【レビュー】Juan Hernandez ホアン・エルナンデスのギター

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中上級者向けのフラメンコギターが見つからない?

そんなニッチなギターを紹介してどうするってなほどのものですが、今回はフラメンコギターを紹介します。Juan Hernandez ホアン・エルナンデスのフラメンコギターです。

そもそもフラメンコギターというのは非常に極端なギターで、エントリーモデルは5万円ほど、それから上は一気に40万円〜というような値段設定であることが多いため、中上級者になってもわりと適当なギターを使っている人が多いのが現状です。

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つまり、プロ用かもしくは初心者用が充実していて、中上級者向けのラインナップが少ないわけです。

例えば、パコカスティージョのギターは5〜7万円程度で、フラメンコ仕様のわりと本格的なギターが買えますし、アントニオサンチェスなんかも同じような値段帯で、ジャラっとしたサウンドが特徴的なフラメンコモデルを買うことができます。

そういったものを使っていて、ふとした瞬間に「そろそろグレードアップしたい」と思っても、上は数十万円のホセラミレスやら、中古車が買えるような値段帯の手工フラメンコギターやらばかりが目立って、ちょうど良いモデルがない。

そんな中で素敵な選択肢になるのが、今回紹介するJuan Hernandez ホアン・エルナンデスのギターです。

Juan Hernandez samba ホアン・エルナンデス サンバ

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ホアン・エルナンデスはフラメンコの本場であるスペインの中でも、南東部に位置するヴァレンシアのギターメーカーです。製作家である「ホアン・エルナンデス」は15歳からギター製作を学び、今でも5人の職人とハイエンドなギターのみを製作しています。

全部で6人の小さな工房なのかどうかは謎ですが、いずれにしても非常に小規模で手作業を主にしたギターメーカーであるのは確かです。

ホアン・エルナンデスは単板のギターしか作らないというこだわりを持っていますね。このブランドは一番安いギターでも20万円という価格設定になっており、中途半端なギターは作らない、あるいは工房が小さいから廉価ギターは作れないよ!という声が聞こえてきそうです。

その中でこのSAMBA サンバというモデルは、ピックアップのついたホアン・エルナンデス唯一のモデル。横、裏板にシカモアを使用し、軽い音色を実現しているエレガットです。サンバという名称ですが、要するにラスゲアートやストロークを多用したフラメンコに向いているギターですね。

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ボディはかなり薄め、サイズも小さめの設計です。ネックは細めで、まるでナイロンギターとは思えないほど弾きやすいですね。

表面には、指でボディを叩くフラメンコの奏法、ゴルペのためにゴルペ板と呼ばれる透明のピックガード的なものも取り付けられ、非常にフラメンコ然としています。

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ロゼッタは上品で繊細な印象。フラメンコギターは装飾が少ない分、ロゼッタがギターの顔になります。ちょっと色味を押さえた装飾が白のボディと相まって、いい感じです。

ペグやナットも上質な素材を使って隙無く作られています。動きは非常にスムーズで、チューニングがしやすいですね。

 ホアン・エルナンデス サンバの音

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それでは実際にホアン・エルナンデスのサンバを試奏してみます。

第一印象は歯切れは良いけれど、意外と柔らかい音色。ちょっと粘り気のある音色で、まだ新品の弦の硬さが目立っています。それでも音量のダイナミクスは非常に広く、低音から高音にかけてバランス良くハリのある音が出ますね。

またフラメンコギターの重要な要素である、ラスゲアートやストロークの音色は、わずかな金属的音と混じり非常に軽快です。

なるほど素材の軽さが音の立ち上がりの良さにつながっているのか、キレが良くルンバでもブレリアスでもリズム感が強調されます。弾けば誰でもパコデルシア!というわけにはいきませんが、パーカッシブなサウンドで練習や曲作りが楽しくなるのは間違いなしです。

そしてこのホアン・エルナンデスならではの特徴である、ピックアップ。これは20万円付近のエレガットにこぞって採用されている、Fishmanのprefixです。コンデンサーマイクとサドル下のピエゾの音をミックスできるモデル。

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実際にDIを通して、モニターに出力してみると、まあ綺麗な音が出ます。音をマイク主体にすれば、非常に生音に近い綺麗な音が出てきます。マイクで音を拾っているので、フラメンコギターならではのゴルペ奏法や細かなタップもちゃんと再現してくれます。

ピエゾにするとやはりピックアップで拾ったピエゾ的な音になりますが、うまく混ぜることでライブでの実用性と両立できるのが便利です。

単体で買うと4万円ほどするようなレベルのピックアップなので、お得感がありますね。

ホアン・エルナンデスの総評

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今回はホアン・エルナンデスのフラメンコギターを紹介しました。

総評をするのであれば、非常にコストパフォーマンスが高く実用性に富んだギターだと思います。そもそもフラメンコギターの選択肢の少ないこの値段帯で、これほどまでにバランス良く、しかもピックアップつきで実用的なモデルがあること自体が非常に嬉しいことですね。

10万円以下のギターに比べれば明らかに音色のバリエーションが豊かで、音量のダイナミクスも広い。数十万円の手工ギターに比べると良い意味で音に荒さがあり、使いやすい。中上級者が使うには本当にちょうど良いギターではないでしょうか。

もちろん本気でフラメンコをやるのであれば、今回紹介したピックアップつきのモデルであるサンバでなくても、フラメンコシリーズがありますので、そちらを選ぶのが良いでしょう。ストロークを多用するインストや、フラメンコテイストの曲でライブを積極的にやっていきたい人なんかに、このサンバはおすすめです。

以上、ホアン・エルナンデスのサンバでした。

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平成3年生まれ。
2017年春頃より、二代目ライター田中に就任しました。メンズファッションを主に執筆しています。
以前のライターとも仲が良いので、様々なことを聞いて書いています。

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