往年の名車ゼファー750RS
90年代のネイキッドブームに、ゼファーχが生まれてから爆発的に人気を博したゼファーシリーズ。
後を追うようにしてリリースされたゼファー750と1100ですが、ZIIをより強く意識して作られたのが、このゼファー750です。
また、RSというスポークホイール版が発売されました。
2007年まで発売され、最後の空冷ネイキッドということで今ではプレミア価格で取引されています。
この写真のモデルは、そのゼファー750RSをカスタムして旧車風に仕上げた物です。
ゼファー750RSの丸みを帯びたディテールをZIIの外装に似せたカスタムは数多くありますが、Z1000Mk2仕様になったモデルは数が少ないです。
丸みを帯びたものとは対極にある、角ばったテールライトからオリジナルの車両は「角Z」とも呼ばれているようです。
ZRX-2の外見が好きだけれど、ZRX1200の形は少し…。といったオーナーが、今のカスタムを施しました。
空冷750ccのゼファー750はカタログ値68馬力で、200kg近い重量があるので、現行の大型バイクから比べれはそのスペックの低さは否めません。
その代わりに伝統的な古き良きカワサキのフィーリングを体感できます。
現在の主流であるフェールインジェクションではなく、キャブのバイクで朝方など涼しい時は暖気を10分近くする必要があります。
また、現行車種で人気のZRXダエグと比べるとガサツで乗り心地も悪く、曲がらず、止まらない。
そんなネガティブが印象を受けるかもしれませんが、ゼファー独特な加速と、そのエキゾーストはこのゼファー750でなければ絶対に体験できないものの一つです。
機械任せの運転ではなく、荷重をしっかり掛けて曲がっていくコーナーリングは、単車を操る喜びと言えます。
全てがアナログで人間との意思疎通が大切な旧車なのです。
タイヤサイズは前後17インチと、ゼファー1100の18インチと比べると小回りが効き、狭いワインディングロードでも滑らかに走行できます。
ギア比も180km/hに合わせてある為に、ナナハンなのに使いきれるパワーと速度がとても楽しく運転できます。
加速のフィーリングもエンジン性能曲線を見れば分かる通り、フラットでエンジン回転数と共に滑らかに上がってゆきます。
レッドゾーン寸前まで気持ちよく使えるので、ここでも空冷旧車の素晴らしさを体感できると思います。
現代のスポーツカーがGT-RやBMWだとすると、このバイクはRX-7にとても似ています。
非常にダイレクトなフィーリングと、人馬一体。
また、その孤高な存在は今もなお、渋き男達を惹きつけてやみません。