牛肉
牛肉には公益社団法人日本食肉格付協会が定める牛枝肉取引規格という2つの等級があり、一つ目は歩留まり等級、二つ目は肉質等級です。
精肉店での量り売りで見かけることがあります。しばし宣伝でも見かけることのあるAー5などです。
歩留まり等級は、歩留まり率とも言われるように生体から取れる肉の量が大きいほど高い等級になります。大きな牛の方が価値が高いということです。仔羊など小さい方が柔らかく美味しいと言われる肉もありますが、牛肉の場合は大きい方が価値が高いようです。
二つ目の肉質等級は脂肪交雑、肉の色沢、肉の締まり及びきめ、脂肪の色沢と質です。最も良い5の評価を上げると「胸最長筋並びに背半棘筋及び頭半棘筋における脂肪交雑がかなり多いもの」「肉色及び光沢がかなり良いもの」「締まりはかなり良く、きめがかなり細かいもの」「脂肪の色、光沢及び質がかなり良いもの」となります。簡単に言うと、油のサシが入っていて、キメ細かで発色良く美しい肉ということでしょうか。しかし意外な事に必ずしもA5=美味しい訳ではなくグルメの中にはA4やA3を選ぶ人も居るそうです。どちらかというと肉の産地をこだわることが多く、同じ等級でも産地によって味わいが異なります。
野菜・果物
特秀・特選、秀、優、良などです。他にもサイズで3L.2L.Mなどが表記されることもあります。
中でもメロンはサイズによって価格が数倍に跳ね上がることもあります。しかし必ず大きいものが美味しいかと言えばそうではなく、大きいだけで水っぽい野菜も存在します。むしろ果物を育てるときに水の量を制限して糖度を上げる方法も存在しますので、一概に大きいから美味しい訳ではありません。
またデパートや高級スーパーに出荷される野菜は、サイズや形が一定になるように作られています。例えば自然薯などは栽培されているものは筒状のケースの中で育てるので真っ直ぐになります、しかし天然物の硬い木の幹や岩を迂回して育った自然薯は粘り気が強く、香りも高いなどはるかに美味しい事もあるそうです。そしてそういった産地でしか出回らないものは採れたてが土付きで出荷されたりと、見かけが悪いけれど味が良いものが存在します。
コーヒー
コーヒー豆を買うときにエチオピア イルガチェフェ G1など英語と数字が付いているものを見かけた事はないでしょうか。
産地によってグレードの表す意味が異なりますが、スクリーンサイズ(豆の直径)や収穫された標高、欠点の有無(割れ、虫食い、未熟、殻、異常発酵など)、味によって評価されます。法律で厳格に定められたものではなく、良い傾向にあるということが分かります。グレードが高い=必ず美味しいという訳ではありません。たとえグレードが低くても焙煎する人が、ひとつずつサイズを選別して欠点豆を手作業で取り除けば素晴らしいコーヒーに化けることもあります。元も生豆の状態も重要ですが焙煎の具合によっても大きく左右されるので、目安に過ぎませんん。
紅茶
紅茶の等級はOPオレンジペコー、Pペコー、BPブロークンペコー、BOPブロークン・オレンジ・ペコー、Fファニングス、Dダストなど茶葉のサイズによって決定します。紅茶の等級ほど当てにならないものはありません。オレンジペコーだからと言って美味しい訳でも産地が決まってる訳でもなく収穫時期さえ不明です。紅茶の主な原産国にインド(ダージリンやアッサム)がありますが、このダージリンには88以上もの茶園、アッサムには数百以上の茶園があり、その茶園ごとに勝手に決めていることもあるのです。ですのでサイズに関しても余り当てにはなりませんし、OPを買っても箱の底の方だとファニングス、ダストであることも多いのです。唯一役に立つ情報と言えば、アッサムティーを選ぶときに砕いていないリーフだと美味しい傾向にあります。
ワイン
ワインの格付けや等級の話は、それだけで1時間掛かってしまうので詳しくは割愛しますが、フランスの場合は法律でA.O.P.(旧A.O.C.)I.G.P. VIN DE TABLEと分けられています。AOPに分類されるワインは、法律によって生産地や醸造所、生産法、使用品種などが決められ厳格に作られています。中でも有名なボルドーの格付けは、1855年に行われたパリ万国博覧会にてナポレオン3世の命令によりボルドー市商工会議所によって制定されました。1級から5級まであり、当時ワインが取引されていた価格によって決められたと言われます。つまり1855年の時点で美味しい=市場価格が高いという分類分けなので、美味しさに比例した等級であったと言われます。現在ではワイン投資にも使われ1級のグランヴァンは数十万円という高い値段で一般人は飲めなくなってしまいました、ですので1本10万円の1級ワインと比べて1万円の5級ワインが1/10の味わいかと言われればそうではなく、3~5級のワインでも素晴らしいものが数多くあります。
一方でブルゴーニュでは商工会議所ではなく、畑の区画によって等級が付けられれいます。優れた土壌で日当たりが良く、美味しいぶどうが収穫できる地域がグラン・クリュ=特急、そこからプルミエ・クリュ=1級、村名、地区と下がっていくのです。良く流通している「Bourgogne(ブルゴーニュ)」と書かれたワインは、いわば一番低い分類になり、日本茶で例えるなら「静岡茶」です。静岡県のどこで作っているか分かりません。そこから、「静岡茶(静岡市産)」「静岡茶 本山 藁科川上流」「静岡茶 本山 中藁科 大原の望月さんち、やぶきた100%」など、どんどん絞られていくのです。
話がそれましたが、ブルゴーニュは良い畑が良い格付けという訳です。
ダンボール
田舎に行くとスーパーマーケットに大量に積んであり無料で持ち帰ることができます。ジャスコやイオンでも商品が納品されるときの箱などをレジ袋の変わりに配布していたりします。
さて無料のイメージが強いダンボールですが、買ってみると意外にも高価なのです! 80サイズや100サイズと言った両手を軽く広げてちょうど乗るサイズの箱が日本製の厚手だと200~300円ほどする事があるのです。
中国製やダンボール会社の広告が入っているもので大量に100個以上買っても70~100円などバカにならない価格です。中でも真っ白い化粧板のダンボールは高価で、更にはフルカラーのオールプリントしてあるものは確実に数百円するのです!
エアキャップ
これも意外と知られていませんが、エアキャップ(プチプチ)にもグレードがあります。主に大きさと厚さですが、極小粒、通常粒、大粒、片面・両面など違いがあります。d36など数字が大きいほど厚手のものになります。
ロールの価格も様々ですが、品質は日本製>中国製となり、触って分かるほどに違います。ちなみにオレンジは環境対応品で燃焼しても有害物質が出にくい素材です。ピンクとブルーは帯電防止品でPCパーツ関連などに使われています。
用紙
印刷系の仕事をしている人には馴染みがありますが、コート90やマットコート110、再生紙など普段触っている新聞広告も様々な種類の紙が使われていて、価格やグレードもピンからキリまであります。
コート90など数字の値はキログラムで、1,000枚あたりの重さを表します。つまり数字が厚さに比例しているのです。
鮮やかな写真集などに使われるアート系の用紙(ハイマッキンレー、ヴァンヌーヴォー、サテン金藤)は200や300など、通常のコピー用紙よりも数倍重さを持ちます。発色が良く光沢があるのと手触りが良く、ページが透けず破れにくい特徴があります。大判の写真集をめくったときの感動は電子書籍では絶対に再現できません。
建築材料
ヒノキ、ヒバ、杉などの木材はイメージが付きやすいですが、インテリアを構成する床材や壁紙、サッシ、二重窓などもグレードが無段階にあります。様々なメーカーが出しているので必ずしも「高級品=良い」という訳ではありません。
しかし逆に賃貸専用のアパートは露骨に建材を節約して、一番安い壁紙や木目調の床、サッシ・キッチン・お風呂など見て一瞬で分かってしまうほど質感が悪いものもあります。マニアックな知識では、アメリカの輸入材(広葉樹)はFAS
(First And Seconds)板の最低寸法が幅6インチ以上、長さ8フィート以上でクリアー材の歩留まりが
83.33~100%。など細かい規定があります。無垢材の品種によってはワシントン条約で輸出輸入が禁止されていたりするものがあり等級はありませんが希少な木材もあります。
自動車
車を買った事がある人であればご存知だと思いますが、同じ車種でもグレードが違うと全然違う車に感じてしまいます。
例えば代表的な部分ではエンジンの排気量、2リッターから3リッターそれ以上とパワー(出力)が全く異なります。またプレミアムグレードは内装が本革や天然木突板になったり、LEDライトになったりと装備が豪華になり価格もエントリーグレードの2倍近くなることもあります。ちなみにタイヤやエンジンオイル、ブレーキフルードなど自動車の様々なパーツもグレードが沢山あります。
飛行機の座席
いわゆる”ファーストクラス”は飛行機の座席の等級を表しています。エコノミークラスから、プレミアムエコノミークラス、ビジネスクラス、ファーストクラスとあり航空券にはY PY C Fと大きな印刷がされています。ビジネスクラスは昔Clipperクリッパー=快速帆船と呼ばれてその名残でC、エコノミークラスはEconomyの最後の文字がYなのでその表記になります。
乗ったことがある方はご存知だと思いますが、ビジネスというのは名ばかりで飛行機内でコース料理や種類豊富なワインやシャンパン、紅茶、チョコレートなどが提供されてフラットになるシートで快適に旅行できるのです。更にファーストクラスになると数万円するようなワインが出たり、半個室になってホテルさながらの対応を受けられるのです。航空会社によっても金額に差はありますが、参考までに日本からヨーロッパまでの往復料金でエコノミーは20万円前後、ビジネスは60~80万円、ファーストクラスは150~250万円程度の差があります。
多くの人は会社の節税対策で経費で搭乗しているので、実際に自分の持っているお金で支払っている人は少数と言われています。
ダイアモンド
ダイヤモンドは4Cと言われて、カラット・カラー・カット・クラリティの頭文字を取っています。今まで紹介したグレードの中では最も厳しいグレード分けと言えそうです。
カラットは大きさをイメージしますが、重さで1カラット=0.2gです。1000分の1カラットまで厳密に測定するようです。最も有名なのがカラットと言えます。
次にカラー(色)、無色透明なイメージがありますが、僅かに黄色っぽかったり着色があるものがあります。当然ですが無色透明なほど価格が高くグレードも上がります。
カットは原石を多面体にカッティングして人の手によって決まります。ラウンドブリリアントカットが一番有名ですが、他にも様々なカッティングがあり、台座に合わせて選択することもあります。いかに光が閉じ込められて美しいかによってグレードが決まります。最後に透明度を表すクラリティです、実はダイヤモンドの中には不純物が含まれていることが多く肉眼では分からなくても顕微鏡で見ると内包物(インクルージョン)が入っていたりします。本当に何も無い透明なものがグレードが高いのです。
グレード(等級)があるモノまとめ
他にも様々なものにグレードがあるのですが、長くなってしまったので一旦終わりにします。
読者の皆様もご存知のマニアックなグレードがあればコメントなどで教えてくださいね!