低域から高域まで淀みなく、またごく小さな音も綺麗に掬い上げて耳に届けてくれます。このイヤホンと出会い、私の好みは完全に「バランス志向」になりました。
一聴すると「あれ?低音出てない?」と感じられる方が多いと思いますが、実際にはしっかりと低音が出ています。
私もそうだったのですが、それまでの世に溢れるドンシャリ(=低域と高域を過度にブーストした)イヤホンに耳が毒されていただけだったのです。
実際、ドンシャリにすると「迫力が出て『気持ち良い』『良い音』に感じやすい」のは確かです。ですが、それは俯瞰して見れば「バランスが大きく崩れた音」とも言えます。
とはいえ、人の好みは十人十色。
あなた好みの音を見つける際の羅針盤、リファレンスとして、是非とも一度はER-4Sの「ほぼ完全と思えるバランス感」での鳴りを体験していただきたいですね。
尚、イヤホンについては自分の耳型を採取して製作するカスタムイヤーモニターがあるのですが、これについては次の機会にお話させていただきます。
【音源圧縮時のビットレートを変えてみる】
スマホ等に音源を入れる際はmp3やaacで圧縮するケースが殆どだと思います。
その際のビットレートを上限の320kbps、可能であればALAC等のロスレスに変えてみましょう。
圧縮の理屈をここで述べていきますととんでもない文字数になってしまいますので割愛しますが、ビットレートが低いほど、元の音源から「削除される音」が大きくなります。
つまりビットレートが高いほど「元の音源に近い音質」になります。
普段128kbpsで聴いておられる方は、これを320kbpsに変えるだけで大きな変化を実感できると思います。
ロスレスで変換すれば、ほぼ元の音源と同様の音質となりますので更に良しです。
筆者は基本的に全ての音源をロスレス変換しています。
【再生機器を変えてみる(1.DAPの導入)】
これまではスマホ等でのリスニングを前提にお話して参りましたが、やはりスマホは「音楽を聴くこともできる機器」にすぎません。
BGM的に音楽を聴くのであればiPhone等のスマホでも十分に事足りますが「音楽に正面から向き合って、没入して聴く」のであれば、どうしてもスマホでは力不足です。
なので「音楽を聴くためだけの機器=DAP (Digital Audio Player)」を導入します。
音楽再生においてスマホとDAPは何が違うのか。もう全てが違います。
例えばデジタル信号をアナログ信号に変換するDACですが、スマホでは「スマホ全体としてのバッテリーライフ」を重視するため、省電力稼働のものが搭載されています。
対してDAPには据置オーディオにも用いられる高品質のDACが搭載されます。
信号を増幅するアンプ部分も同様です。
普段スマホで聴いている音源をマイクロSD等にコピーして、ショップのDAPで試聴してみましょう。
「えっ、今まで聴いていたのは何だったの?」という位の変化に驚かれると思います。
音の粒立ち、分離感、迫力と静謐さ…全てが段違いに良いことを実感できるでしょう。
「よし、ちょっとiPod touch買ってくる!」
いえ、それはいけません。iPod touchは素晴らしいプロダクトですが、あれはDAPではありません。
「電話機能を省いたiPhone」と思ってください。
つまり、音楽再生についてはiPhoneとなんら変化ありません。
ここで導入すべきは以下の様な「音楽再生に特化したDAP」です。
Astell&Kern AKシリーズ
http://www.iriver.jp/products/product_98.php
SONY Walkman NW-ZX2
http://www.sony.jp/walkman/products/NW-ZX2/
HiFiMAN
iBasso
http://www.hibino-intersound.co.jp/ibasso_audio/
これらの機器は、本当に「音楽を聴く以外の機能は無い」機器達です。
スマホ、便利ですよね。
何処でもネット見れてSNSで楽しめてメールも電話もできて音楽も聴けちゃう。
ですが、ここは「大人としての楽しみ」のために一点突破「音楽を聴く」という所に集中的にフォーカスです。
音楽を聴く以外の機能が無い以上、各社それぞれ趣向をこらした高音質化ソリューションが盛り込まれています。その為、上述したとおりスマホとの音質差は非常に大きいです。