古酒ビンテージワインの飲み方と楽しみ方

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30年以上経つ古酒だと、高い確率でコルクがボロボロになっています。リコルク、リラベルといって生産者が新しいコルクに打ち直したり、瓶に新しいラベルを貼り直したりすることもありますが、基本的には当時のままの状態になっています。

昭和に詰められたワインが今でも飲めると考えるだけでもロマンがあります。
ただし扱い方が最近のワインとは違いいくつか注意が必要です。

2週間以上ワインセラーに立てて休ませる

ワイン商社から販売店、自宅まで旅行をしている古酒は中が撹拌されて疲れてしまっています。
できれば数ヶ月は自宅のワインセラーに寝かせておくのが良いです。そして少なくとも飲む数日前、できれば2週間以上は立ててオリを沈めましょう。

立てておくことで重量のある成分が瓶底に沈み、上は透明感のある部分に分かれます。
飲むときはなるべく揺らさずにキャップシールを切り取ってコルクを抜きます。
パニエと呼ばれるワイン用のバスケットに入れて抜栓するソムリエも多いですが、少々技術がいるので慣れてない人はテーブルに立てて抜いても良いです。

「こんなん絶対飲めないでしょ!」と初心者は思うかもしれませんが、下の1988年の白ワインは保管状態が非常に良く完璧でした。
コルクの表面に割れやボロボロのカスが出ておらず、一面がチーズのようにきれいにカビに覆われています。

コンディションが悪いワイン、既に飲めないほど傷んでいるワインは、キャップシールを空けたときにすでにコルクのカスがぼろぼろ落ちてきたり、少しでもコルクを触るとフワフワになっています。

コツはこの時点で、瓶の口元を水で絞ったタオルやエタノールを染み込ませたティッシュなどで拭います。抜栓してから掃除すると液面にコルクのカスがおちやすいので、先にきれいにすると楽です。

スクリュー式のソムリエナイフではなく、このアマゾンの商品のように蝶形の古酒用ワインオープナーがおすすめです。高い確率でボロボロになるので、力をかけずに抜くのが良いです。

パンスアポルトという焼き切る方法もある!?

インスタグラムのアメリカ人ソムリエは、1961年のシャトー・ペトリュスをパンスアポルト(Pince à Porto)という熱でボトルネックを焼き切る道具を使ってあけていました。

火かき棒にそっくりなトング形状の道具で、これを暖炉などで加熱しておきワインのコルク下を挟んで高温で熱して、すぐさま水を吹き付けることで強引に割る方法です。
この方法であればコルク片がワインに入ることはありません。ただ、個人的には熱でワインが変質しないのかな?とは思いますが……。

ソムリエナイフで開ける場合はコルクを落とさないように注意する

もし手元にソムリエナイフしかない場合は、優しく一番底に抜けるようにスクリューを刺します。
瓶を下からのぞき、コルクの底にスクリューが出るようにします。そうしないと高確率で、一部のコルクが底に残ってしまいます。

そしてゆっくり垂直にぬきます。1cm上がったらスクリューの位置を30度回転させて、まんべんなくコルクに力がかかるようにします。一箇所だけで集中して力を入れるとポキッ!と折れやすいので少し抜いて回転、少し抜いて回転と繰り返すと上手に抜けやすいです。
一番最後に抜くときは、少し斜めにして角から出すようにするとうまくいきます。

もし分解して残った場合は、ピンセットなどでそっと除去します。その後にティッシュなど清潔なもので、瓶の内側を拭くとカビがワインに混入するのを防げます。

大きめのグラスに、そっと優しく注ぎます。

よほど高級なビンテージワインでなければデキャンタは不要?

半世紀近く寝かせることを前提としたグランヴァン、流通価格でいうと5万円から30万円以上の高級ワインであればデキャンタでゆっくり空気に触れさせるのも方法のひとつです。例えばシャトー・ラトゥールなど30年以上前のビンテージだと、グラスに直接注いでも1時間以上眠っているので飲むことができません。

ただし2~3万円までの価格帯のワインであれば、意外にピークが速く訪れるのでデキャンタで無理に酸素に触れさせる必要は無さそうです。逆に酸素に触れさせすぎることにより、酸化して急激に酸っぱくなってしまうビンテージワインもあります。
ブショネでなくても年数が経っているワインは、空気に弱いものもあるのです。

ですので一度ワイングラスにそっと注いでみて、香りを確かめます。あれ?全然香りがしない?硬いなぁ〜と思ったのであれば、軽くスワリングしてみます。そこで良いニュアンスの香りが出るようであれば、そのままワイングラスで楽しんでも良いですし、デキャンタを使っても良いです。

ポテンシャルの高いビンテージワインは数日経っても枯れないことがおおく、ゆっくり時間を掛けて楽しむことが出来ます。ブショネのニュアンスやホコリっぽいワインであれば、悪化する一方なので飲めるのであれば早めに片付けた方が後悔がないです。

ネットでバックビンテージを漁るのはヤバい

ちなみにヤフオクなどで魅力的な30年以上前の古酒が流通していますが、その大半は熱劣化などで傷んでいます。贈答品を押入れや倉庫、キャビネットなどに入れてあったものを遺品整理などで出回ってしまっています。
桐箱に入っているものなど、パット見では状態が良く見えますが、空けてみるとダメダメなことがあります。日本の高温多湿、春夏秋冬で温度変化の高い環境では30年以上も常温でで熟成させるのは不可能なことです。

ワインセラーにずっと保管されていたボトル、もしくは、ごく一部の地下セラーや温度が一定な部屋。北海道など通年涼しい場所に保管されていたものでないと劣化しています。
特に酷いのは沖縄など南側のお酒で、熱劣化に強いはずの蒸留酒(ウイスキーなど)でも傷んでいることがあります。
そんなワケで、日本に来てからの素性がはっきりしない古酒は避けた方が良いです。一般家庭の常温保存の場合は、ブルゴーニュであれば3~4年、ボルドーであれば4~5年くらいが限界だと思います。
それ以上はワインに温度変化の疲れが蓄積して、だんだん味わいが劣化していきます。

 

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