ポケットチーフは本当に必須なのか?
メンズのドレススタイルを追求していると、必ずといって良いほど言及されるのがポケットチーフの問題です。どんな色選びをすべきか、どんな素材のものにすべきか、サイズはどうすべきか、どういう差し方をすべきなのか……。
しかしちょっとした疑問がある。それは本当に「ポケットチーフは必須」なのか?ということです。お洒落なジャケパンスタイルにはポケットチーフを必ず差せと言われるし、確かにイタリア人やピッティのバイヤー達のスナップを見れば多くの人がチーフを差しています。
しかしそのジャケットを着て一緒に出かける相手が普通の女の子だったときはどうでしょう。相手の女の子は男性がジャケットを着ているだけで「カタい」と感じてしまう人は多いし、相手がお洒落だと横を歩くのが気が引けてしまう人も少なくない。事実カジュアルジャケットと柄シャツをノーネクタイノーチーフで、デニムと合わせていても「カタい」と思われてしまうことが多いのです。
そんなところで、ジャケットにシルクのポケットチーフまで光っていたら、相手は緊張してしまうかもしれません。
例えばイタリアで最もお洒落な男の一人とされているフランコミヌッチ氏は、女性との食事のときにはネクタイを外して無造作にジャケットの胸ポケットに突っ込むといいます。これはただでさえレストランでの食事に緊張しがちな女性が、テーブルを挟んだ対面にカッチリとしたジャケットにネクタイを締めた男のせいでより緊張してしまわないようにという気配りですね。
注意したいのは、せっかくのデートなのに男性がお洒落に走りすぎて主役が女性ではなく男性になってしまうことです。デートでは女性を主役にし、楽しんでもらうのが一番ですし、そんな装いこそがジェントルな着こなしというものです。ポケットチーフが差してあるから紳士な装いというわけではなく、ポケットチーフがなければ紳士な装いではないというわけでもない。
相手やシチュエーションに合わせてあって、周りの人々に気持ちのよいような着こなしこそが紳士な装いなのです。
ですからポケットチーフについては「自分がお洒落だと思うからポケットチーフを差す」「お洒落な着こなしにはポケットチーフは基本だから差す」というような決め方ではなく、今日はかしこまったスタイルで特別感を演出したいからポケットチーフを差す。今日は相手がドレスに近い服を着てくるかもしれないから一応ポケットチーフを持っておく。今日はデートではなくて、一人で遊びに行くから気分で派手なポケットチーフを差すなど、そういった決め方をするのが良いでしょう。
カタくなりすぎないポケットチーフのテクニック
それでもジャケットや着こなしの色合いやバランスから、ポケットチーフは欲しくなるもの。そんなときにおすすめなテクニックが、綿のハンカチをポケットチーフとして使うテクニックです。
例えば画像のジャケットには、リバティプリントのハンカチーフをTVフォールドのように折って差していますが、綿のハンカチーフには光沢がないため、普通のポケットチーフよりも砕けた印象があります。
今回のハンカチは大きかったので、お直し屋さんで36cm四方にリサイズしてもらっています。500円程度でやってもらえますので、合計で1700円程度ですね。もちろんミシンが使える人であれば自分で縫っても良いですし、そうすると非常に安上がりですね。
綿のハンカチはポケットチーフよりも選択肢が広く、安いために揃えやすいですから、実はポケットチーフよりも簡単にバリエーションを増やすことができて手軽で楽しいのもメリットです。
また今回の写真では少しカッチリとした印象のあるKiton キートンのカシミアリネンのジャケットでしたので、そのままTVフォールドで入れていますが、これが例えば麻100%のカジュアルな仕立てのジャケットなんかだったら、ハンカチをくしゃくしゃに揉んで洗って、シワ感のある洗いざらしにしてからクラッシュドで差すと、リラックスした格好良さが出せます。
いかがでしたか?
今回はポケットチーフについてを書いてみました。是非参考にして、お洒落で肩肘張らないファッションを目指してくださいね!