実は企業努力の結晶?食品メーカーによるチョコレート価格の工夫

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明治のチョコレートは、長年にわたり多くの人々に愛され続けている定番商品です。

しかし、つい先日50gの板チョコがついに税込み171円まで値上がりしました。昨今の相次ぐ食品の値上げに対して、「チョコレートまで値上がりしてしまったのか!」と驚く消費者も多いでしょう。

とはいえ、他の食品と異なり、チョコレートに関して言えば、この1.7倍程度の値上げは、実際には非常に優秀な結果であり、食品メーカーの技術と努力の賜物です。なぜ値上げがむしろ賞賛に値するのか、その理由を解説していきます。

カカオ価格の高騰:驚くべき背景

まず、チョコレートの主原料であるカカオの価格が急騰しているという現実があります。以下に示すのは、米国のココア先物取引の価格チャートです。2024年に入ってからの急激な上昇は明らかです。2018年から2023年までの間、ココアの価格は1トンあたり約2,500ドル前後で推移していましたが、2023年後半から上昇を始め、2024年1月3日には驚異的な9,766ドルに達しました。

これは、前年と比較して約4倍もの価格上昇を示しています。

2024年において、カカオの先物価格は著しく上昇しています。特に、2024年初頭には1トンあたり約9,766ドルという高値を記録し、その背景には西アフリカの気候変動やカカオの供給不足が大きく影響しています。この価格上昇は、カカオの生産国であるコートジボワールやガーナでの悪天候や作物の病気によるもので、世界的な供給不足が生じています。

ココア先物取引の価格上昇は、カカオの不作や気候変動、輸送コストの増加などの影響を反映しています。さらに、日本円の円安も加わり、カカオを輸入する日本の食品メーカーにとっては、為替の影響が重くのしかかっています。

円安と国内のコスト上昇も

さらに、日本国内でもチョコレート製造にかかるコストが上昇しています。

賃金の上昇、物流コストの増加、エネルギー価格の高騰など、さまざまな要因が重なり、チョコレートの生産コストは日々高くなっています。こうした状況を考慮すると、本来ならばチョコレートの価格が5倍、場合によっては10倍にまで上昇していてもおかしくないのです。

1.7倍の値上げを抑えた食品メーカーの工夫

それでも、私たちが手に取るチョコレートの価格は1.7倍の値上がりにとどまっています。この価格上昇幅がいかに企業努力によって抑えられたものであるかがわかるでしょう。明治をはじめとするチョコレートメーカーは、技術革新や効率的な生産体制、コスト削減の工夫を行い、消費者にとっての負担を最小限に抑えています。

明治のミルクチョコレートは、年々サイズが縮小されているのが少し寂しいです。具体的には、2000年代初頭には65gの重さだった板チョコが、2012年には55gに縮小されるなど、徐々に軽量化が進んでいます。この軽量化は価格を据え置くための対策の一環であり、日本の食品業界ではよく見られる「シュリンクフレーション」の一例です。

私も最初はスーパーで値段を見て、「あの100円のチョコレートが170円に!?」と驚きました。しかし、ココア先物価格の急騰や国内外のコスト増を考慮すれば、これは非常に良心的な価格であると感じるようになりました。

少しの理解で、より美味しくチョコレートを

確かに、値上げは消費者にとって悩ましいことです。しかし、その背景にはメーカーの並々ならぬ努力と技術の向上があります。価格が上がったことで購入頻度は減るかもしれませんが、こうした事情を理解することで、以前と同じようにチョコレートを楽しむことができるのではないでしょうか。

食品メーカーの工夫と努力に感謝しながら、少しだけ価格が上がったチョコレートを味わってみてはいかがでしょうか?

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