iphoneシリーズ5sの音質は
人気のiPhone5S。発売してから、半年以上経ちましたが未だ話題が尽きません。
指紋認証システムを搭載していたり、新iOSのiOS7を標準でインストールしたりと色々新しくなっています。
そこで、今回はこのiphone5sの音質についてレビューしたいと思います。
レビューに使用したのは、SONYのMDR-EX1000。
このイヤホンはソニーのフラッグシップモデルでもあり、バランスの取れたフラットな傾向の、モニターサウンドで機材の比較にはとても優れた性能を持ちます。
他にもプロ用のヘッドホンがありますが、そういったプロ向けの機材はインピーダンスが高く、駆動力と音圧が低下してしまうため、今回はEX1000を持ち入りました。
アップルシリーズによる音質の傾向
iPhoneとiPad,Macbook,iMac同じアップル製品でも実は機種によっては音質が異なります。
特にiphone5よりDACの仕様が大幅に変更されたため、音質が劇的に変化しました。
iPhone3G,3GSまではゆったりとした特性で、良くも悪くも携帯電話(スマートフォン寄り)の音質で、ハイファイとは少し異なります。
2014年現在になって3GSを愛用するユーザーは、少なくなって来たのであまり問題はないと思います。
ただiphone4に関しては未だに一定のユーザーが居ると言えます。
特にiOSの6から7への変化はグラフィックデザインにも大きく影響を与え、新しいOSのユーザーインターフェースがあまり気に入って居ない層も存在します。
iphone4の音質もフラットよりで、100hzの低音域と3khzの高音域が特出していない、抑え気味の設定になっています。つまりいわゆるドンシャリサウンドとは対照的な設定と言えます。
この特性の音質は長時間のモニタリングにはとても向いていて、例えば新幹線での長時間の音楽鑑賞などに向いています。
音質の良さの定義
実は音質が良いというのは人によって全く異なります。
例えば、今説明したiPhone4はフラットな特性で、長時間のモニタリングには秀でる性能ですが、これが好きな人もいれば好きでない人もいます。
特に若い人(10代〜20代)にはドンシャリサウンドで高音域と低音域を強調した特性が気に入られる傾向にあります。これは、一瞬イヤホンを試聴したときには素晴らしく感動的でドラマティックな音に思えるものです。
ですが、こういったドンシャリサウンドは、長時間のモニタリングには向いておらず、耳が変に疲れたり、精神面でも疲れが起きたりします。
何故かというと、ドラマティック=迫力がある、とも言え、これは短時間(例えば1、2曲)聞く分には感動的なのですが1時間〜2時間聞くには疲れてしまいます。
iphone4とiphone5Sの音質の違い
少し脱線しましたが、iphone4のフラットな特性と異なり、iphone5Sはダイナミックレンジの広い、ハイファイ寄りの傾向と言えます。1khz周辺を少しだけ抜くことによって空気感を演出しています。
また低音はショートリバーブのようなリバーブタイム(残響時間)が短く、ぎゅっと引き締まった音質です。
ですので、今までであればヘッドホン側で対応した”キレ”のあるサウンドを楽しめます。
今まではiPhoneの付属している純正イヤホンは音質が悪いと言われてきましたが、こういった本体側の設定の工夫とDACの性能進化により音の分解能力が向上しているため、白いイヤホンでもダイナミックな感動的な音を楽しむことができます。
それでも、iPhone5Sは低音を余計に出していない、過剰に強調していないために長時間のリスニングでも疲れにくい傾向になっています。
iPhone4をこういった傾向にしたい場合は、ソニーのPH-A1やフォステックスのHP-P1が必要となります。
デジタル出力が対応しているポータブルヘッドフォンアンプであれば、iPhone5のように、キレのあって空気感の高い音質を再現できます。
iPhone5にポータブルヘッドフォンアンプは必要か
これにはあえてNOと言わせてもらいます。
以前までiPhone3GS,4,5,5SとNW-Z1000シリーズ、HP-A8を自宅で使用していますが、このiPhoneにはポータブルヘッドフォンアンプは必要でないと思います。
何故ならば完成度が高いために、ポータブルヘッドフォンアンプを導入しても劇的な音質の変化や向上は望めないためです。
例えば遅い市販車のファミリーカーをチューニングすれば、劇的にパワーのある速い車に仕上がりますが、完成度の高いBMW M3をチューニングしても、その改造の変化は少ないと言えます。
また車に例えたのは、他にもチューニングの費用が似ているからです。
元々完成度が高い機材を”より高音質”にするためには、多くの費用が掛かります。
つまり、iPhone3の場合は少し高級なイヤホンを導入すれば劇的に音が変わりますが、Iphone5の場合はポータブルヘッドフォンアンプと高級なインナーイヤーイヤホンや専用のリファインケーブルなど、色々な機材が必要になり10万円以上掛ける事になってしまいます。
コンパクトで持ち歩きやすくデザインも優れたiPhone5S、それも本体の価格は6万円〜7万円のものに、色々な機材を接続して倍以上のお金を掛けるというのは得策でないと言えます。コストパフォーマンスが低いわけです。
もちろん、お金に余裕があって、絶対的な性能を向上したいのであれば、この意見は当てはまりません。
iPhone5にオススメのイヤホン
やはりモニターサウンド系のイヤホンをお勧めします。
高音質イヤホンの筆頭にゼンハイザーのIE800など挙げられる事がありますが、iphoneのシリーズは低音のキレ感を重視しているセッティングになっているので、これはあまりお勧めとはいえません。
低音域の100hz〜200hzでイヤホン側のセッティングと重複される部分が出てしまいます。
もちろん専用のiPhoneイコライザーソフトなどで、少し削ってあげれば良い話ですが、そこまでできるユーザーであれば、基本的のどんなイヤホンを使っても問題はありません。
もし、そういったセッティングがわからない、もしくは苦手な場合は、ソニーのスタジオサウンドが良いと思います。
他には変わった音が好きな場合はオルトフォンも良いと言えます。
例えばe-Q8。これはまったりした傾向で、ジャズボーカルや女性ボーカルの声の艶が強調させるセッティングになっています。
iphone5sにヘッドホンは使える?
使えます。もちろんインピーダンスの低いヘッドホンでしたら問題なく音楽を聞くことができます。
ですが、自宅で高音質ヘッドホンアンプで聞いているのでしたら、iPhoneには接続しないほうが懸命と言えます。
据置型のヘッドホンアンプは駆動力が非常に高く、音圧も稼げます。また、例えばフォステックスのHP-A8などであればDAコンバータの能力も高く、それ専用に設計されている機材なのでポータブル環境にヘッドホンを流用すると、音質に不満が出てしまう可能性があります。
例えば、いくら速い市販車でも、普段サーキットでレーシングカーに乗り慣れている場合は遅く感じてしまうのと似ています。ですので、ポータブル環境ではヘッドホンを使わないほうが良いかもしれません。
iPhone5sのお勧めの使い方
今回のiPhoneに限って言えば純正で使うのが非常にコストパフォーマンスが高いと言えます。
余計な出費が0なのに、バランスの取れた高度な音質が楽しめます。
ですが、人間長時間同じものを使っていると飽きが来ることがあります。そういった時は自分の好きなイヤホンを使うとよいでしょう。
本体が変更になっても、イヤホンは引き継ぐ事ができるので、無駄にはなりません。
ですが、ヘッドホンアンプは費用に対する効果が低いのであまりお勧めはできません。
というわけで素敵なiPhoneライフをお過ごし下さい。