イタリアのメンズファッション事情

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イタリアといえばお洒落、とにかくファッションが凄いらしい!ということは誰もがなんとなく知っていることですが、実際には意外と情報が少ないですよね。

特にメンズに関しては、ほとんど情報がないと言っても過言ではなく、雑誌LEONのスナップを見たり、イタリア在住の方のブログで読んだりという情報収集がメインとなっています。

そういうわけで今回は、普段からファッションのことしか頭にないライター田中が、編集長山本と共にイタリアのファッション事情を取材してきました!

やっぱりジャケパンがメイン

 

イタリアのファッションはジャケットスタイルがメインということで紹介していましたが、実際に訪れてみてもやっぱりジャケパンの人気は日本の比じゃありません。

例えば夕方の、帰宅ラッシュとも言える時間帯に地下鉄に乗ってみましょう。スーツを上下セットアップで着ている人は、一人か二人しかいません。そのかわりに、ジャケパンです。イケメンのお兄さんからおじいさんまで、思い思いのジャケットを着こなし、会社に通っているのですね。

休日に街の中を歩いていても、やっぱりジャケパンがメイン。イタリアのファッションはあくまで、綺麗な格好を「いかにドレスダウンするか」という基準でお洒落を作っています。

これはどういうことかというと、例えば日本では「テーラードジャケットはTシャツとの相性も良し、チノパンやジーンズともコーディネートがしやすくて便利!」という考えられているところ、イタリアでは「テーラードジャケットをセットアップのスラックスで着こなすのがスーツ、別のスラックスで着こなすのがフォーマルなジャケパン、チノパンと合わせて綺麗めなカジュアルジャケパン、デニムと合わせて少しワイルドなジャケパン」と、常に「フォーマルからどれくらい離れているか」という意識があるうえで考えられているのですね。

なので彼らは「今日はカジュアルが良いけど、テーラードジャケットとデニムとTシャツではカジュアルすぎるから、シャツはドレスシャツにしてバランスを取ろう」「スーツを着たいけど、きっちり着るような気分じゃないから、インナーをTシャツにしてスニーカーを合わせよう」とこんな風に考えている。

だからこそ、お洒落でラフさがあるけれど何となく筋が通っていてチグハグしない、彼らイタリア人流ファッションができているんですね。

これは非常に良い方法ですから、覚えておいて損はないでしょう。

イタリアは質の良い服が安い!

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話を元に戻すと、イタリア人はジャケパンが大好き。売っている服も、6割はドレス寄りのジャケットやシャツなどで、あとの2割がベネトンなどのカジュアル、2割がH&MやZARAなどインポートといった感じです。

それではイタリアではそれほどまでにジャケパンが主流となっているのに、日本はなぜジャケパンが流行りきらないのか??これは日本人がお洒落ではないから、というわけではありません。ドレス寄りのアイテムがあまり売っていないからです。

例えばビームスやアーバンリサーチなどのセレクトショップに入ったとき、ドレッシーなシャツやジャケットはどのくらい売っているでしょうか??

もちろんスーツコーナーはあります。しかしスーツを除いて、ジャケパンに使うようなシンプルでシルエットの美しいシャツや、大人が着ても恥ずかしくないテーラードジャケット、ジャケパンに合うパンツなどがどれほど売っているでしょうか。
これは多くの店舗の場合、店の10分の1程度です。また売っていても、少し良い物を買おうとすると非常に高かったりで、中々手が出ません。

それが日本であまりジャケパンが人気でない理由の一つなのです。

それに対してイタリアはどうかと言うと、商店街の呉服店レベルで、質の良いジャケットやシャツなどドレス寄りのアイテムが売られているのです。そして日本で洋服の春山や青山などの量販スーツ店を見るよりも多く、質の良いスーツやジャケットを扱ったイタリアのファッションブランドを見かけます。

例えば以下のようなブランドがそうです。

・BOGGI Milano

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・Sartoria Rossi

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・gutteridge

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これらのブランドは何も、トップブランドというわけではないかもしれません。しかしその代わり、円安の今でさえジャケットにして3〜4万円というの値段で、かなり見栄えのするテーラードジャケットが買える。また、同じブランドで10万円出せば、非常にクオリティーの高いジャケットを手に入れることが出来ます。選択肢が非常に多いわけです。

また、シャツに至っては日本では1万5000円弱で売られている品質のものが、5000円ほど。もちろん物によってはスロバキア製であったり、ブルガリア製、エジプト製だったりもしますが、それでも品質から言ったらずいぶんお買い得です。
もちろん大手ではない、個人の店もレベルが高い。まるで田舎町で「なんとか洋品店」に入るといったような状況でも、イタリアでは良いジャケットやシャツが見つかったりするのです。

街ごとに見るファッション事情

bologna

ちなみにイタリアの街ごとのファッション事情も少し。イタリア屈指のファッション都市はミラノと言われています。しかし実際にはイタリア全土がファッションの国であり、その様子は街によって少しずつ違います。

例えばボローニャ。ボローニャは学問の街とも言われており、ショッピングやファッションについて話をするときにはそれほど話題にのぼらない街です。しかし実際には、レベルの高い靴屋や個人のセレクトショップが集まっており、質の良い、後悔しないお買い物をしたいときには非常におすすめ。

ミラノはさすがコレクションも開催される街で、様々なハイブランドや高感度のセレクトショップが立ち並びます。先ほど紹介したイタリアの大手ブランドを始め、膨大な数のブランドが集まっています。逆に、クラフト感のあるような少数ロットの靴や服屋は中心街にはそれほど多くありません。

ヴェネチアやフィレンツェは完全に観光客向けの街となっているので、市街地にはあまりファッション系のショップは目立ちません。しかしだからと言って何も無いわけではない。

ヴェネチアはいかにもイタリアらしい、イタリア感を全面に打出したアイテムを大量に売っています。例えばシルク製品や、大理石の埋め込まれたひげ剃り、革バッグなどですね。

フィレンツェはお土産用のイタリア製革バッグ屋が軒並み連なっています。どこの店も似たようなものを置いているので恐らく大量生産の、同じ卸元の商品でしょう。品質はまちまちです。ただ、フィレンツェの北にはplatoプラートと呼ばれる、ハイブランドの工場地域があります。おそらくこの辺りから流れて来たであろうブランド刻印なしの、やたら革質と縫製の良いバッグが露店に紛れ込んでいることがあり、要チェックです。

ちなみに日本で一部有名なイタリア製バッグであるI MEDICI イ・メディチの正規店もフィレンツェにあります。

I Medici

正直なところ他のお土産屋で売っているクオリティとそこまでは変わりません。

日本で有名なイタリアブランドの実力は??

boglioli

それでは逆に、日本のセレクトショップなどで引っ張りだこになっているようなイタリアのブランドは、イタリア本国でも人気があるのでしょうか。

これはブランドによるということが分かります。例えば上の写真はベネチアのある店のショーウィンドウですが、BOGLIOLI ボリオリのジャケットとBARBA バルバのカーディガンを使ったコーディネートをしていますね。どちらも日本では再注目のファクトリーブランドです。

さらにミラノのアウトレットにはLARDINI ラルディーニが入っています。

lardini

このように、日本で有名なブランドの一部はイタリアの街中で時々見かけられました。特にLARDINIラルディーニやBOGLIOLIボリオリは知名度が高いだけあり、見かけることが多いです。

他にはTONELLOトネッロ、TAGLIATOREタリアトーレ、BORELLIボレリ、Jacob Coenヤコブコーエンなどと言ったブランドはかなりよく見かけられます。逆にErrico Formicolaエッリコ・フォルミコラ、PT01、INCOTEXインコテクスなどのブランドはあまり見かけませんでした。

もちろん店によって扱っているものは違いますので、あくまで参考までにどうぞ。

また、全体的な傾向として日本に輸入されているものはバイヤーの選りすぐったものだけあって、やはりイタリアのブランドの中で見てもかなりレベルの高いものが多いです。ただし値段は、人気ゆえか高くなっており、例えばイタリアではINCOTEXインコテクスに似た品質の他ブランドのパンツが1万5000円程度だったりします。

また、日本で4〜5万円のFRAYフライのシャツにも勝るとも劣らない品質の、Mattabischマタビシのシャツが2万円強だったりと、このあたりにも少しギャップがあります。

ただしジャケットに関しては、日本とほとんど値段がかわりません。ラルディーニやボリオリは7万円〜13万円です。

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