく解説しておきます。
まずはエレガットのメリットです。これは先ほども書いたように、ライブでマイクなどを使って音を拾わなくても、ケーブルをアンプやPAシステムにつなげば大きい音で演奏できることです。マイクでガットギターの音を拾おうとするとどうしてもハウリングが起こりやすいですし、音も遠くなりがちです。
そこでピックアップから音を出力することで、ダイレクトな音を出すことができますね。またハウリングなども比較的起こしにくくなります。
またその途中にプリアンプやDIというものを挟むことによってより良い音質を手に入れることができますし、エフェクターを挟めばリバーブやコーラスをかけることもできます。その際にもマイクで拾った外からのノイズが多い音にかけるよりもずいぶん綺麗にエフェクトをかけることができますね。
しかしデメリットもあります。一つは、ピックアップに限界があること。特に優しく柔らかいアコースティックな音が魅力のガットギター、クラシックギターやフラメンコギターはピエゾで音を拾うとどうしても硬くエレキ的な音になってしまい、それが大きな問題になってしまうことが多いです。
例えば美しいクラシックギターのサウンドを生かしたバンドをやりたくても、ピエゾピックアップで拾った音がペンペンとしていたら台無しです。これに関してはコンデンサーマイクとピエゾをブレンドして使うPREFIX PRO Blend やRare Earth Blendなどを使うことで解消できます。
もう一つは生音が犠牲になってしまっているギターがあるということです。
エレガットというのは、ハウリングをできるだけ防ぎ、またピックアップで出力した音のバランスを良くするために、生音すなわち何もつながずに弾いているときの音の音量や響きを少し控えめにしていることも少なくありません。
ちなみにその極端な例がオベーションというメーカーのラウンドバックギターですね。
そのためピックアップを特にアンプなどにつながずに練習しているときは、少し物足りなく感じることも少なくないです。ただしこれもある程度のエレガット、目安としては20万円〜のエレガットを選ぶと解消されることが多いです。
このグレードのギターは生音も美しく、出力した音も非常に綺麗です。
代表的なおすすめエレガットのメーカー
エレガットは、ガットギターを作っているメーカーであれば作っていることが多いですが、その中でもエレガットが得意なメーカーがいくつかあります。
その中でも有名なメーカーが一つ。
世界で最も人に聴かれているガットギターのサウンドの主の一つであるジプシーキングスがシグネチャーモデルを作っているCordoba コルドバです。
このメーカーのエレガットは大胆にボディを薄くした造形が特徴で、一見すると心配になってしまうほど薄いボディですが、そこからは想像できないほど豊かな生音を奏でます。もちろん出力した音も非常に綺麗です。どちらかというとボサノバやジャズに合うような、スムーズで深みがあり、それでいてパワーを持ち合わせた凄いギターです。
さらにエントリーグレードのガットギターのメーカーとして有名なアントニオサンチェスもまた、様々なグレードのエレガットを作っていますEGというシリーズですね。フルサイズのガットギターを微調整してエレガットにしたようなこのシリーズは基本的にナチュラルな雰囲気です。
また本格的なガットギターを作っているメーカーの、エレガットモデルも非常に注目度が高いですね。例えばホアンエルナンデスのSAMBAというシリーズは、上質なフラメンコギターをわずかにデフォルメしてエレガットにしたようなモデル。生音はそこらのフラメンコギターに負けないサウンドで、歯切れの良さと深みを持ち合わせた迫力のある音を持っています。もちろんピックアップも非常に綺麗なサウンドを拾ってくれます。
いかがでしたか?
今回はエレガットについてを色々紹介してみました。ぜひ参考にしてくださいね!