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英国製の高級スピーカー B&W PM1の音質は?

B&Wのプレミアム コンパクトモニターPM1

B&Wから新たにナンバリングされた新スピーカーPM1、今回はその魅力をお伝えします。

プレミアム・コンパクトモニターと称されハイエンドモデルの805Diamondと比べると、少し小柄です。
他のスピーカーのシリーズは全て、フロアタイプやブックシェルフタイプなどと種類が多彩に用意されていますが、このPM1に関して言えば唯一のモデル名となっています。

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このPM1は素晴らしいサウンドだけでなく、優れた装飾という意味も含み、ウェッジウッドであればジャスパーウェアのC/Sのように、本来の目的だけでなく、裝飾を視覚的にも楽しめるというコンセプトとなっています。
もちろん、ジャスパーウェアがテーブルウェアとしての妥協があるか?と聞かれれば否と言えるように、PM1もまた音質に一切の妥協無き設計が施されています。

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PM1のデザインと外見

外見はモカグロスの突木仕上げで、まさに芸術的な仕上がりです。
過去の805Sにも様々な木目やフィニッシュのバリエーションが用意されましたが、そのどれとも似ておらず、完璧な光沢面での木目のラインとなっています。
トゥイーターのデザインとボディのバランスも絶妙で全体を通して、モダンな印象を受けます。

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クリアフィニッシュの仕上がりが、とても美しいです。
暗い室内や、夜はほとんど黒色のピアノ光沢のように見えるのですが、朝起きてPM1に視線を落とすと窓から差し込む光に照らされ本来の色味が引き出されます。
PM1専用のスタンド(FSPM1)も高価なだけあって、PM1と同じ仕上げの木材を使っており、其の仕上がりは一級品です。
805Sのプリント木目のような鈍いマット塗装と違い、透明感が非常に高い仕上げなので値段相応の外観で満足できるはずです。

専用スタンド(FSPM1)

FSPM1

専用のスタンド(FSPM1)はPM1たった1機種の為に用意されたもので、スピーカー本体と全く同じ木目に合わせられています。
通常であれば汎用品のスタンドを使う事になりますが、このFSPM1を使えば、ごく自然にシームレスにデザインを揃える事ができます。
また、専用のボルトが用意されているので、完璧に固定することができます。

スタンドの下部は重量がとてもあり、安定性が高いです。小さな子供が居る場合は別ですが、ほとんどの家庭では転倒のリスクは少ないと言えます。
下のプレートにもボルト穴があるので、もし予算があればフローリングに固定したり、店舗のタイルに固定したりと使えます。
他にも細部にも配慮されスピーカーケーブルを胴部に通す事ができ、すっきりとした配線が可能です。
付属品にはスパイクとゴム製の物が2種類付属するので、使用環境に合ったものを選ぶと良いです。
スパイク受けだけ別途で用意すれば振動を完璧に抑えたセッティングも可能にするので熱心なユーザーにも対応したスタンドです。

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B&W PM1の音質

黒胡椒のような力強さを兼ね備えながらも、繊細な弦楽器の音艶めきも表現できます。
内部損失が高いキャビネットのように、音の消え方が自然で素早いのも印象的です。

例えば、JBLのフロアスピーカーはゆったりと箱が鳴っているのを強く実感できドラマティックさや、アナログに寄った感動を受けます。
ですがこのPM1は全くの対照的なスピーカーで、シャープでキレの強さを感じます。
例えばバスドラムのリバーブタイムが短く、次の音との間に音の小さい空間を作るため、他の楽器の音がしっかりと際立って聞こえます。
つまり、ボーカルなどの声もくっきりと聞こえたり、ごく自然なライブのような演奏で聞くことができます。

JBLなどのリバーブタイムが長いスピーカーは、音が尾を引くようにして、次の音に僅かに重なっていきます。
これはクラシックやジャズの一部の曲には好印象ですが、近年の写実的な音作りのブームからすればPM1の方が聴きやすいと言えます。

PM1に採用されているカーボン・ブレースト・トゥイーターは既存のアルミニウム・ドゥーム・トゥイーターと異なり、ドームの周りをフィラメント巻きカーボンファイバーで覆うことによって、今まで30kHzの高域共振周波数だったものを40kHzまで引き上げることに成功しました。
オーケストラ演奏前のチューニング後に訪れる、特有の静寂。はっきりした音でなくとも会場ではしっかりと、その静寂性が伝わってきます。そういった僅かな高温域の振動が、このPM1であれば再現できます。

メーカーの説明を見ても「805Sの音質を凌ぐ性能を持つ」と紹介しているので新しい技術を使った、素晴らしく音の良いスピーカーのひとつと言えます。

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試聴曲

  1. ソナタ第1番ト短調 BWV 1001: 2 Fuga (Allegro)/加藤知子
  2. ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番1楽章変ホ長調「皇帝」作品73 第一楽章:アレグロ/ロイヤル・フィルハーモニー
  3. ラ・カンパネラ(パガニーニによる大練習曲 S.141の3)/フジコ・ヘミング
  4. ’Round Midnight/Miles Davis
  5. A Song For You / 伊藤君子
  6. あしながのサルヴァドール/Ego Wrappin’

視聴して最初に感じたのが、分解能力が極めて高いことです。楽器がきっちりと別れて聞こえます。
このPM1は低音を強調したり、すっきりと抜けのよい帯域で細工することなく全域に渡り自然な鳴り方をします。
ですので、低音の物量も十分でありながら高域を押しつぶしてしまうことがない、バランスが取れたサウンドです。

高級スピーカー聴き比べの他社機種で感じた、小さなかすかな音を拾い上げて大きくするようなコンプ感も抑えられています。
そういった点でも音に対する色付けが薄く、味付けがなされてないので印象は薄いかもしれません。
「コンパクトモニター」と位置づけされているのも、こういったフラットに寄った特性からも再確認できます。

1.ソナタ第1番ト短調 BWV 1001
加藤知子のクラシックVnから独奏のソナタとパルティータを聞きました。
バイオリン独奏で収録が新しいというのもあり視聴するのには向いています。
パワードスピーカーや、コンポのスピーカーでは音量を上げていくと、あっという間に音が飽和してしまい聞くに堪えないのですが
PM1で再生すると実際の演奏の音量と同等でも十分にきれいに聞こえます。

弦の倍音成分や、他の弦への僅かな共鳴など、実際にバイオリンを目下にして聞いている感覚です。
また、バイオリンの独奏曲のため、音が消えて静寂に包まれるシーンがありますが、そういった時に無音の空間が作りだされます。
これは実際にデッドな環境で試聴しないと伝わらないのですが、メリハリが付いた演奏に聞こえます。

2.皇帝/ロイヤルフィル
協奏曲は名演集で好きな曲のひとつですが、PM1で聞いたあとにJBLで聞いても大きな差が無いように思えます。
フラットで分解能力が高いのが裏目に出るのか、収録が古すぎると折角の性能の真価が発揮できないです。
例えば収録のとても新しい久石譲の、千と千尋の神隠しのサウンドトラック「あの夏へ」を聞くと、終盤になりティンパニが跳ね上がる様子や楽器が次々と音を引き継いで行く場面がドラマティックで息を飲みます。
PM1は特に録音の新しい大編成のクラシックは向いているので、その点も留意して視聴してみて下さい。

3.フジコ・ヘミングのラ・カンパネラ
ピアノ独奏でホールの前席で聞いているようなリアリティの高い音です。
鍵盤のタッチや、ダンパーペダルをリリースするときにピアノ本体に共鳴する音まで、生々しく伝えます。
収録のマイクの関係か、左右の間隔がつかみにくいですが、スピーカーから少し離れて聞くと自然に聞こえます。

4.ラウンド・ミッドナイト
これも超名曲のマイルス・デイビスの演奏ですが、ジャズの場合は多少古くてもメロウで膨よかな感じが出て聴きやすいです。
トランペットのミュートが立体的で渋い銀色の音を体験する事ができます。
また、自室でウイスキーを飲みながら聞ける音としては贅沢すぎるクオリティと言えます。

5.A Song For You
ご存知の人もいると思いますが、伊藤君子より。
息遣いや、唇の動きさえ感じ取る事ができます。
昔の収録でもリマスタリングされていたり、収録環境が良いとPM1がその現場をリアルに再現してくれます。
ジャズボーカルも得意な傾向のうちの一つです。

6.あしながのサルヴァドール
色彩のブルースやくちばしにチェリーも良いですが、あしながのサルヴァドールの艶やかで色っぽいサックスが心地良いです。
ステージの楽器の演奏までもが生演奏のように感じ取ることができます。
昨年のミッドナイト・デジャブでも生のステージで聞ける機会がありましたが、ステージで聞く感動に近い音質で聞くことができます。
PM1で聞けば、ウォーキング・ベースのダルいグルーヴがやみつきです。

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805DiamondとPM1 , CM5 , CM1の比較

805Diamond

以前の高級スピーカー聴き比べの特集でも紹介しましたが、PM1よりも圧倒的に広い再現空間を持ったスピーカーです。
もしも予算が許されるのであれば、805Diamondをお勧めします。
特に音の広がり方とりったいてな表現に関して言えば、PM1よりも価格が倍も高価な理由が分かります。
ただ、スタンドを入れるとペアで70万円近い価格となってしまうので、ここまで出せるのであれば802Dを190万円で購入した方が生涯かけて使えるので精神的にも良いかもしれません。

CM5

2008年にリリースされたCM5は「CM1」の上位モデルに位置づけられるブックシェルフスピーカーです。
以前よりとても気になっている機種で、オーディオ専門店でも何度も試聴したのですが、PM1と比較すると一体が乏しい印象を受けます。
音の奥行きが薄く、くっきりと輪郭のある低音で無いイメージを受けました。ただし横への広がりは特筆すべき点で、こういった傾向が好きでしたら正に好まれる特性です。
また、映画用に使うのであれば、ウーハーと合わせることで楽しめます。解像度は高いです。
ASW10CMというバスウーハーが用意されているように、こういったサブウーファーで補完されることにより、バランスの取れたサウンドになるのかもしれません。

CM1

大人気を誇るCM1、一時はコンパクトスピーカーといえばCM1、と言われる程の人気を博しました。
実際に685とCM1を所有した時期がありますが、確かにCM1は素晴らしいです。
685の迫力のある特性から比べると、少し味気が薄い印象がありますが、モニタースピーカーとしては完成されています。
友人の宅で今なお聞く機会がありますが、確かに音が良いです。コストパフォマンスとしては685.684が素晴らしく秀でています。
価格も下がっているので、もし予算が限られているのであればCM1はとてもお勧めできます。
805DとPM1の差を比べられないように、PM1とは確かに離れていますがB&Wの素晴らしいサウンドを楽しめる機種と言えます。

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PM1 レビュー総評

コンパクトでありながら、高い次元で音質のバランスを取れたモデルと言えます。
特に小さなボディからは想像できない膨よかな低音。
一般的に低音寄りのスピーカーというのはリヴァーブタイムが長く、まるで映画用のウーファーのように箱なりをしたり、残響時間が長かったりします。
ですが、このPM1はそういったスピーカーとは一線を画するもので、クリーンな低音でボーカルの中音域(200Hz~3kHz程度)を邪魔せずに低音と共に際立てる事ができます。
そういった意味でも全体を通してバランスが良いと言えます。

またサウンドだけでないのがこのPM1のコンセプトであり、お洒落な部屋に設置したり、高級なラウンジやサロンのスピーカーとしてもお勧めできます。
例え優れたスピーカーでもデザインが一切考慮されていないものであれば自宅で使う楽しみは半減すると言えます。
ですので、そういったデザイン性の観点から言っても、このPM1は理想的なライフスタイルに合ったスピーカーのひとつとしてお勧めできます。

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