パリの花業界で、ジョルジュ・フランソワ氏のことを知らない人はいないのではないでしょうか。
著者は、1942年生まれ。花屋を始めて、約55年。
80歳を前に、いまだ最前線でブーケを束ねる著者のことを、周りの人々は敬意をこめて「ムッシュー」と呼びます。そんなムッシューは、常にフラワーデザインの流行を牽引してきました。
現在活躍している国内外のフローリストたちも、独立前に彼の元で働いていたケースは数知れません。
かつて馬車に乗って、大統領の使いがブーケを買いに来ていたこと。
一流メゾンとこなしてきた数々の仕事。
華やかな経歴はもちろん、彼の職人気質で、真摯に手仕事に向かう姿勢は多くの顧客の心を掴み、離しません。
プレスリリースより抜粋:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000421.000012109.html
日本の花アレンジメント本とは一線を画する教科書
素敵な本を見つけたので紹介します。誠文堂新光社から2018年4月2日に配本した作品「ジョルジュ・フランソワ 花の教科書 ―Mon étude de fleurs―」
冒頭のプレスリリース抜粋の通り、80歳になる偉大なフラワーデザイナーですが、とても年齢を感じさせない大胆なアレンジで見るものを魅了します。
揃える材料とカラーチャート、テクニックのポイントなどを分かりやすく掲載しています。日本のアレンジ本が劣っているわけではありませんが、この本を見ると衝撃を受けるほどに美しいアレンジです。写真の”基本のブーケロン”のような、クラシカルなアレンジメントから、清純なシクラメンとクリスマスローズのコンポジションなど独自のセンスで見たこともないような花の魅せ方をしています。
彼の偉大なひとつに、花だけにとらわれず野菜をアレンジメントに追加してしまうところにあります。表紙の写真には採れたての葉の付いたミニキャロットが巻かれています。それだけでなくカリフラワーを主体にしてアレンジしたりと、クラシカルだけでなく前衛的なデザインの一面も併せ持ちます。
唯一の残念なところと言えば、紙面で紹介されている材料が日本では手に入りにくいという事です。たとえ東京の一等地であっても、葉付きの小さな人参は売っていません。むしろ田舎暮らしで自分の庭で色々な野菜や花を育てたり、草原に咲いて積むことのできる余裕のある層に向けた本なのかもしれません。
単に「この花と枝を合わせれば可愛い」と安直にアドバイスするのではなく、ライフスタイルと考え方さえも教えてくれるということで、”巨匠のエスプリ”(=精神性)と入っているのかもしれません。
パリでフラワーアレンジメントの留学に!?
驚いたことにフランス留学のアフィニティというサイトで、ジョルジュ・フランソワ氏から直接レッスンを受けれるプランを案内しているようです。プランによって280ユーロから310ユーロまで、日本円で3万6千円~4万円程度というカジュアルに受講しやすい価格帯です。
①大型ブーケレッスン 280€
②マリアージュ 330€
③野菜と果物を使ったコンポジション 310€
パリのトップフローリスト ジョルジュ・フランソワに学ぶフラワーレッスン
Atelier floral chez Georges François
本誌を熟読して、フランス語を覚えた後にジョルジュ・フランソワ氏から直接レッスンを受ければ日本人とは思えない素晴らしいアレンジメントを習得できるはずです。かなり”大人になれる”はずです…。
そうでなくても氏の本を手に取り、じっくりと読めば今までとは違うアレンジが実践できるはずです。
誠文堂新光社は本誌だけでなく、「ローラン・ボーニッシュのブーケレッスン new edition: フレンチスタイルの花束 基礎とバリエーション」など、フランスフローリストの様々な本を出版しているので、本場のフラワーアレンジの美しい写真を見るだけでも癒やされてしまいそうです。写真も美しいので、まだ花を買うことが少ない人でも、紅茶のお供にどうぞ。