【レビュー】Nikon D4の評価は? D2X,D800との画質を比較

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ニコン一眼レフのフラッグシップモデル D4

昨年3月にD4の後継機となるD4Sがリリースされて、少しですがD4の価格相場が安くなってきました。
そこで、編集部の撮影機材変更としてニコンD4を導入したのでレビューをお届けしたいと思います。

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大人になれる本ですが、以前一眼レフ関係の記事で炎上してしまい、またまた怒られてしまいそうですがカメラマンとして本音で書きたいと思います。

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Nikon D4

色乗りが向上して、透明感にも磨きが

D4の紹介をする前に比較する以前使ってきたモデルの話を。
筆者はニコン一眼レフでは、D2X,D7000,D600,D700,D800といった
ハイエンドDXモデルとFX中級、上級モデルを利用してきました。
解像度の関係上D3では無くD700にグリップを付けてメインと使ってきた経験があります。

ニコンの一眼レフはDXとFXの差は歴然で、FXの写実的な表現と透明感、コントラスト性は下位モデルを凌駕する性能があります。
驚いたのがD2XからD700、D700からD800に変更した時です。

D700は標準でのコントラストが強くダイナミックレンジは広いのですが、黒潰れや高コントラストに表現される傾向にあります。
今まで、D2Xの薄味の曇ったような補正前提の写真に慣れていたためD700のシャープな描写は驚きました。

D800に移行した時は、D700のウィークポイントであった黒つぶれや極端に固い描写が全て改善されて、豊かな色合いを持ちながらも優しい表現が行えるようになりました。

Nikon D800

Nikon D800

実際のところ、D800の描写で不満を持つことはほぼありません。
3630万画素(7360*4912pixel)の超高解像度でありながら色乗りも自然で、設定に応じて建物などシャープに写すことも可能です。

D800の時点で柔らかい表現をしつつも、輪郭線をくっきりと再現して清潔感を出すといった加工も自由にできていました。
ですので、D4を買う前は本当にD800よりも”良い”のだろうか。という印象が大きくありました。

Nikon D800

Nikon D800

Nikon D800

Nikon D800

実際に導入して体感したのが色の発色が格段と向上していた点です。
今までD800で撮影後にフォトショップで僅かに彩度を上げたり、コントラスト(レベル補正)をいじる事が多かったのですが、D4は書き出して絶妙に美しい色合いなのです。

ひと世代前のカメラマンから言わせると、
「色が濃ければキレイと思うのは素人で、入門機は無理に彩度を上げてキレイっぽく見せる。高級機はフラットな一見地味な画を出して、フォトショップなどでの編集を前提としている。」
という意見がありました。

確かにそれはあります。
今でもコンパクトカメラやスマートフォンのカメラなどは、発色をよく見せるために彩度やコントラストを上げ気味で書きだす傾向にあります。

D4は無理に彩度を上げるのではなく、恐ろしいほど自然に”目で”見た通りに彩度を補正して書き出します。
D4を導入して半月しか使っていませんが、フォトショップで編集したり小細工する事が格段と減りました。
CMOSセンサーとプロファイルが優秀だからか、書き出しで掲載できるような写真が殆どです。

ひとつだけ気になっていた1623万画素という画素数の低下ですが、トリミングを頻繁にするカメラマンでなければ十分すぎる画素数と言えます。
A0やB0など大型のポスターでも十分耐えうるサイズです。

さらには撮影した写真がビットマップではなくてベクター画像にでもなったような錯覚をするほどに美しいです。

D4はノイズ耐性も更に良く

Nikon D4

Nikon D4

三脚なしで、夕方や夜にササッと写真を取るシーン。
こんな時はスタジオのようにISO100という訳にはいきません。

本来は三脚を用意して、ISO400程度でシャッタースピードを早めて後からレベル補正などで明るくすると綺麗な画ができます。
ところがD4は手持ちでISOを上げて撮っても、殆どノイズが乗ることがなく昔の機材の何倍もキレイに撮ることができます。

上記の写真はなんとISO3200。
D700からは常用感度がISO6400になるなどFXの真価を見せましたが、さすがにISO3200ではポートレートは撮りたくない!と思えるほどにはノイズがのりました。
今まではISO1600以上は報道写真や夜間の緊急用とさえ思っていた位です。
D4はISO3200でも(あまりノイズが気にならない位)には気持ちよく撮れるので驚きました。

逆光やコントラスト差にも強く、恐ろしい程に優秀なセンサー

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街並みの写真ですが、HDR撮影ではありません。
気づいた方も多いと思いますが、日中の強い光が白いビルや建物に当たっています。
その中で、空の青色の階調性が保たれています。
写真は掲載のサイズ都合上で画質が劣化していますが、それでもHDR撮影のようにダイナミックレンジが広いのが分かります。

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これが上記写真の等倍画像です。
1番ですが、ビルの影の部分の描写がこれほど細かい部分でさえ正確にされています。
2番、これはハイライト部分が”滲み”や”白飛び”になりやすく、中級機モデル+良いレンズであっても描写が難しい部分です。
隣接する黒色との差があるにも関わらず色がはみ出していません。もちろん滲みもありません。
さらには円柱の局面の影さえも柔らかに出ています。
3番、この写真だと圧縮されていてわかりにくいのですが、手元の原画だと柵の縦線が鮮明に表現されています。クリックして拡大すれば確認できると思います。

望遠レンズでもない35mmの安い単焦点レンズでもここまで描写がキレイなんです。
等倍でも驚くほどにシャープで透明感も実感できます。

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D4での餃子祭りのカット。
標準設定でありながら黄色の再現性が豊かで、D800で薄味になりがちな色味も正確に写実的に表現されています。

特別な設定をせずにもホワイトバランスも完璧で木木の緑色も素晴らしい描写です。D4に至っては以前の様なグレーカードや18%標準反射板を使う機会は格段に減ります。

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D4ボディの操作性

先代モデルを踏襲した操作性やボタン配置は非常に好感が持てます。
D2Xの発売から10年経ちましたが、操作ボタン類は殆ど配置が変わる事無く受け継がれています。

そのため、かなり自然に操作ができ気になる箇所はありません。
グリップ右のカード挿入部分までD2Xと同じになっています。
D3は購入していないので比較できませんが、おそらく似た配置になっていると思います。

グリップ感は少し異なります。D2xの方がコンパクトに感じます。
D4は強力な動画撮影機能やHDMI出力、有線LAN、ライブビューなど機能が向上しているためサイズが大きくなっています。

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工業製品としてのデザインはジョルジェット・ジウジアーロが担当していたD2Xの方が美しいような気がします。
ボディの重量バランスやボタンの位置もD2Xの方が良いです。これは個人的な感想なので、プロカメラマンの中ではD4の方が断然良いという意見もあると思いますが。

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 D4,D2x,D800の作例写真の比較

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クリックして拡大して下さい。さて上からどの機材でしょう??

正解は…!上からD4,D800,D2Xって思いますよね??
ところが、上からD800,D4,D2Xです…。

なんでぇーーー?!D4眠いたい。
AF-S Nikkor 35mm 1.8f / ISO100 / AF優先で絞りF8設定です。
ストロボ(SB-700)をバウンスで同条件で撮影しました。

全て標準の設定ですが、設定によってシャープになるのかなぁ。
レンズとの相性が悪いのかな。屋外だと上手くとれるんだけどなー。
最新のD4をドヤしようと思ったのですが、今回のテストだとD800がキレイな気がしてしまいますね。
他の環境でもテストして再び試して見ます…。

D4の気になる点

気になる点は、AFポイントが暗いので昼間はシングルAFが難しいというのと、メモリーカードがXQDカードとCFカードという点です。
別に撮る分にはXQDだろうと良いのです、取り込むときに専用のカードリーダーが必ず必要になります。

プロカメラマンだろうと使っているノートパソコンは汎用品。MacBook Proやレッツノートなど普通のパソコンです。
つまるところSDカードスロットしか標準で付いていないのです。
ですので、D800のようにCFカード+SDカードという方がユーザビリティが高いのではと思います。速度重視であればCFカード、その場で直ぐに取り込むユーザーはSDを強く望むはずです。

あと有線LANでスムーズな転送やリモート撮影(テザー撮影)ができるというのは良い点なのですが、無線LANを内蔵できないのかな?って思います。
別売のワイヤレストランスミッターWT-5を使えば良いのですが、今回から内蔵電源を使うようになったのであれば、よりボディに標準で埋め込んでも良いのかなと思います。

ちなみにWT-5というワイヤレスLAN接続を利用するとスタジオ撮影や雑誌の撮影などで、リアルタイムでプロデューサーや編集者、スタイリストが同時に手元の端末で見れるようになるので便利です。パソコンに写真を転送する事もできます。

AFのスポット選択の時にスクリーンの端までいかないのは何故だろう。
スクリーンの種類によって違うかもだけど、D2Xのように端まで標準で選択できるととても便利。
構図の一番左にAFを合わせて右は空間にしたい時など、今のD4だとマニュアルフォーカスしなければならないです。

Nikon D4総評

比較テストはまさかの結果となりましたが、多くの条件で良い写真が撮れるボディです。
特にAFが超速くて、一瞬で意図する場所にピントが合います。

プロ機としては本当にオススメできる一台です。
様々な用途で使えて、色合いや画も以前のモデルよりも向上しています。
価格もこなれてきたので頑張って買ってしまうのも良いですよ。

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D4 - 主な仕様 | ニコンイメージング
ニコンFXフォーマットデジタル一眼レフカメラ「D4」の主な仕様についてのご紹介。ニコンコンパクトデジタルカメラCOOLPIXやニッコールレンズなどカメラ関連情報も。

有効画素数  16.2メガピクセル
撮像素子方式 36.0×23.9 mmサイズCMOSセンサー、ニコンFXフォーマット
記録媒体 XQDメモリーカード、コンパクトフラッシュカード
シャッタースピード 1/8000~30秒(1/3、1/2、1ステップ)、Bulb、X250
寸法(W×H×D)約160×156.5×90.5 mm
質量 約1340g 本体のみ 約1180g

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