【伊ARIANNA アリアンナ】旧式織機のストールが現代に伝えるもの

メンズファッション

ARIANNA アリアンナとは

アリアンナは1984年に、イタリアの創業した老舗のネックウェアブランド。

カシミアを使用した上質なマフラーや今回取り上げるようなリネン100%のストールで有名なブランドで日本ではBEAMS F ビームス、TOMORROWLAND トゥモローランド、SHIPS シップスなどで取り扱われています。

このブランドの最大の特徴は、1800年代に使われていたアンティークの手織り機を独自に改良し、それを熟練の職人が使って製品を生み出しているということ。上質な素材からくるエレガントな光沢感、滑らかな肌触りはもちろんのこと、手作業によってのみ作ることのできるふんわりとした立体感と、人間らしさを感じる風合いが人気の秘密です。

旧式織機と最新式織機はどう違う??

 

こちらはリネン100%のストール。長方形のスタンダードなシェイプを持っており、春夏の着こなしに最適な爽やかな色合いなのが特徴です。SHIPS シップスで購入したものですが、基本的には扱っているセレクトショップ・ブランドでそれほど差異はありません。

実際にこのストールを手に取ってみると、その滑らかでシルクのような手触に驚きます。これはオーガニックな色むらのある外見からは想像のできないものです。

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これがアリアンナのストールの独特なキャラクターなんですね。そしてその個性を生み出しているのが、彼らが誇りとしている「旧式織機」です。

皆さんは「旧式織機」と聞いてどんなものを思い浮かべるでしょうか。正直なところ「新式織機」がどんなものかさえもよくわかっていない私たちには、あまりパッとしない機械ですね。

ですが答えはもうお気づきの方もいるでしょう、彼らのタグに描いてあるんです。

 

これですね。1800年代のアンティークに改良を加えたものです。

最初「旧式織機」と聞いたとき「ざっくりとした感じの、粗い生地になるのかな」と思ってました。皆さんの中でもそういう印象を持った人は多いかもしれません。しかし実際にアリアンナのストールを手に取ってみると、その密に編み込まれた生地に驚きます。

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不思議な感じですよね。機械的な精密さは感じられず、非常に時間を掛けて編んでいった手編みのような丁寧さが感じられます。また、この写真では見えませんが生地の端に「耳」が付いているのは、旧式織機を使っている証とされています。

例えば、ほとんど同じかやや安い値段帯で売られているイタリア製の麻100%ストールがこちら。

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麻の光沢感は高級感がありますが生地の目がやや荒めで均等に揃っており、なんとなく冷たい印象。手触りもちょっとカタめでザラっとした感じです。

二つのストールを横に並べてみると違いがよくわかりますね。

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実は旧式織機というものは最新式織機に比べ、生地を織り出す速度がずいぶん遅い。つまりゆっくりと織り出しているためにこういった丁寧な手編みのような風合いになるのです。

また、最新式織機と違い旧式織機は糸をピンと張らなくても生地を織ることができる。職人が微妙にテンションを調整しながら織機を調節することによって微妙な凹凸のある、立体的でふんわりとした生地を作ることができるのだとか。

しかしこの旧式織機はその作業効率の悪さ、不安定さ、かかるコストなどが原因で多くが廃棄されてしまったのです。アリアンナはその中で、あえてアンティークの旧式織機を蘇らせ、そのメリットを最大限に引き出したネックウェアを、他のイタリア製ストールと大差ない値段で実現しています。

アリアンナの旧式織機が現代へ伝えるもの

高級感や値段の面で言ったら、旧式織機が必ずしもベストな選択とは言えないでしょう。

例えば旧式織機のオペレーションに掛かっている分のコストをカットしそれを生地の方に回したとしたら、同じ値段でずいぶんと良い生地を使ったストールを売ることができるかもしれません。

また、アリアンナが旧式織機を使っている限り生産量を大幅に増やすことができない。欲しいと思っても手に入らなかったり、バリエーションが多くなかったりという問題がありますね。

それなのにアリアンナの旧式織機を使って作られたストールに私たちが魅力を感じるのはなぜか。

それはこのブランドが、現代のファッションに足りない「人間らしさ」を伝えているからだと思います。

多くのファッションアイテムは大量生産で画一化されており、流行に則っている。一年後にもう一度着たいと思える服ばかりではありませんし、いらなくなってしまったら捨ててしまうような服です。いくらお洒落で、いくら高級なアイテムでも常に「何か足りない」ような気持ちがしている。

そのアイテムについて深く考えたとしても、多くの場合「〜製」という枠を出ることはありません。

しかしアリアンナのストールと出会ったとき、まず人はそのストールを作っている機械のことを思い浮かべます。「旧式織機」ってどんな織機なんだろうか。どんな風に作られているのだろうか。

そのあとストールを見てみると、まるで手編みのような丁寧さとムラがある。「誰かが作っているんだ」ということを強く感じます。もちろん機械で作っているわけですが、これほどまでに「人がそのアイテムを作っているシーン」をイメージさせるアイテムは他になかなかありません。

アリアンナの製品はそんな風に、単なる工業製品ではなく、まるで誰かが作ってプレゼントしてくれたかのような「人間的」な感動を伝えてくれているんですね。

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もちろん良いスカーフが欲しい、と思ったときアリアンナ以外にもたくさんの選択肢があるでしょう。ですが一度はこのブランドのスカーフを実際に手に取ってみてください。

恐らくこのページで書かれている長々とした解説が、「ああこの感覚を伝えたかっただけなんだ」と思うはず。

そしてあなたの心が現代のファッションの中にその感覚を欲していたなら、きっとアリアンナのストールを手に入れるでしょう。

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