小型プリアンプを使う理由
あ、これはピックアップの着いたエレアコ!エレガット!しめしめこれならライブやレコーディングに使えるぞ……。と思ってエレアコやエレガットを買ってみたは良いものの「あれれ、意外に音が良くない」と驚いた人は多いはず。
ピックアップで拾った音はデジタルっぽい感じがして全然生音と違うし、マイクで拾ってピエゾとミックスするピックアップも音が意外と小さいし、音量を上げようとするとすぐにハウリングしてしまう。
どうしたことか、と悩んでいる人に是非試してみて頂きたいのがこの、アコースティック楽器用の小型プリアンプです。こういったプリアンプを通すことにより、ピックアップで拾った音が劇的に改善されることは少なくありません。
今回はそんな中でも、非常にシンプルで余計なものがついていないこと自体が魅力のプリアンプ、L.R. Baggsのgigproを紹介しましょう。
L.R.Baggs エルアールバッグス Gigpro
L.R. Baggs エルアールバッグスはアコースティックギター関係のピックアップやプリアンプを主体としたメーカーで、多機能さなどよりも音質を追求した高品質な機材を作ることで有名なメーカーです。
Fishmanに並ぶピックアップのメーカーなので、少しでもこの系統の音楽に親しんでいる人であれば名前くらいは聞いたことのあるメーカーですね。そんなL.R.Baggsのプリアンプの中でも、もっとも手頃な値段でシンプルなのがこのGigPro。
一番有名なのはPara Acoustic DIという、DI機能のついたものですが、そちらは様々な機能がついているモデルで、スタジオでは定番となっています。
ベルトに付けられる大きさと軽さはGigproならではなので、特に路上ライブをする人などプリアンプだけを必要とする人には、このGigproがベストな選択になることは少なくないはず。実際、わりと頑丈な金属製のボディではありますが、重量はかなり軽い。サイズも12センチ×7センチ程度と非常に小さいですね。タバコの箱を一回り大きくした感じです。
機能はトレブルとベースのイコライザー、ゲイン、ボリューム。それからフィードバックに効果がある位相切り替えのスイッチと、ベースの帯域を変えられるトリム機能です。
アウトプットは同じくphone端子です。非常に最小限な機能が、音質を邪魔しない感じがして精神衛生上、とってもよろしいですね。これがBOSSのエフェクト多彩のプリアンプ兼マルチエフェクターになると、便利ではありますが、通すだけで生音から離れていくような気がして、ちょっと落ち着きません。
Gigpro 音質の評価・レビュー
まずはFishmanのアンプで、そのままピックアップから音を出してみました。ギターはフラメンコギターのJuan Hernandezで、ピックアップはピエゾとコンデンサーマイクの音をブレンドする、PREFIX PRO Blendです。
流石に良いピックアップだけあり、そのままでも良い音がしますが、なんとなく音が引っ込んでしまい粒が立ちません。また音量を上げようとするとフィードバックしてしまいます。
そこにGigproを挟んでみると、これは驚きです。引っ込んでいた音が一気に前に出てきます。音ははっきりとしたのに音色は硬くならず、むしろ生音のようなフレッシュさが出てきました。またフィードバックもしにくくなります。
マスターボリュームで音量を上げればそのまま音が大きくなりますし、ゲインの方で上げていけば少しコンプレッションが掛かったような、良い意味で飽和感のある音になります。トレブルを出せば硬さも作れますし、低音の足し引きはかなり自由度が高いです。
今回はL.R.BaggsのGigproを紹介しました。
1万円ほどで買えるのにも関わらず、これほどの音の変化。
これは本当に素晴らしいですね。ある程度のエレアコやエレガットを持っている人はぜひお店で試してみるべきだと思います。