【フランス紅茶】エディアール・ブレンドの魅力とは

飲み物

創業者フェルディナン・エディアールは、1854年にパリで最もにぎやかなマドレーヌ広場に食料品店を開きました。そこでは、フランス植民地からのエキゾチックなフルーツや珍しい香辛料、紅茶などを販売し、パリの食通たちのお気に入りの店となりました。フランスにパイナップルを初めて輸入し、文豪アレクサンドル・デュマに贈ったエピソードは特に有名です。エディアールの顧客リストには、ヘミングウェイやピカソなどの著名な芸術家、そしてフランスの歴代大統領も名を連ねています。また、官邸や国会で催されるパーティーのケータリングも手掛けています。

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フランスではフォションやダマン・フレールと並ぶ高級食材店として知られており、エディアールは世界中に展開しています。39店舗のブティックを中心に、ヨーロッパ、アジア、中東、北米、南米、アフリカなど、30カ国で181の取扱店があります。

日本では新宿、さいたま、新潟、京都などにベーカリーを併設した店舗を展開しています。先日、愛媛県のタオル美術館を訪れた際、偶然エディアールの紅茶を見かけ、記念に購入しました。紅茶好きの筆者ですが、エディアールの紅茶は今回が初めてです。

エディアール・ブレンドの特徴

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著名な文豪たちも愛したと言われるエディアールの紅茶。くすんだオレンジ色の缶がトレードマークで、ひと目でエディアールと分かります。蓋にはロゴが入っており、後ろにはフランス現地のラベルが貼られています。日本語が一切印刷されていない紅茶は、現地オリジナルの輸出仕様で、本国仕様の味わいを楽しめるケースが多いです。逆に日本語のラベルがある場合、日本人の好みに合わせて調整されていることがあります。

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リーフはBOP(ブロークンオレンジペコ)で、チップが細かめです。中国茶の品種は明確には分かりませんが、発酵が強めで焙煎もほどほどのため、どっしりとした香りがします。アールグレイティーの伝統的な茶葉も中国種をベースにしているため、少しその影響を受けているのかもしれません。

今回は、ノリタケの「レースウッドゴールド」というカップでテイスティングしました。このカップの華やかな模様は、どことなくフランスの雰囲気を感じさせ、紅茶のイメージにぴったりです。個人的にフランスと言えば、淡く雲のようなくすんだ色合いを思い浮かべるので、写真にもその雰囲気を反映させてみました。皆さんはフランスにどんなイメージを持っていますか?

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2カップ分抽出して早速テイスティング。非常にクラシックな香りが立ち上がり、フレッシュさというよりも重厚さを感じさせます。埃っぽい香りが、イギリスのフォートナム&メイソンの紅茶にも少し似ています。老舗の紅茶ブレンドは、フレッシュさよりもこういったクラシックな調香が好まれる傾向があるようです。

ラベルの通り、ベルガモットの香りが漂い、オレンジのニュアンスもあります。ただ、ベルガモットは干からびたような落ち着いた香りで、オレンジもアメリカの明るいオレンジというよりは、イタリアのアランチャータの皮を擦った後の手に残るような香りです。

玄人向けの渋い香りで、どことなく書庫や古書を連想させるニュアンスがあります。以前、フランス人パティシエが作ったチョコレートを食べた際に感じたオレンジピールの香りとよく似ています。フランス人はこうした渋い大人っぽい香りを好むのでしょうが、多くの日本人には少し合わないかもしれません。

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香りと渋みのバランスを考えると、この紅茶はストレートで飲むのが一番おすすめです。読書や絵を描く、文章を書くなど、何か作業をしながらゆったりと飲むのにぴったりの紅茶だと感じました。

渋い大人のあなたにおすすめの一杯です。

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