そろそろ冬も去り、本格的に春夏のコーディネートの時期になってきました。
そんな中編集部では、今期最も注目のウィンドウペン柄で、しかも春夏にぴったりな麻素材のエディフィスのジャケットを入手!
早速レビューしていきたいと思います。
イタリアの高級服地メーカーCERRUTI × EDIFICEのジャケット
今回のジャケットはファッションブランドでありセレクトショップでもある、エディフィスのもの。
EDIFICEはTAKEO KIKUCHIなどの大手デザイナーズブランドに比べれば、ちょっとマイナーです。
まずは公式サイトの紹介文から見てみましょう。
ファッションだけでなく、ライフスタイル全般に興味を持つ高感度な男性顧客層を主な対象とし、時流をとらえたデイリーカジュアル~ドレスウェアまでを提案。こだわりを持ち、居心地良く空間演出された店舗で、高品質な商品と接客でエディフィス流の上品なスタイルを提案する大人の男のSHOP。
とのこと。
確かにおいてあるものはやや上品なカジュアルで、店舗で服を選んでいるときから心が満たされるようなそんなブランド。
カジュアルなTシャツからテーラードジャケット、スーツまでも扱っているブランドですが、基本はフレンチトラッド。
EDIFICEエディフィスという言葉は「なんらかの意味において重要な建物」を示しますが、
このブランド名のEDIFICEの最初のEには点がついています。
これはアクサン・テギュというのでしょうか、フランス語だと思われます。
日本には様々なセレクトショップがありますが、フレンチトラッドをテーマにしているブランドは珍しいですよね。
そして今回のテーラードジャケット。
EDIFICEエディフィスがイタリアの高級服地メーカーであるCERRUTIセルッティの生地を使用して作り上げたジャケットです。
CERRUTIセルッティはイタリアのビエラで設立された生地メーカーで、スーツの生地を中心に世界中で愛好されています。例えばポールスミスロンドンのスーツにもCERRUTIの生地が。
生地だけでなく前ボタンや袖ボタンなどもCERRUTI製。縫製は日本、つまり日本製ですので、あくまでEDIFICEエディフィスのオリジナルでしょう。
見にくいですが、CERRUTIと文字が入っています。
そういうわけで…!
EDIFICEエディフィスがCERRUTIセルッティの生地を使って作ったこのジャケットの品質は??
着心地やシェイプは??
しっかりとレビューしていきましょう。
シルクと麻という珍しくも控えめな生地
生地は麻混シルク。麻とシルクだけを使用した、めずらしいジャケットです。55%が麻で、残りの45%がシルクの生地。
特別生地に名前がついているわけではありませんが、もちろんタグはしっかりと。
シルクが45%も入っていたらテカテカになって、ジャケットには向かないネクタイみたいな生地になっちゃうんじゃないの??
と思ったのですが、意外にもツヤ感は控えめ。
むしろ普通の綿麻ジャケットの方がよっぽどツヤがあるくらいです。
調べてみると、夏物ジャケットはよくRaw Silk ロウシルク(=生のシルク)と呼ばれるもので、繭から繰糸した長繊維糸を精製せず、そのまま用いて作られたシルク素材が使われるのだとか。
吸湿、吸汗性に優れ、通気、保温性に富むという麻に近いメリットを持つ素材です。
そんなこと言われても分かんないよ!
という人は白砂糖と黒砂糖を思い浮かべてみましょう。
さらさらと繊細で光沢のある白砂糖ですが、精製される前はざらりとしてあまり光沢感のない黒砂糖。ロウシルクは黒砂糖のイメージで、あえて自然な風合いを残した生地なのです。
このジャケットに使われているのもロウシルクなのかも……??
ざっくりした性質とは言ってもやはり手触りにはやはりシルクらしい独特のヌメリがあり、麻のしゃりっとした感触と相まって非常にバランスの良い着心地になっています。
扱いにはかなり気を使いますが、それ以外においては殆ど普通のジャケットと同じように着こなせるでしょう。
シンプルで質素だけど丁寧な縫製、そしてイタリアンなシェイプ
そんな素晴らしい生地を使ったEDIFICEエディフィスのテーラードジャケットですが、正直「こんなもんなのかな?」と思うくらい質素。
背抜きなのでほとんど裏地はありませんし、これと言ってブランドのタグが入っているわけでもない。
もはや素朴と言ってもいいくらいにシンプルなジャケットです。
物足りない?
なーんて聞かれたら
「そそそそそそそ、そーんなことはないよ!」
と答えるでしょう。
でもだからと言ってこのジャケットに魅力がないわけではない。
このジャケットの良さは、置いて眺めることにはありません。そう、着たときのシルエットの美しさこそがこのジャケットの一番の特徴なのです。
肩幅がウエストで一気に絞られ、ゆるやかなカーブで落ちていく。
クラシコ・イタリアのスーツに典型的に見られるシェイプです。これはなかなか出会えない、綺麗なシルエットですね。
着ていてあまり窮屈さを感じさせないのに、限界まで絞った細身のシェイプになる。
これは「ブリティッシュトラッドを基調にしながらあくまで着心地を重視する」というクラシコ・イタリアンの理念に近いものを感じます。
細かい仕立ても非常に丁寧で、どこを見ても粗がありません。このあたりが、きわどいサイジングでも窮屈さを感じさせない着心地の理由なのかもしれません。
コーディネートがしやすく、それでいて存在感のある今年の流行ウィンドウペン柄。これも着こなしの幅が広くて魅力的ですね。
5万円の価値はあるか??
個人的にはこのジャケットには間違いなく5万円の価値があると思います。
CERRUTIセルッティのイタリア製生地を使い、日本製でこれほどまでに丁寧に製作されたテーラードジャケット。
シンプルで質素なので、眺めていても「ほー」としか思わないジャケットですが、着てみればフィット感があり「これはたしかに良いジャケットだ」と思うわけです。
EDIFICEエディフィスのジャケットは基本的にすごく質素です。
イタリア製生地もあっさりとしていますから、ハンガーに掛けて眺めてもそれほど凄いとは思わないところ。
でも着てみれば良さが絶対に分かります。体のラインに沿った滑らかな曲線と、窮屈さを感じさせない立体感。
この春夏には、ぜひエディフィスのジャケットを!