手頃な価格でスイス製の機械式時計を
機械式時計と言えば100万円近い高級な時計をイメージしますが、意外にもお手軽なモデルも存在します。
有名なものだとオメガやタグホイヤーなど、どこの時計屋さんにも置いてあるブランドですが、今回は知る人ぞ知る渋い名門メーカー「ボームメルシエ」を紹介します。
ボームメルシエとは1830年創業の歴史あるメーカーで、現存する時計ブランドの中で世界で6番目に古い由緒正しきスイス高級時計メーカーなのです。
日本ではあまり有名ではありませんが、ヨーロッパでは人気のあるブランドです。
ボームメルシエの良さというのは、落ち着きのあるエレガントなデザインとスイス機械式時計としては手頃な価格で買えるということです。
このケープランドのモデルにはクロノグラフ(ストップウォッチ)機能を組み込まれていますが、電池とクオーツを使わない、完全な機械式時計でありながら価格が40万円に抑えられています。
並行輸入品などであれば30万円程度から入手が可能です。
優れたデザイン性
スイス製の高級時計と言えばロレックスを思い浮かべる人も多いはずです。
もちろん信頼性やブランド価値というのは他社よりも抜きに出ている物があります。
ただ、デザイン性という面ではあまりに有名になりすぎた為に、そっくりのデザインで他社が真似てしまう事が多く、今では日本製・スイス製問わず膨大な数の似たデザインの時計が流通しています。
また30年以上もの長期間同じデザインで販売し続けると、時計が自分の両親の年代の人と被ってしまう事も多くあります。
ですので、普及と大衆性から言い少し古くさいデザインに見えてしまうことは避けられないのです。
そういった観点からも少しマイナーなメーカーであっても、長い年月使い続け様々なファッションに合わせる事もできるのです。
時計の精度の高さと組み立て
筆者はこれまで2万円程度のオリエントの時計を5年以上愛用してきました。
クオーツ製の時計はとても優れ、ほとんどズレること無く故障も無しに今まで使うことができました。
ですので、高級時計というのは本当に意味があるのだろうか?と思うこともしばしありました。
今回このボームメルシエに出会うことができて、比較をしてみたのですが、真横に並べてみると意外な事に気が付きました。
ケースの削り出しの精度とスティールの処理が全く異なります。
更にはボームメルシエは角度を付ける時のエッジが鋭く、くっきりとしたデザインになっているのです。
ケース以外では風防ガラスが湾曲になっており、美しく丸みを帯びた形になっています。
文字盤も小さな印字まで鮮明に印刷され、きめ細かい光沢が廉価タイプのモノとは異なります。
もちろんボームメルシエより高級な時計は数多くありますが、これ位のグレードであっても2万円程度の時計とは全くもって作りが違う事が分かりました。
全体を通して加工の精度が高く、輸入車のような印象があります。
時間を正確に指すものではない
初めて機械式時計を持ち、分かったことは、こういった類の時計は時間を正確に指すものではないということです。
どの分野でもこだわっていくと非効率的なものに魅力を感じることがあります。
手挽きのミルとサイフォンで一杯のコーヒーに時間を掛けたり、速くもない故障ばかりのイタリア車を直し続けたり、洗濯機だけでなくクリーニングにも出せないような手縫いのワイシャツを手洗いしたりと、趣と拘りというのは効率とは対局にあります。
毎日のビジネスを効率的にする為には時間を自動に合わせてくれる、電波式のクオーツ時計が一番優れています。
ところが毎日10分近く時間がズレてしまう、また半日も使わないと時計が止まってしまうような非効率的な時計を必要としている人もいるのです。
目指すべきライフスタイルに合ったアイテムを持つというのは喜びの一つでもあります。
もしも非効率的なロマンに憧れがあるのでしたら、一度はスイス製の機械式時計を持ってみるのも良いですね。