今回はデモテープオーディションで勝ちたい人のために、音楽感=耳の良さを鍛える方法を説明します。
耳が良くないと、自分で知らないうちに「バランスが悪い」「音質が悪い」「センスのない」恥ずかしいデモテープを送ってしまうことになるかもしれません。
注意すべきところを知って、メジャーデビューを勝ち取りましょう。
【音楽感=耳の良さとはなにか??】
音楽感という言葉に深い意味はありません。単にあまりに抽象的なため、私が抽象的な名前をつけてみただけです笑
ですが、確かに彼らは「音楽感=耳の良さ」をみています。
では「音楽感=耳の良さ」とは何か。
耳がいい、というのは小さい音が聴こえる、とか絶対音感を持っているということを示しているのではありません。
耳の良さ、というのはいくつもの意味を持っています。
ひとつには”何が良い音楽かを直感的に判断できる力”です。
これはいわば音楽的視野が広くないと習得できない能力です。例えば音質という概念を理解していて、2つの音源を聴いたときにどちらが高音質でどちらが低音質かが分かる。あるいはリズム感についてよく理解していて、自分がどの程度リズム感を持っているかが分かる。
レコーディングの音にどの程度「無駄な反響」が入っているか分かり、デモ音源のバランスが良いか悪いかを理解できる。
もっと難しいところへいけば、ヘッドフォンで録音した曲を編集しながら、自分の曲がメジャーな曲に比べ「低音が出過ぎている」「高音の何ヘルツが足りない」などということを”感じ取れる”能力です。
こういうことを感じ取れない人が作ったデモテープは、「人間を見ずに書かれた人物画」と同じで、非常にちぐはぐです。
人間を書こうとしているのに、人間の体の仕組みがどうなっているか知らないため、全然細部が再現されていない。
顔と体の大きさのバランスも悪いし、目など各パーツのサイズもばらばら。
でも本人はモデルを見ずに自分の記憶の中の人間を描いていますから、それが本物の人間からかけ離れた「恥ずかしい人物画」であるということに気づきません。
しかし常に本物の人間や石膏像をしっかりと観察して描いている人には、一目でその絵の「恥ずかしさ」が分かります。
ああ、この人は何も研究していないな。
こう思うわけです。
まさにこれと同じことがデモテープオーディションで起こってしまいます。
常に研究をしている人、努力をして、音楽的な視野を広げている人は、上の例でいくと「しっかりと観察しながら描いている人」です。
どのくらいの音量バランスが適切なのか、自分のレコーディングは「良い音」なのか。
こういうことを「音楽感=耳の良さ」を使って調整しているのです。
しかし、音楽感=耳の良さ=”何が良い音楽かを直感的に判断できる力”が無い人は、何が良い音楽か知りません。自分の思い込みで「かっこよく」「音が良く」「バランスが良い」音楽を作っています。それは上の例でいけば「恥ずかしい音源」です。
そして、デモテープ・オーディションの審査員はそれが「恥ずかしい音源」であることを分かってしまいます。
だから私たちは音楽感を身に付ける必要があります。
【音楽感=耳の良さは鍛えられる!】
あなたは絶対音感を持っていますか?? 私はもっていません。でも耳の良さと音感はあまり関係ありません。
そして音楽感は鍛えられます。耳を良くすればいいのです。
ではどうやったら耳を良くできるか。
具体的にこういうことを意識してみましょう。
・チューニングが合っているかを意識する
→ギターなどの弦楽器で音程が完璧にあっているときには、他の弦が共鳴して音が非常に大きく聴こえます。またドラムでチューニングが完璧に合っている場合は全体が非常に響きやすい状態になるので、音の抜けがよくなり、はっきりと発音するようになります。
・リズム感があるかを録音してしっかり観察する
→これについてはこちらの記事を参照してください。リズム感とは結局なんなの、という話とリズム感を鍛える方法を記述しています。
・いろんな音楽を「バランス」から聴いてみる
→この曲はバスドラムがこのくらいの音量で鳴っていて、ギターがこのくらいの音量。またボーカルはこのくらい、というようにバランスを意識しながら様々な曲を聴いていきましょう。するといざ自分がデモテープを作ることになったとき、どのくらいのバランスで作っていけば良いかが無意識に分かります。
・ベースとバスドラムの動きを追う
→音楽を聴くとき、低音域の楽器であるベースとバスドラムの動きに注意して聴いてみましょう。そうすることによって訓練しないと絶対に身に付かない「低音を聴く力」が付きます。これがデモテープを作るときに凄く役に立つ。音楽の基礎は低音ですが、多くの人が低音を意識して聴いたことがないため、デモテープ作成の際にどうやって低音を扱えば良いかを知りません。
しかし低音を聴く力があれば、しっかりと低音から支えられた芯のあるデモ音源を作ることができます。
・いろいろな曲のボーカルの音程を意識して聴いてみる
→何も、今ボーカルが歌った音階を「ドレミファソラシド」で言い当てる必要はありません。しかしボーカルの音程を意識して聴いてみると、実は多くのアーティストが正しい音程から「外れたピッチ」で歌っていることに気づくはずです。
「外れたピッチ」とはどういうことかと言うと、例えばラの音を歌ったとき、Aよりもチューナーの針が若干左にある状態です。
そして常に意識して音楽を聴き、耳を鍛えると「外れたピッチ」で歌ったとき絶対音感が無くても「周りの音を濁らせている」ことに気づけるのです。具体的にどういう判断基準で聴くか、というのは説明することができません。しかしいくつも音楽を聴いているうちに、「このアーティストはいつも正しい音程で歌ってる」とか「このアーティストは比較的音程にルーズだ」ということが分かるようになります。
すると自分が歌ったり、楽器を弾いたりするときにも音程のズレが分かります。
こういうことを意識すると、音楽感が身に付き、耳が良くなります。
是非試してください。