FOMCの利下げにも関わらず、長期米国債ETF(TLT)の価格が下落する理由とは

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2024年9月17日・18日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートが0.50%引き下げられました。これは市場にとって大きなサプライズではなかったものの、予想以上の利下げ幅となりました。

しかし、これにより長期米国債ETFであるTLTなどの価格が下落しているという状況が発生しています。通常、利下げは債券市場にポジティブな影響を与えると考えられていますが、今回の動きは異例です。この現象を詳しく解説します。

チャートを見てみると、FOMC直前の9月17日が100.84ドルでしたが、現在は98.25ドルまで下落しています。FOMC直前までは、利下げの幅が25ベーシスポイントでしたが、実際はサプライズで50ベーシスポイントの利下げをしたにも関わらず、債券市場の価格は低下し、利回りは上昇したという事態になっています。

利下げ後の長期金利の上昇

利下げが行われたにも関わらず、長期金利が上昇しています。これは、FOMC後のパウエル議長の発言が影響しており、インフレが今後も高止まりする可能性が残っているため、市場は慎重な姿勢を見せています。パウエル議長はインフレ率が2%に減速していくとの自信を示しつつも、経済の引き締めを急ぎすぎないようバランスを保つ姿勢を強調しました。

長期金利の上昇は、特に長期債に対する利回りの上昇をもたらし、既存の債券価格を押し下げる結果となります。これにより、TLTのような長期債ETFの価格も下落しています。

市場の期待と現実とのギャップ

市場はFOMCによる利下げを織り込んでいたものの、追加利下げへの期待が高まりすぎていた側面もあります。FOMCは、今後の追加利下げについて慎重な姿勢を示しており、一部の市場参加者の予想とは異なりました。これにより、金融緩和が急激に進まないと見る投資家が増え、債券の売りが強まったのです。

参照サイト(英語):https://www.benzinga.com/markets/equities/24/09/40752387/treasury-yields-plunge-tlt-etf-tops-100-vix-spikes-as-50-basis-point-rate-cut-odds-soar-in-respo

米国経済の強さ

米国経済は堅調に推移しており、住宅市場や雇用市場の指標が予想以上に良好です。これにより、利下げにもかかわらず長期的に金利が高止まりする可能性が高まり、結果として長期債の利回りが上昇し、債券価格が下落するという状況になりました。FOMCの経済見通し(SEP)でも、景気全体は底堅いとの見方が示されました。

債券市場の技術的要因

債券市場においては、需給バランスが価格に直接的に影響します。
今回、利下げが予想されていたため、大量の資金が長期債ETFに流れ込みましたが、利下げ後のポジション調整によって価格変動が大きくなり、結果として価格が下落しました。このような市場のテクニカルな要因も、TLTの価格下落に影響しています。

長期米国債ETFの価格が下落する理由とは

今回のFOMCによる利下げにもかかわらず、長期米国債ETFの価格が下落した理由には、インフレ懸念、利下げペースの期待と実際のギャップ、堅調な米国経済、そして市場の技術的要因が複雑に絡み合っています。今後もFOMCの動向に注目しつつ、市場の変動を注意深く見守る必要があります。

筆者の個人的な意見では、今回の50ベーシスポイントという大きな利下げによって、 債券の価格が大幅に上昇すると予想していたのですが、実際には下落するような現象が発生しました。

長期債への投資を考えている方は、今後の経済指標やFOMCの政策を注視し、ポートフォリオの適切な調整を行うことが求められそうです。

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