紅茶入門2〜紅茶の歴史〜

紅茶の歴史

紅茶の歴史というのは、1657年にロンドンのエクスチェンジアレーにあったトーマス・ギャラウェイが最初と言われています。それ以前には中国茶というものは存在しましたが、紅茶として売られていたのはそれが最初と言われます。

当初の価格は非常に高価なもので1ポンド(454g)当たり6〜10ポンド、当時6〜10万円。
つまり百貨店などで売っている一般的な100gの紅茶缶で2万円したという事になります。

ギャラウェイのお茶の売り方は変わっていて、お茶の効能を主にしていたそうです。
東洋の紅茶は高価で健康に効果があり、「頭痛や目眩の解消」「滋養強壮」「整腸作用」「肥満防止」「視力の回復」「風邪予防」「記憶力向上」「泌尿器官洗浄」「虫歯予防」と幅広く効果があると謳ってたようです。

当時から紅茶の健康というのに着目していて、現在でも効果が認められている部分も大きいのはとても面白いですね!

ところで紅茶というのは、もともと中国在来品種の茶葉で作られたものですが、中国のお茶がヨーロッパに渡ったのは16世紀頃であったそうです。ベネチア人のラ・ムージオが航海記の中に茶についての書記を残しています。
イタリアやポルトガルにも持ち込まれましたが主たる交易品にはならなかったそうです。

 

オランダがお茶の文化をもたらす

17世紀に入りオランダの時代になると、オランダの貴族社会の中で日本や中国の文化が流行しました。
東洋趣味(オリエンタリズム)とも言われ、東洋の文化が盛んにもたらされました。
その中でお茶がイギリスに持ち込まれたと言われます。

東洋趣味ではお茶だけでなく、茶器や陶磁器なども数多くヨーロッパに持ち込まれました。
シノワズリといって中国趣味の美術様式で、非対称の縮尺や、漆など独特の素材や装飾などが施された陶磁器は多くの貴族を魅了して大枚を叩いて中国・日本の陶磁器を手に入れたそうです。

オランダは1602年に東インド貿易会社を設立して1609年、日本の平戸に商館を開きました。
1610年には日本から緑茶がオランダに持ち込まれて、流行の起因になりました。

イギリスの王侯貴族に

お茶がイギリスの王侯貴族で流行するきっかけになったのは、1662年にチャールズ二世の元へ嫁いできたポルトガルのブランガサ王家のキャサリン王女。
王女が貴婦人たちに紅茶を振る舞ったため、貴族たちの羨望の的となり、お茶が「貴婦人にふさわしい飲み物」として広まったそうです。

 

トワイニングが紅茶の始まり

イギリスで最も古い紅茶メーカーがトワイニング。
今でも日本でどこでも手に入れる事ができる紅茶メーカーですが、なんと起源は1708年からあるそうです。
トワイニングの創業者であるトーマス・トワイニングが東インド貿易会社で働いていたことで、中国茶が普及する事を見越して31歳の時に独立して店を開きました。
当時は紅茶の値段が非常に高く、お茶の販売量は少なかったものの、とても売上金額が高かったそうです。

 

東インド貿易会社がイギリスに茶を輸出

東インド貿易会社は1637年には中国からお茶を買い付けしてイギリス輸出に対して大きなシェアを獲得していました。
ところがイギリスは東インド貿易会社に遅れをとり、直接中国から輸入したのは1717年からだそうです。
東インド貿易会社がイギリスに輸出する紅茶のシェアが大きくなり、輸出量が増加するのにしたがって、どんどん大きな関税を掛けていきました。

イギリス貴族の中ではいかに高級な紅茶を持って、砂糖をふんだんに使えるかどうかがステータスであったそうです。
紅茶を盗まれないように保管する鍵付きのキャディボックスというものがありました。
当時のアフタヌーンティーには、まだスコーンやサンドイッチなど無かったと言われます。

ボストン・ティー・パーティー

お茶の歴史の中でも最も有名なのが、このボストン・ティー・パーティー。
当時の流行はイギリスだけでなく、アメリカでも紅茶が普及していました。
そこで、イギリス政府は度重なる戦争の資金を捻出しようとしてお茶に対して重い税金を課しました。
アメリカ植民地住民は、税金で高くなった紅茶を敬遠してオランダの安い密輸紅茶を選びました。

それにより税収が減り、1765年に「印紙条令」を施行して更に税金を上げました。
これがイギリス商品に対するボイコットにつながりました。
さらにイギリスは「茶条令」を出して高い税金の掛かったお茶の引取を無理強いしました。

なんと当時は紅茶に対して64パーセントも税金が掛かっており、いかに重税であったか分かります。
現在の日本のガソリン税も50パーセント近いので、こちらも中々の税率ですね。

ついにアメリカ人が痺れを切らし、1773年12月16日、ボストン港に停泊中の船にサミュエル・アダムズ率いる50人の男たちが乗り込み、自由の子と名乗って342箱の紅茶箱を海に沈めてしまったのです。

これがアメリカ独立戦争の元となりました。

 

紅茶には、オランダからイギリス、アメリカ独立に至るまで長い歴史がありますね。
今ではわずか数千円で最高級品の紅茶を手に入れて、砂糖が自由に使えますが、当時の貴族からしたら考えられもしない贅沢ですね!

こういった話を勉強すると紅茶の有り難みが増します。
ストレートだけでなく、砂糖を入れて紅茶を飲むというのは本来の貴族的な飲み方とも言えます。

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