円が1年超ぶりの139円台に上昇、日米金利差縮小が後押し

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2024年9月16日、外国為替市場で円が対ドルで1年2カ月ぶりに139円台を突破しました。
これは、日米金利差の縮小観測を背景に、円買い・ドル売りの動きが強まったことが主な要因です。昨年7月以来となる高値を付けたこの局面では、日本銀行の金融政策と米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が市場に大きく影響を与えています。

今年7月初めには約38年ぶりの安値である161円95銭を記録していたため、短期間で大幅な反転が見られたことになります。市場では、日銀が金融緩和の調整を続ける一方、FRBが年内に大幅な利下げに踏み切るとの見方が広がっており、日米の金融政策の方向性が大きく対立する中での円高です。

日米金融政策の違いが円高を牽引

FRBが利下げを開始するという観測が市場で広まっている一方、日銀は金融政策のさらなる調整に踏み切る可能性が強まっています。日本では、インフレ率が安定しつつある中、経済と物価の見通し次第では日銀が年内に追加利上げに踏み切るとの見方が浮上しており、これが円高の後押し要因となっています。これに対し、米国ではインフレがやや抑制されつつあり、FRBが年内に最大100ベーシスポイント(1%)の利下げを行う可能性が指摘されています。

円相場、年内に1ドル=137円まで上昇へ-ウェストパックが予想(Bloomberg)」によるとウェストパックの通貨戦略責任者リチャード・フラヌロビッチ氏は、今後1~3カ月で円相場がさらに上昇し、1ドル=137円から138円の水準に達する可能性があると予測しています。同氏は「米FRBは安心できるほどのハト派姿勢を取っており、年内に大幅な利下げが行われるだろう」と指摘し、これに対し日銀はタカ派的な政策を維持し、12月には追加利上げが見込まれると述べています。

米国政治の影響もドル安要因に

加えて、米国内の政治情勢も円高に寄与しています。米大統領選に向けた世論調査では、カマラ・ハリス副大統領が有利な立場に立っているとの報道があり、これもドルの軟化を助長しています。米国の政局が不透明感を増す中で、投資家はリスク回避のためにドル売りに動いているという背景もあります。

円高進行の影響と今後の展望

今回の円高進行により、日本の輸入業界ではコスト削減効果が期待されますが、一方で輸出企業にとっては競争力の低下が懸念されます。また、円高が進行すれば、旅行者や消費者にとっては海外旅行や輸入品のコストが下がる一方、国内の経済活動にも影響が見込まれます。

FRBの会合、日本時間の9月19日午前3時のFOMCでどの程度の利下げが行われるかが焦点となっています。先週末、ウォール・ストリート・ジャーナルが報じたところによると、FRBが0.25%の通常の利下げではなく、0.5%の大幅利下げに踏み切る可能性が示唆されています。この報道により、米金利先物市場では0.5%の利下げ予想が急速に織り込まれ、16日時点で予測確率が60%近くまで上昇しました。これが現実化すれば、さらに円高が進む可能性もあります。

今後数カ月の為替市場では、日米の金融政策に対する市場の反応や、米国の政治的な動きが引き続き注視されそうです。また円相場がさらに上昇するかどうか、FRBの次のFOMCでの動きが大きなカギとなりそうです。

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